に対応して設置し、総計119台となりました。ABAは機器前面にバーグラフ表示部とデジタル表示部を持ち、押しボタンによるループ操作が行えます。このため、万一、システム共通部分が故障した場合でも、ABA単体での操作・監視が可能です。なお、既設パネルに取付スペースがありませんでしたが、ABAがコンパクトであったので、パネル内のわずかなスペースに取り付けることができました。
 プロセスからの接点入出力信号は三菱電機製のシーケンサを用いて取り込み、PLCインタフェース(形式:SMDL)を経由してシステムに接続しています。この方法の採用により特別な通信ソフトウェアを組み込むことなく、取り扱いに慣れた安価なシーケンサをそのまま使うことができます。
 システムの通信ネットワークはNestBusおよびM-Busによって構成されています。ABAやSMDLなどの機器はNestBusに接続され、それぞれのNestBusは通信ユニット(形式:SMLM)によって上位のM-Busに接続されています。異なったNestBusに接続された機器間でも、M-Busを経由してデータの授受が可能です。M-Busには複数のオペレータズユニットが接続されていて、プロセスの監視・操作が可能です。
 増設工事でNestBus機器を追加するような場合には、NestBusを延長したり、M-Busを延長して対応できます。このとき、ツイストペアケーブルの敷設と機器への接続だけで済むため、システムの拡張はきわめて簡単に済ませることができました。
 監視・操作を行うオペレータズユニットは、2台1組にして3箇所の制御室に配置してあります。各組のうち1台は、タッチスクリーン操作機能を持つCRTにしました。オペレータズユニットに搭載されている監視操作ソフト(形式:SFD)はループ監視・操作用の画面、トレンド画面、グラフィック画面などの機能を標準装備しています。これらの画面機能および容量は、北陽製紙におけるアプリケーションに関しては、必要を十分満たすものでした。また、画面展開速度が速いため、操作性も良好でした。


3.システム導入結果

 増設工事は昨年の12月に一段落し、現在、システムは順調に稼働中です。導入結果として評価できる点を以下に紹介します。
 I.当初の導入条件であった省力化の目標は、ほぼ達成されました。
 II.CRTオペレーションのメリットは十分に生かされています。
 III.各工事期間はきわめて短く、さらに他設備が稼働中にもかかわらず、システムの拡張工事はスムーズに完了しました。
 IV.新製品について初期故障の発生を危惧していましたが、結果的には故障は予想外に少なく、単品の故障が他に影響を与えない点も評価できました。
 V.工場の近隣地区にサービス拠点があったため、対応が迅速で、メンテナンス体制は良好でした。なお、MsysNetのソフトウェア作成は比較的容易であり、現在では制御ループの構築や画面の作成など、システムの小規模な改造はほとんど北陽製紙自身で行っています。


おわりに

 エム・システム技研のスーパーDCSのような新たな分散制御システムを採用するに際しては多少の不安感が伴いました。しかし、近年、パソコンや小型コントローラ、PLCなどを核とした小型で安価な分散制御システムが市場に大きく台頭してきているのを見るに及んで、この選択に誤りはなかったと安堵しています。今後、新たな分散制御システムが製紙工業にも数多く普及していくものと思います。

     
















図2 
ワンループコントローラの
設置状況





図3 
オペレータズユニット
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