紙パルプ工場におけるMsysNetシステムの導入例
宇之津 廣治
北陽製紙(株)工務部 動力課


 はじめに

 北陽製紙は北海道名寄市に本社、工場を置き、原料パルプから最終紙製品までを一貫生産する総合製紙会社であり、段ボールの中芯原紙、ライナ原紙および特殊原紙に分類される多品目を生産しています。とくに、主力製品のバージンパルプを原料とした強化中芯(商品名:マイティーメディアム)は、わが国において北陽製紙のみが生産し、高い市場占有率を誇っています。
 北陽製紙においては、一昨年から昨年にかけて設備の増強工事を行い、その計装設備としてエム・システム技研のネットワーク形分散制御システム“MsysNet(エムシスネット)システム”を導入しました。そこで、導入の経緯、システムの内容、導入の結果などについて、簡単にご紹介します(詳しくは雑誌『計装』4月号をご参照ください)。

1.導入の経緯

 今回は、製品の品質向上を目的に、原質設備と抄紙設備の一部に増強工事を行いました。この増強工事は既設設備への装置追加が主体でしたので、既設の計器を生かしたままでの追加工事となりました。そのため、(I)オペレータの人数は現状のままか削減すること、(II)工事は何段階かに分けて行うため、計装設備は拡張性に富み、計装工事も短期間で完了可能なこと、(III)将来、既設設備のリプレース時には、その分とあわせてシステムの統合が可能なこと、(IV)予算を必要最小限に抑えることなどの条件に配慮する必要がありました。
 このため、具体的には、(I)機器の設置スペースが小さい、(II)CRTによる操作・応答速度が速い、(III)連続制御機能(調節計、演算器の機能)が充実している、(IV)システムの機能が合理的に分散している、(V)製紙工場という環境条件下でも動作する、(VI)システムの拡張が小ループ単位でも可能、(VII)ソフトのエンジニアリングが容易、(VIII)最低限必要な共通部分が安価である、といった様々な観点から各種のシステムを評価した結果、エム・システム技研のネットワーク形分散制御システム“MsysNetシステム”を採用することになりました。


2.システムの内容

 今回のシステムの全体構成は図1のようになっています。CRT操作部(オペレータズユニット、形式:OPU)と制御ユニット部(ワンループコントローラ、形式:ABA)を古紙処理室、調成室、抄紙室の3箇所の制御室に分散して設置しました。図1のシステムは、(1)~(5)のブロック単位で順番に増設工事を行い、規模を拡大して行きました。
 ワンループコントローラ(形式:ABA)はプロセスの制御ポイント



     
























































図1 ハードウェアの全体構成図
(雑誌『計装』
1997年4月号より引用)
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