2005年5月号
エムエスツデー 2005年5月号

演算機能付 データロガー
(形式:R3RTU-RD)
(株)エム・システム技研 開発部
は じ め に
エム・システム技研では、PCレコーダ入出力ユニット(R1Mシリーズ、R2Mシリーズ、RZMS-U9)を利用するPCレコーダ総合支援パッケージ(形式:MSRPAC)、また現場設置形のチャートレス記録計本体(形式:73ET、74ET、75ET)など、多くの記録計関係製品を販売して参りました。
今回は、新たに豊富な演算機能をもつ現場設置形のデータロガー(形式:R3RTU-RD)を開発し、発売します。本稿では、R3RTU-RDの概要、とくにその機能に焦点を当ててご紹介します。
1.R3RTU-RDの概要
図1に、R3RTU-RDを組み合わせたR3シリーズ(リモートI/O変換器)の外観を示します。
(1)R3RTU-RDの構成
R3RTU-RDは、リモートI/O変換器「R3シリーズ」のユニット(ベース、電源、入出力カード)と組み合わせて使用します。
R3RTU-RDは、ベース(形式:R3-BS□)に実装し、電源カード(形式:R3-PS□)からの給電により動作します。
R3RTU-RDは入出力インタフェースとして、R3シリーズの入出力カードを使用します。また、LANポート、シリアル通信ポートなどの通信ポートやI/O設定用ジャックコネクタも備えています。
I/O設定用ジャックコネクタを使用すれば、R3シリーズコンフィギュレータソフト(形式:R3CON)によって入出力カードの設定を行うことができます。
(2)主な機能
R3RTU-RDは、次に挙げる3つの主機能をもっています。
1)入力カードからのデータ収集
2)豊富な演算機能
3)CFカード注1)へのデータ保存
以下、これらの機能について説明します。図2のデータフローをご参照ください。
2.入出力カードからのデータ収集
入力カードからは、アナログ入力とデジタル入力合わせて最大64点までのデータを収集します。アナログ入力には直流電圧入力カード(形式:R3-SV□)、熱電対入力カード(形式:R3-TS□)、測温抵抗体入力カード(形式:R3-RS□)、またデジタル入力には接点入力カード(形式:R3-DA□)を使用します。お客様のご使用目的に合わせて、入力点数や入力種別をお選びいただけます。
入力カードからのデータは、サンプリング周期100msで収集するため、微妙に変化する信号でも確実に収集することが可能です。
3.豊富な演算機能
収集したデータに対して、各種の演算を行います。演算設定点数は最大64点で、サンプリングと同様100ms周期で演算処理を行います。
演算機能には、四則演算や論理和、論理積といった複数チャネル間の演算、また一次遅れフィルタ、移動平均フィルタといった入力のフィルタ処理など、25種類の演算モジュールを用意しました(表1参照)。また、上下限警報・偏差警報・変化率警報の3種類の警報演算を行い、R3シリーズの接点出力カード(形式:R3-DC□)の任意のチャネルに警報演算結果を出力できます。
表1 ソフトウェア仕様
機 能 |
仕 様 |
|
データ収集 | 入力点数 | 64点 |
サンプリング周期 | 100ms | |
入力信号 | 直流電圧、熱電対、測温抵抗体、接点入力 | |
データ保存 | 保存媒体 | CFカード(容量:32~512MB) |
保存周期 | 100ms、200ms、500ms、1s、2s、5s、10s、30s、1min | |
保存方法 | 連続収録、トリガ連動 | |
ファイル形式 | バイナリ形式 | |
データファイル | 収録データおよび演算結果を保存 | |
アラーム履歴 | 発生したアラームの履歴を保存 保存件数:CFカードの容量に依存 |
|
演 算 | 演算周期 | 100ms |
演算の種類 | 四則演算:加減算、乗算、除算 論理演算:論理積、論理和、否定 関 数:絶対値、非線形・不感帯、ドロップアウト、 開平、折れ線近似、温度圧力補正 時間関数:一次遅れフィルタ、多数決フィルタ、 移動平均フィルタ 信号選択:入力選択(2点)、定数選択(2点)、 最大値選択、最小値選択、平均値 信号制限:上下限制限、偏差制限 警 報:上下限警報、偏差警報、変化率警報 |
|
警報出力 | 警報設定数 | 上限・下限の2点 |
警報種別 | 上下限警報、偏差警報、変化率警報 | |
警報出力先 | R3-DC□の指定したチャネルに出力 | |
不感帯 | 実量値で設定 | |
ファイル変換 | CSVファイル | データファイル、アラーム履歴ファイルをCSVファイルに変換 |
4.CFカードへのデータ保存
R3シリーズの入力カードから収集されたデータおよび演算処理されたデータは、すべてCFカードに保存されます。
保存できる最大点数は、入力データ64点、演算データ64点の128点です。有効グループ数の設定によって、保存する点数が決定します。有効グループ数の設定とは、連続した8点を1グループとし、使用する点数に対応したグループ数を有効にする設定です。この設定で有効にされたグループのデータが保存されるため、小容量のCFカードでも長時間のデータ保存が可能です。
警報演算によって発生したアラーム状態は、アラーム履歴としてCFカードに保存されます。CFカードに保存できる件数はCFカードの容量に依存し、容量128MBで250件、512MBで1000件のアラーム情報が保存できます。
また、保存されているデータやアラーム履歴は、CSVファイル変換ツールを使用して、Excelで読み込み可能なCSVファイルに変換できます(図3参照)。


5.パラメータ設定
R3RTU-RDのパラメータ設定には、パソコンにインストールしたR3RTU-RD用のビルダソフトを使用します。設定した内容をCFカードに保存し、本体に挿入するだけでデータ収録を開始します(図4参照)。
お わ り に
以上、R3RTU-RDの機能について簡単にご説明しました。
今後は、演算モジュールの追加やEthernet通信への対応など、機能追加を行って参ります。とくにEthernet通信に対応することで、上位パソコンによる監視が可能になり、離れた場所からでもデータを監視できるようになります。
また、機能や操作性の更なる向上を図り、より良い製品にするよう努力して参ります。多くのお客様からのご意見・ご要望をお待ちしています。
注)CFカード(CompactFlash)の容量は、32~ 512MBになります。また、RENESAS製を使用してください。