アナログ入出力用“多連ベース”（形式：M2BD）
（株）エム・システム技研 開発部
はじめに
自動車、電機、半導体製造など主にディスクリート部品の加工、組立を行う産業では、FA（ファクトリーオートメーション）を構成するため、リミットスイッチの状態監視や動力の駆動／停止などで代表されるディスクリート信号の処理に優れたシーケンサを活用しています。FAにおいては、一般にディスクリート信号の扱いが中心ですが、温度や圧力などアナログ変量の監視が必要になることもあります。
ここでは、エム・システム技研が近々発売する製品で、こうした場合にシーケンサと組み合わせて活用できる、コンパクトなアナログ入出力用通信ユニット“多連ベース”（形式：M2BD、図1）についてご紹介します。M2BDは、オムロン（株）の“CompoBus／D”に対応する通信によって、多点のアナログ信号をシーケンサへ入出力できます。
1．M2BDの概要
シーケンサでアナログ変量を監視するには、監視する場所に計測対象変量に適したセンサを取り付け、センサの出力信号を信号変換器を通してシーケンサのアナログ入力カードに取り込むのが一般です。ただ、この方式では、シーケンサへ多数のアナログ信号を取り込む場合、信号変換器の台数が多くなり、そのために必要な実装スペースが大きくなります。また、シーケンサと変換器間の信号配線数も多くなります。M2BDは、とくにこれらの点を考慮して、多数のアナログ信号を小さい実装スペースで効率的にシーケンサに入出力できるようにすることを目的として開発した製品です。
M2BDは、CompoBus／Dの通信機能を備え、16台のコンパクトな信号変換器を収納できる入力専用または出力専用の多連ベースであり、CompoBus／Dの通信機能を備えたシーケンサと組み合わせて使用します。
入力専用ベースの場合、センサの出力信号やPT、CTを経由した交流電力の計測用信号は、M2BDの入力端子に直接接続でき、その信号はベースに収納した信号変換器で変換後、A／D変換されます。A／D変換された値はCompoBus／D対応のシリアル通信によってシーケンサに伝わり、シーケンサ内のメモリエリアに格納されます。また、格納したアナログ入力値はシーケンサのラダープログラムにより参照できます。
出力専用ベースの場合、シーケンサがラダープログラムにより設定した出力値はCompoBus／D対応のシリアル通信を経てM2BDに届き、M2BD内部でD／A変換され、出力用信号変換器を経てM2BDの出力端子から出力されます。
2．アナログ信号処理
アナログ信号処理は、“みにまる”シリーズの超小形プラグイン
図1
CompoBus/D用
多連ベース（形式：M2BD）
図2
コンパクト変換器
みにまるシリーズ
