1998年3月号

置比例動作といいます。この図ではコントロールモータとダンパで説明しましたが、電動弁はモータが調節弁に一体化されていますので、一般の電動弁ではモータ回転角を弁開度と読みかえてください。なお、モータおよびリレーが頻繁に動くことを防ぐため、正逆のリレーの動作の間には不感帯を、リレーそのものにはヒステリシス動作をもたせます。図10.5にリレーの動作図を示します。
 電電ポジショナというのは、DC4~20mAの信号と弁開度を一致させる機器であり、原理的には、電動弁駆動形調節計とほとんど同じです。これを使用すれば、一般の調節計により電動弁を操作することができます。

 (4)加熱冷却形出力

 発熱を伴うプロセス(重合槽や押出し成型機など)や、常温付近での温度制御(環境試験機・恒温槽など)では対象プロセスに対し加熱と冷却の両方の動作を行う必要があります。この両者の出力の関係にはオーバーラップ形と不感帯形とがあります(図10.6)。
 オーバーラップ形では、一時的に加熱と冷却の両方が行われる場合が生じ、エネルギー損失を生ずることがありますが、制御精度の向上と、応答を速める効果があります。不感帯形はその逆です。
 なお普通の調節計を使用し、4~20mAのうちたとえば4~12mAで冷水弁を操作し、12~20mAで熱水弁を操作するようにしても同じ目的を達成できます。これをスプリット方式といいます。図10.7は、重合槽のジャケットを循環する水の温度を制御するシステムの例です。

 10.6 出力機能

 出力機能には、出力上下限リミット機能・出力変化率リミット機能と、異常発生時における出力を指定する機能があります。

 (1)出力上下限リミット

 調節弁が全閉になることを避けたいとき、あるいは一定開度以上になることを防ぎたいときに、出力の上限または下限を設定することができます。

 (2)出力変化率リミット

 調節計の出力が急速に変化すると、操作部や装置に損傷を与えるおそれがあるとき、出力変化率の上限を設定することができます。

 (3)異常発生時における出力の指定

 異常には、プロセスサイドの異常(警報など)、入力の異常(断線など)、計器の異常(自己診断によるなど)があり、それぞれ対応は異なりますが、おおむね下記の3種類に分けられます。
 (イ)プロセスにとって安全側と思われる出力を出す。
 出力を0%にするのが普通ですが、ときには100%にすることもあります。
 (ロ)オペレータがあらかじめ設定しておいた出力(プリセット出力)を出す。
 (ハ)異常直前の出力信号をホールドする。

◆参考文献◆

1)松山 裕:だれでもわかる自動制御、省エネルギーセンター(1992)

      著者紹介



松山 裕
松山技術コンサルタント事務所
所長
(FAX No.03-3971-9143)





図10.5 
リレーの動作図





図10.6 
加熱冷却形出力1)





図10.7 
スプリット方式の制御

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