進にのり出しました。いろいろな対立や妥協を経て現在のフィールドバス協会が1994年成立し、昨年のISA96では、13本のフィールドバスを全会場に張りめぐらした大実演デモを行うところまできました。
 しかし表1に示したように、現在発表されているフィールドバスにはFFバスのほかにProfibus、WorldFIP、P-NET等の各バスがあります。ここにあげた3つのバスは、いずれもヨーロッパでかなりの実績があります。ヨーロッパの電気標準化委員会CENELECは、昨年3月ヨーロッパ各国の投票により、フィールドバスのヨーロッパ規格EN50170を決定しました。これは、ヨーロッパで使用するフィールドバスはProfibus、WorldFIP、P-NETとするというもので、公共事業用にはこれが強制されます。なお今後FFバスもこの規格に採用することが提案されています。
 なお、IEC/SP50の規格化は、11年たっているのに正式にはまだ第1層までです。そのためIEC本部は業を煮やし、昨年5月1998年半ばまでに規格化が終わらなければこのプロジェクトを中止すると担当委員会に通告しました。
 このようなわけで、世界で唯一のフィールドバスを実現するという理想の達成は、苦しくなってきたような感じがします。

3.各フィールドバスについて

 3.1 FFバス
 フィッシャーローズマウント、横河電機、山武ハネウエルなど大手メーカーが推進しているバスで、前述のとおりかなり製品化に近づいています。本質安全防爆やバスを通じての伝送器への給電も可能です。ただしこれはPA用の低速バス(31.25kbit/s)のみで、FA用や上位システム用の高速バスはおくれています。
 3.2 Profibus
 シーメンスが中心となって推進しています。このバスは、FA用の高速バスから入ったので、PA用はおくれていましたが、一昨年秋PA用のProfibus-PAを発表しインターカマに出品しました。ISA96でも積極的なPRを行っていました(写真参照)。このバスは、物理層はIEC規格を採用しています。しかしプロトコルはFFバスと異なるので、FFバスと通信はできません。また高速用にはRS-485または光ファイバーを採用するといっています。
 3.3 WorldFIP
 このグループのうち北米のメンバーはフィールドバス協会に合体したので、現在はヨーロッパのメンバーのみです。最近ローコストフィールドバスとしてDevice WorldFIPというバスを発表しています。これは表1のデバイスバスに対応するものと思われます。
 3.4 その他のバス
 P-NETは、分類としてはデバイスバスに近いようですが、本質安全防爆やバスを通じての給電も可能です。LONworksは、建物のオートメーション用には広く使用されていますが、プロセス制御用には使用されていません。

おわりに

 19回続けたこの連載は、今月で終わりといたします。永い間のご愛読ありがとうございました。連載の内容についてご質問あらば、何なりとお知らせください。

      著者紹介



松山 裕
松山技術コンサルタント事務所
所長







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