1998年3月号

計装豆知識

ファジィ

  “ファジィ(FUZZY)”という言葉は“あいまいな”とか“ぼやけた”というような意味を示し、羽毛のようにふわふわとしていて境目や輪郭が明確でないことを表す言葉です。このあいまいさを扱うファジィ推論は、1965年にカリフォルニア大学教授のザデー(L.A.Zadeh)によって提唱され、これによって定性的な言葉を定量的に表現することができるようになりました。

 ファジィ制御

「真新しい地下鉄が駅をすべりだす。ロトフィ.ザデーはその運転席にいた。地上に出た地下鉄の車窓から、街路や木々や家並が下を流れ去っていく。そのときザデーは、車中でよく経験する錯覚を思い出した。ショックや揺れもなく、電車がすうっと動き出す。並んで停まっていた車両の窓が、だんだん速さを増しながら後ろに流れる。と思っていると、実は発車したのは向こうだったという例のやつだ。もちろん本当の電車が、そんなにスムーズに走り出すはずはない。だがこれは実際の話だ。日本で仙台市の郊外に向けて走る地下鉄では、発車するときも停車するときもつり革にぶらさがる乗客はほとんどいない。さらにその地下鉄は実に正確に停車し、電力も10パーセント節減している」
 これは、あるファジィ専門誌に掲載された文章ですが、この地下鉄はもちろんファジィ制御で運転されています。ファジィ制御とは、人間(オペレータ)の経験、勘、こつなどをIF-THEN(もし~なら-どうする)のルール形式で表現し、オペレータと同じような巧妙な制御をコンピュータで実現することをいいます。たとえば温水シャワーの温度を適温にコントロールするとき
 ●(IF)~もし少しぬるければ-(THEN)~少し温度を上げる
 ●(IF)~もしかなり熱ければ-(THEN)~大きく温度を下げる
 ●(IF) ~・・・-(THEN) ~・・・
 このように「少し」とか「大きく」というような数式では判断が難しい定性的な言葉を定量的に表現(ルール化)することにより、従来ベテランオペレータのみが可能だった非線形で複雑な制御システムも、ファジィ制御で自動化できるようになりました。
  “ファジィ”は数式では表せない、数多くの情報を含んでいます。日本のファジィ技術は他国を断然リードしている技術の一つで、現在応用面では、トンネル掘削機(シールドマシン)、クレーン、焼却プラント、半導体製造装置・・・等、着実な実運用へと進んできています。今後のファジィ技術のさらなる発展、進化を期待してやみません。

     












図1 TBM
(トンネルボーリングマシン)
ファジィ自動制御システム




図2 シールドマシン
ファジィ自動制御システム
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