2005年10月号
エムエスツデー 2005年10月号

操作性が向上した スペックソフト形
パルス変換器7機種のご紹介
(株)エム・システム技研 開発部
は じ め に
エム・システム技研では、スペックソフト形パルス変換器(代表形式:JPAD)を製品化してから今日まで十数年間、多くのお客様にご愛顧、ご愛用いただいて参りました。
今回ご紹介する新形のスペックソフト形 パルス変換器 7機種は、従来のパルス変換器の機能をそのまま引き継ぎ、操作性、使い勝手などについて仕様の改善を行ったパルス変換器です。仕様改善の要点は次に挙げる2点です。
(1)前面ディップスイッチ/トリマによる入力種類の設定
7機種すべてに関して、入力の種類やノイズフィルタの設定を前面ディップスイッチ/トリマを使用して、現場で容易に変更することが可能です。
(2)警報出力にリレー接点を採用
警報出力をもつ機種では、出力にリレー接点を採用することにより、接続機器との絶縁が取れるようにしています(従来のスペックソフト形パルス変換器はオープンコレクタ出力でした)。
本稿では、操作性を向上した、新しいスペックソフト形パルス変換器(形式:JPA2、JTY2、JPQ2、JRP2、JRQ2、JFR2、JPS2)の機能、特長、アプリケーション例などについて簡単にご紹介します。
表1 機器対応表
製品名称(従来形) |
形 式 |
製品名称(新形) |
形 式 |
||
1 |
パルスアナログ変換器 | JPAD |
→ |
パルスアナログ変換器 | |
2 |
− |
− |
デューティパルスアナログ変換器(新機種) | ||
3 |
パルス積算アナログ変換器 | JPQD |
→ |
パルス積算アナログ変換器 | |
4 |
ロータリエンコーダ速度アナログ変換器 | JRPD |
→ |
ロータリエンコーダ速度変換器 | |
5 |
ロータリエンコーダ位置アナログ変換器 | JRQD |
→ |
ロータリエンコーダ位置変換器 | |
6 |
パルス加算器 | JPSM |
→ |
パルス加算器 | JPS2* |
7 |
周波数レート変換器 | JFRD |
→ |
周波数レート変換器 |
*JPS2は入力周波数が2kHzまで、パルス数の加算のみ
1.パルスアナログ変換器(形式:JPA2)
JPA2は、入力パルスの周波数をアナログ出力に変換します。入力周波数については、0.01Hzから100kHzまで幅広く対応しています。
通常のパルスアナログ変換器では、オーバル式流量計の出力信号のような周波数が随時変化するパルス信号を入力すると、出力値に脈動が生じます。しかし、JPA2では「不均等パルス(間隔)の補正」機能を使用することによって、脈動の少ない出力値に変換できます 。
【アプリケーション例】
回転速度検出用ロータリエンコーダからのパルス周波数信号をアナログ値に変換したり、流量計の出力パルス信号をアナログ値に変換するため使用します。
2.デューティパルスアナログ変換器(形式:JTY2)
JTY2は、入力パルスのデューティ比(周期に対する「H」または「L」の時間の割合)をアナログ出力に変換します。デューティ比が50%のパルス信号を入力した場合、アナログ出力値は50%になります。入力信号としては0.1Hz~1kHzの周波数に対応し、デューティ比1~99%をアナログ信号に変換できます。
【アプリケーション例】
PWM信号(温調計のON/OFF制御信号など)をアナログ値に変換するのに使用します。
3.パルス積算アナログ変換器(形式:JPQ2)
JPQ2は、入力パルスの積算(入力パルス数のカウント)を行い、アナログ出力に変換します。
入力レンジを0~1,000パルスに設定すると、500パルスで出力50%、1,000パルスで出力100%になります。また、カウントオーバフロー時の動作の一つである「100%リセット」を設定すると、上述の場合、1,000パルス目(スパンカウント値)のパルスで出力が0%に戻り、1から再カウントします(図2)
【アプリケーション例】
流量計からのパルス信号をJPQ2に入力することにより、積算値(積算パルス数)をアナログ値に変換することができます。
4.ロータリエンコーダ速度変換器(形式:JRP2)
JRP2は、可逆転ロータリエンコーダから出力される2相パルス信号を入力とし、ロータリエンコーダの回転方向(正/逆回転)と回転速度(周波数)をアナログ出力に変換します(図3)。
JRP2の入力レンジを−1kHz~1kHzに設定すると、ロータリエンコーダが逆回転で1kHzのときは出力0%、回転が止まっているときは出力50%、正回転で1kHzのときは出力100%となります。
5.ロータリエンコーダ位置変換器(形式:JRQ2)
JRQ2はロータリエンコーダから出力される2相パルス信号を入力とし、ロータリエンコーダで計測した機器の移動距離など(ロータリエンコーダから出力されるパルス数)をアナログ出力に変換します(図4)。
JRQ2の入力レンジを0~100,000に設定すると、最初の位置から正方向に100,000パルス分ロータリエンコーダが回転すると、出力が100%になり、そこから逆方向に100,000パルス分回転すると、出力は0%に戻ります。
6.パルス加算器(形式:JPS2)
JPS2は入力1、入力2のパルス数を加算し、加算されたパルス数を出力します(出力パルス数=入力1パルス数+入力2パルス数)。
【アプリケーション例】
2台の流量計からの流量パルス数の加算に使用できます。
7.周波数レート変換器(形式:JFR2)(開発中)
JFR2は、入力したパルス周波数を5倍、10倍、100倍、1/5倍、1/10倍、1/100倍というようにレート変換し、出力周波数に反映させます。
100%入力周波数と100%出力周波数とを別々に設定することによってレートを決定するため、入力、出力周波数が大幅に異なる場合にも入、出力周波数の設定が可能です。
【アプリケーション例】
回転機器から出力される回転速度に関連したパルス信号を、単位周波数に変換する場合に使用します(なお、JFR2はパルス数そのものの変換はできません)。
お わ り に
スペックソフト形 パルス変換器(形式:Jxx2)は、使いやすく、分かりやすい操作性を目指して開発しました。今後とも、多くのお客様のご意見、ご要望を反映させ、操作性や機能の向上に努めたいと考えていますので、よろしくご援助願います。
エム・システム技研のパルス変換器には、このほかにプログラミングユニット(形式:PU-2A)などの設定器を必要とせず、前面パネルで設定、表示可能な以下のパルス変換器も用意しています。