2005年9月号
エムエスツデー 2005年9月号

ワンステップキャル設定形 薄形変換器 M3・UNITシリーズ
−ファイル操作機能追加−
(株)エム・システム技研 開発部
は じ め に
エム・システム技研では、3つの押しボタンスイッチを使って簡単に設定変更や校正(キャリブレーション)が行える、独自の「ワンステップキャル方式」を採用した「M3・UNITシリーズ」変換器を発売し、お客様から大変ご好評をいただいています。
この変換器は、「ワンステップキャル方式」だけでなく、専用のコンフィギュレータソフトウェア(形式:M3CON)でパソコンから簡単に操作でき、しかも18mm幅という省スペース設計である点も大きな特長としています。
このたび、ユニバーサル変換器(形式:M3LU)のコンフィギュレータソフトウェア(形式:M3LUCON)について、コンフィギュレーション設定情報をパソコンのハードディスクに保存したり、保存した情報を読み出し、一括して変換器に設定したりすることができるファイル操作機能を追加しました。本稿では、「M3・UNITシリーズ」変換器の優れた特長をおさらいしながら、このファイル操作機能をご紹介します。
1.ワンステップキャル方式
ワンステップキャル方式とは、変換器前面の3つの押しボタンスイッチを使って簡単にしかも素早くキャリブレーションできるよう考案された、エム・システム技研独自の方式です注)。「M3・UNITシリーズ」変換器のすべての機種に、この方式を採用しています。変換器内蔵のディップスイッチを、ケース側面に貼付したスイッチ設定ラベルが示す手順に従って操作するだけでコンフィギュレーションでき、キャリブレーションもワンステップキャル方式を採用することで大変簡単に行えます(図2参照)。押しボタンスイッチを押すだけで、設定値が記憶されるため、これまでのようなゼロ・スパンボリュームの調整は必要ありません。また、入力だけ校正したい場合や出力だけを校正したい場合は、MODEボタンを続けて押すことによって、操作が不要なモードをスキップできるため、わざわざすべての校正をやり直す必要はありません。したがって、スピーディーに作業を終了させることができます。さらに、現場特有に発生する出力信号の誤差も、前面の3つの押しボタンスイッチを使用して微調整できるため大変便利です。
図2 キャリブレーション手順(直流入力の例) [拡大図]
2.ファイル操作機能
新たに機能追加されたM3LUCONのファイル操作画面の例を図3に示します。ファイル操作画面は、大きく分けて2つの領域(“File Configuration”、“Device Configuration”)から構成されています。“File Configuration”領域には、ファイルとのやりとり(Read/Write)情報が表示されます。“Device Configuration” 領域には、デバイスとのやりとり(Upload/Download)情報が表示されます。
(1)デバイス関連の操作
“Upload”ボタンを押すと、デバイスとの接続を行い、コンフィギュレーション情報を読み出し、“Device Configuration”領域に表示します。また、“Download” ボタンを押すことで、デバイスとの接続を行い、“Device Configuration”領域のコンフィギュレーション情報を一括してダウンロードするため、設定が極めて短時間に行えます。もし、ダウンロード中に異常が発生した場合には、自動的にダウンロードを中断し、当該データの背景色が淡赤色に変化します。そのため、ダウンロードが正常に終了したかどうかが瞬時に判別できます。
(2)ファイル関連の操作
“Read File”ボタンを押すと、指定ファイルからコンフィギュレーション情報を読み出し、“File Configuration”領域に表示します。また、“File Configuration”領域のコンフィギュレーション情報を指定ファイルに書き込む際は、“Write File” ボタンを押すだけで簡単に実行できます。コンフィギュレーション情報は、テキストファイルで保存されるため、ファイルを開けば一目で内容を確認することができます。これは、複数台接続されている機器の機器管理を行う際に極めて有効です。
(3)データの設定変更
“CHG”(Change)ボタンで、各領域にある当該データを変更することができます。値を変更すると当該データの背景色が淡黄色に変わりますから、変更した項目は一目瞭然です。
“>”や“<”ボタンで各項目のデータを領域間でコピーすることができます。コピーで値が変わった場合も、当該データの背景色が淡黄色に変化しますから、以前のコンフィギュレーション情報から変更した項目を見失うことがありません。“All Copy <<”ボタンを押すと、“Device Configuration”領域にあるデータを一括して“File Configuration”領域にコピーし、“>> All Copy”ボタンを押すと、“File Configuration”領域にあるデータを一括して“Device Configuration”領域にコピーすることができます。
(4)データの比較
“File Configuration”領域と“Device Configuration”領域にあるコンフィギュレーション情報を比較することができます。“Device Configuration”領域の“Compare”ボタンを押すと、“File Configuration”領域のデータとの比較を行い、異なるデータはその背景色が淡赤色で示されます。“File Configuration”領域の“Compare”ボタンを押すと、“Device Configuration”領域のデータとの比較を行い、異なるデータはその背景色が淡赤色で示されます。これらは、デバイスに書き込まれているデータが意図した設定ファイルの設定値と相違がないかどうか、また、デバイスに書き込もうとするデータと現在書き込まれているデータとどこが違うのかを確認するのに役立ちます。
以上にご紹介したファイル操作機能の追加によって、より安全で確実な機器管理がより短い時間でできるようになりました。
お わ り に
現在の「M3・UNITシリーズ」変換器のラインアップは、表1に示す6機種となっています。まもなく、測温抵抗体変換器(形式:M3LR)とポテンショメータ変換器(形式:M3LM)を皆様のもとへお届けできることとなります。どうぞご期待ください。また、ファイル操作機能に関してもM3LUだけでなく、他機種にも順次展開していく計画であり、今後とも「M3・UNITシリーズ」変換器をよろしくお願いします。
表1 M3・UNITシリーズラインアップ
製 品 名 称 |
形 式 | 基本価格 |
ユニバーサル変換器 | M3LU | 39,000円 |
パルスアナログ変換器 | M3LPA | 39,000円 |
ロードセル変換器 | M3LLC | 39,000円 |
直流入力変換器 | M3LV | 34,000円 |
カップル変換器 | M3LT | 35,000円 |
ディストリビュータ | M3LDY | 39,000円 |
測温抵抗体変換器(近日発売予定) | M3LR | 35,000円 |
ポテンショメータ変換器(近日発売予定) | M3LM | 35,000円 |
パソコン設定可能形 +4,000円 |
注)実用新案および商標登録済みです。