2005年3月号
エムエスツデー 2005年3月号
PROFIBUS-DPV1
PROFIBUSの概要については、本誌1999年12月号の「計装豆知識」ですでにご紹介していますが、ここではPROFIBUSの各種規格のバリエーションについて、とくにPROFIBUS-DPを中心にしてご紹介します。
PROFIBUS-DPの由来
PROFIBUSについては、最初にPLCまたはPC間通信のFMS(Field Message Specification)が開発され、その後、より簡単でより高速なフィールドバスとしてDP(Decentralized Periphery)が完成されました。これはPROFIBUSの基本であり、DPV0(バージョンゼロ)あるいは標準PROFIBUS-DPと呼ばれています。PROFIBUS-DPは、簡単、確実かつ高速に周期的なデータ交換が行えることを特長としています。またオプションとして、ステーション診断、モジュール診断そしてチャネル診断の機能をもっています。
PROFIBUS-DPの機能拡張
PROFIBUS-DPについては、DPV0以降さらに機能が拡張され、現在ではDPV0、DPV1、DPV2の3つのバージョンがあります。
DPV1は非周期的なデータ通信を目的に機能が拡張されたものです。マスタとスレーブの間での周期的なデータ交換をサポートしながら、非周期データの伝送もサポートします。この拡張によって、機器のパラメータ設定、センサのメンテナンス、状態とデータの監視、アラーム処理などが便利かつ確実に行えるようになりました。
DPV2は高速ドライブ装置へのアプリケーションなどを目的として、さらに機能が拡張されたものです。アイソクロノス通信(Isochronous Mode)注)やスレーブ間通信(Publisher/Subscriber)、タイムスタンプ(Time Stamp)などの機能が追加されました。
デバイスのタイプ
PROFIBUS-DPに接続される機器には、以下に挙げる3つのタイプがあります。
DPマスタクラス1(DPM1):スレーブとの間での高速で周期的なデータ交換を目的とするPLCに代表されるコントローラです。
DPマスタクラス2(DPM2):エンジニアリング、コンフィギュレーション、メンテナンスを目的とした機器管理などのソフトウェアを搭載したPCに代表されるデバイスです。
スレーブ:通信上受動的な動作を行うデバイスです。たとえば、I/Oデバイス、ドライブ装置制御用のデバイスが挙げられます。
DPV1の拡張機能
DPV1は、DPV0と比較して具体的に次に列挙する機能が拡張されています。
● 必須なPROFIBUSパラメータに3バイトが追加されています。
● DPV0でのステーション診断の代わりに、アラームまたはステータスが定義されています。
● オプションとして、非周期通信MS1、MS2が定義されています。MS1はDPM1とスレーブ間の非周期通信で、MS2はDPM2とスレーブ間の非周期通信です。
DPV1のマスタとDPV0のスレーブ間、あるいはDPV0のマスタとDPV1のスレーブ間には周期的な通信(DPV0)が可能です。
エム・システム技研の製品対応

エム・システム技研のPROFIBUS対応製品について言えば、リモートI/O R5シリーズの通信カード(形式:R5-NP1、R5-NP2)はDPV0のスレーブです。また、リモートI/O R3シリーズの通信カード(形式:R3-NP1)はDPV1のスレーブで、DPV0にも対応可能な周期的な通信以外に、入出力データの監視などに使われるMS2通信もサポートします。
〈参考文献〉日本プロフィバス協会ホームページ
http://www.profibus.jp/
注)アイソクロノス通信とは、データの等時性を保証するバス通信のことです。バスの負荷状態に関わらず、マスタとスレーブの間のクロック同期を1ms以内の誤差で実現します。したがって、マスタが受送信したデータはmsレベルの有効性を有し、高速ポジション制御などに適用されます。
【李 天兵:(株)エム・システム技研 開発部】