エムエスツデー 2005年2月号
CC-Link Ver.2.0
CC-Linkは、グローバルスタンダードになっている唯一の日本発オープンネットワークとして、アジア、北米を中心にした世界的なFA市場に広く普及しています。CC-Linkを推進するCC-Link協会(CLPA)注1)に加盟する会員数は605社(内、海外会員数322社 注2)に及び、接続実績のある登録製品は累計614機種注3)、出荷ノード数も累積216万注4)に達しています。この規模は、オープンネットワークとしてはDeviceNet注5)に迫るものであり、真のグローバルスタンダードとして世界中に認知された規格であるといえます。
CC-Link Ver.2.0 のリリース
CC-Linkは、省配線効果、高速性、信頼性、本格的マルチベンダ環境など多くの特長をもち注6)、FAを中心とする様々なアプリケーションに適用されてきました。従来のCC-Linkの仕様は、Ver.1.10でしたが、2003年1月には、仕様がバージョンアップされたCC-Link Ver.2.0がリリースされました。バージョンアップの狙いは、従来からのFA分野に加え、とくに半導体製造装置やPAの計測制御などでアナログ信号を主とした大容量のデータ通信が要求される分野にまで適用範囲を広げることにあります。
Ver.1.10とVer.2.0 の比較
Ver.2.0は、Ver.1.10に比較して、送受信データ量を最大8倍まで拡張可能にしたものであり、ネットワーク上に接続できるデータ量が大幅に増強されました。
Ver.2.0とVer.1.10の基本仕様の比較を表1に示します。
表1 Ver.2.0とVer.1.10の基本仕様の比較
項 目 |
Ver.2.0の仕様 |
Ver.1.10の仕様 |
備 考 (Ver.2.0/ Ver.1.10) |
|
最大リンク点数 (データ量) |
RX,RY:各8192ビット RWw,RWr:各2048ワード |
RX,RY:各2048ビット RWw,RWr:各256ワード |
4倍 8倍 |
|
1台当たりの リンク点数 (データ量) |
1 局 占有時 |
RX,RY:各32~128ビット RWw,RWr:各4~32ワード |
RX,RY:各32ビット RWw,RWr:各4ワード |
4倍 8倍 |
4 局 占有時 |
RX,RY:各128~896ビット RWw,RWr:各16~128ワード |
RX,RY:各128ビット RWw,RWr:各16ワード |
7倍 8倍 |
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1台当たりの占有局数 | 1~4 | 同 左 | ||
拡張サイクリック設定 | 1倍、2倍、4倍、8倍*1 | な し | ||
通信速度 | 10M/5M/2.5M/625k/156kbps | |||
接続台数 | 64台*2 |
*1 拡張サイクリックの設定により送受信データ量を増やします。詳細はCLPAホームページ参照。
*2 Ver.1.10とVer.2.0では条件が異なります。詳細はCLPAホームページ参照。
Ver.1.10 と Ver.2.0 の互換性
最近では、Ver.2.0対応の新製品も市場に多く出回ってきましたが、ネットワーク上でのVer.1.10とVer.2.0の互換性は次のようになります。

●マスタ局が新バージョン(Ver.2.0)対応品の場合:スレーブ局としては、旧バージョン(Ver.1.10)対応品だけでも新・旧バージョン(Ver.2.0、Ver.1.10)対応品混在でも接続可能(ただし、旧バージョン対応品は旧バージョンの仕様範囲内での使用に限られる)。
●マスタ局が旧バージョンの場合:スレーブ局としては、新バージョン対応製品の接続は不可。
なお、エム・システム技研では、リモートI/O製品(スレーブ局)R3シリーズにCC-Link Ver.2.0 対応モデルを用意し、Ver.1.10対応モデルと並行して販売しています。図1にR3シリーズの外観と、主な仕様を示します。
注1) CC-Link協会(CLPA)ホームページ: http://www.cc-link.org/t_html/top.html
注2)2004年9月、CLPA調べ。
注3) 同上
注4) 2003年度実績、CLPA発表。
注5) DeviceNetに関しては、本誌2000年1月号の「計装豆知識」、ならびに下記ホームページ参照。 http://web.kyoto-inet.or.jp/org/odva-j/overview/overview.html
注6)本誌2000年2月号の「計装豆知識」ならびに前記CLPAホームページ参照。
【村上 良明:(株)エム・システム技研 システム技術部】