2005年3月号
エムエスツデー 2005年3月号

2048チャネル クライアント/サーバ形 PCレコーダ
MSRpro(形式:MSR2K)(1)
(株)エム・システム技研 開発部
は じ め に
エム・システム技研は、パソコンを利用する記録計用のソフトウェア 「PCレコーダ総合支援パッケージ(形式:MSRPAC)」を発売した後、MSRPACに含まれる代表的なソフトである128チャネルPCレコーダソフト(MSR128)については、定期的に新しい入出力ユニットへの対応や、新機能の追加によるバージョンアップを行ってきました。
その間、多くのお客様からご意見やご要望をいただきました。
市場では、パソコンの性能が年々向上しています。高スペックなパソコンを低価格で買えるようになり、今までは実現が難しかった機能にも容易に対応できる時代になりました。
このたび、これまでにいただいた様々なご意見やご要望を反映させ、最新の技術を使用して、2048点入力、演算解析機能付きの新しいデータ収集・記録装置用のソフトウェアMSRpro(エムエスアールプロ)を開発し、発売します。
このMSRproの概要と特長、そして機能の詳細について、本誌の今号と次号の2 回にわたってご紹介します。
まず今号ではMSRproの概要と特長についてご紹介し、次号では充実した各機能についてご説明します。 (ご注意:MSRproは、上述のPCレコーダ総合支援パッケージとは別のグループのソフトとして開発したものであり、したがってMSRPAC-2005には含まれていません)
1.MSRproの概要
MSRproは、多チャネル組合せ自由形のリモートI/O である「R3シリーズ」の各種入力信号データを、パソコンにて収集または演算し、表示画面や解析画面でデータを表示するパソコン記録計用のソフトウェアです。
R3シリーズのModbus/TCP(Ethernet)用通信カード(形式:R3-NE1)を使用してパソコンと接続し、データの収集を行います。
なお、データ測定・監視のネットワーク化に対応するためクライアント/サーバシステムを採用しました。入出力データのサンプリングを行い、データ処理を行うソフトウェアをサーバと呼び、サーバによって収録・保存されたデータを表示・解析するソフトウェアをクライアントと呼びます。
MSRproは、表1に示すように3つのソフトウェアから構成されています。
表1 MSRproのソフトウェア構成
MSRpro-server | データ収集、収録、演算を行うアプリケーションソフトウェアです。 |
MSRpro-client/analyzer | ユーザーが操作するアプリケーションソフトウェアで、データ表示、解析、印刷を行います。 |
MSRpro-builder | 収録モード、演算などの各種設定を行います。 |
(1)MSRpro-server(サーバソフトウェア)
R3シリーズ入出力ユニットからのデータを収集し、演算を施してデータファイルに保存します。
(2)MSRpro-client/analyzer
(クライアントソフトウェア)
サーバによって収録・保存されたデータの波形表示、CSVへのファイル変換、解析を行います。
クライアントだけをインストールしたパソコンで、ネットワーク上にあるサーバ用パソコン(サーバだけをインストールしたパソコン)のデータを表示し、解析することもできます。図1に示した構成例をご参照ください。 (ご注意:MSRproが動作するパソコンとリモートI/O R3シリーズとの接続は専用のネットワークで使用することを前提に設計されています。共用ネットワークでは、収録データが欠落することがあります)
(3) MSRpro-builder(設定用ソフトウェア)
収録モードや演算などについて、サーバとクライアントの各種設定を行います。
MSRproを動作させるためのパソコンの動作条件については、表2をご参照ください。
表2 MSRproの動作環境
必要システム | 仕 様 |
パソコン | IBM PC/AT互換機 |
OS | Windows 2000またはWindows XP professional |
CPU | Pentium 2.0 GHz 以上 |
ディスプレイの解像度 | XGA仕様(1024×768) |
表示色 | 65000色(16ビットHigh Color) |
主メモリ(RAM) | 512 MB以上(1024 MBを推奨) |
ハードディスク | 内蔵80GB 以上。内蔵ディスクをご使用ください。*1 |
入力装置 | R3-NE1 |
CD-ROMドライブ | WindowsがサポートするCD-ROMドライブがインストール時に1台必要 |
通信インタフェース | LAN通信カード(Ethernet 100 BASE-Tx) |
*1、SCSIなどの外部バスに接続されたディスクを使用した場合は、十分な性能を発揮できない場合があります。
2.MSRproの特長
(1)最大2048点入力が可能
アナログ入力、デジタル入力合わせて最大2048チャネルの多チャネル入力が可能であり、MSR128ではできなかった128点を超えるデータの計測を実現できます。
(2)高速サンプリング
最速100msの周期でデータ収録が可能です。通信カード1ステーション分(1ノード分)を設定できますから、多点高速収録を実現できます。
(3)演算機能
入力データに対して各種の演算を施した結果をデータとして収録、保存できます。演算の種類としては、四則演算、開平演算、論理演算、温圧補正、折れ線近似を用意しました。
また、チャネル間演算も可能で、2チャネル間のアナログデータの演算などが行えます。
(4)マルチウィンドウ
データ表示用の画面としてはトレンドデータ表示画面、解析用画面、監視用画面があり、それぞれの画面を選択して複数表示が行えます。また、収録中でも自由に画面サイズを変更できます。
なお、用途に合わせて様々な表示方法を設定することが可能です。
3.接続機器
表3 1ステーションの最小構成 |
|
形 式 |
数 量 |
R3-BS4 |
1 |
R3-PS1 |
1 |
R3-NE1 |
1 |
R3-□□□ |
1 |
表4 1ステーションの最大構成 | |
形 式 |
数 量 |
R3-BS16 |
1 |
R3-PS□ |
1 |
R3-NE1 |
1 |
R3-□□□ |
13 |
接続できる機器は、リモートI/O R3シリーズに限られます。
必要な入出力カードを選択し、対応するベース、電源を選択します。これらの組合せで、1ステーションを構成します(表5参照)。最大8ステーションまで設定でき、様々な構成でご使用いただけます。
なお、1ステーションの最小構成、最大構成については表3、4をご参照ください。
* * *
以上、MSRproの概要と特長についてご説明しました。次号では、MSRproの解析機能、アラーム機能、表示機能などについてご紹介します。
表5 ハードウェア構成(R3シリーズ) |
|
カード形式 |
機 能 |
R3-NE1 | Ethernet TCP/IP (Modbus/TCPプロトコル) |
R3-PS□ | 電源 |
R3-BS□ | ベース |
R3-SV□ | 直流電圧 |
R3-TS□ | 熱電対 |
R3-DC□ | 接点出力 |
R3-DA□ | 接点入力 |
(本稿にて記述している仕様は、一部変更になる場合があります。ご購入時には、最新の仕様書にてご確認ください)