2005年12月号
エムエスツデー 2005年12月号

Webロガーのアプリケーション
− TL2Wの自動時刻合わせ機能 −
Webロガーは、インターネットやイントラネットを通信手段として用い、現場設備の動作状況を中央の管理コンピュータや管理者の携帯電話で監視/管理するための遠隔監視用データロガーです(図1)。
遠隔監視装置においては、当然のことながら、それがもつ時計は正確でなければなりません。事象の発生を検出した場合、自分の時計で読み取った発生時刻を付けて通報したり、日報を作成する場合、その時計で日の切り替わり(0時00分)を判定して日報の締切りを実行したりするからです。
一般に、Webロガーの監視対象になる設備は、次のような特徴をもっています。
(1)管理者が常駐しない遠隔地にある
(2)マンホール設備や風車設備のように一定地域内に数十設備が群を構成する形態がある
したがって、これら個々の設備の時計を正確に保つこと、そして設備間の時刻のばらつきをなくすことは従来から遠隔監視業務に課せられた大きな命題でした。
従来は、この目的のため次のような方法が採用されていました。
(1)管理者が必要に応じて現場を巡回し、時計の修正設定を行う
(2)管理者が中央の管理コンピュータから電話回線などの通信回線を各現場設備に接続し、設定画面を使って手動操作で修正設定を行う。この操作を全設備について順番に行う
(3)開発費用を投じてアプリケーションソフトを構築し、上記(2)の作業を自動化する
Webロガーを使用すれば、このような労力・出費なしに、個々の設備の時計を正確に保つという命題を実現できます。その詳細を以下に説明します。
(1)インターネット上には、Webロガーなどのクライアント(依頼者)の要求に応じて正しい時刻を教えてくれる、NTPサーバといわれるWebサイト(拠点)が多数存在する(検索エンジンで「NTPサーバ」を検索できます)
(2)NTPサーバを運営しているのは、研究機関/大学/気象庁/有力ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)など、信頼できる機関/企業である
(3)Webロガーは、自分の標準機能でNTPサーバに正しい時刻をもらいに行って取得し、それによって自分の時計を修正する
(4)Webロガーでは、付属の設定ソフト:TL2ビルダーの画面を用いて次の諸設定を実行できる
• 取得するNTPサーバのIPアドレス2つ設定(最初の1つから取得できなかった場合のバックアップ用を含む)
• 取得タイミングの指定
• 1時間単位の取得周期設定
(5)設定されると、以後Webロガーはその設定を忠実に実行する
結果として、下記のようにシステム構築費用、保守費用が大幅に低減し、かつ理想的な時刻運用を実現できます。
(1)システムの管理者は、時刻修正の労力から100%解放される
(2)管理コンピュータ上に時刻管理機能ソフトを構築するなどの投資が不要になる
(3)正確な時刻でシステムを運営でき、設備間の時刻のばらつきも皆無になる
NTPサーバの選択基準としては、Webロガーが加入するISPのNTPサーバを採用するのが堅実な方法です。また、研究機関などを選ぶ場合は、地理的に近いNTPサーバを選定するのがよいと思われます。
すでにWebロガーを採用されている多くのお客様がこの機能を実用し、満足な結果を得ておられます。エム・システム技研の公開マンホールポンプデモシステムでは、この機能を3年間使用しています。マンホールポンプグラフィックWeb画面の最上部に表示される時計は、このようにして取得した時刻を10秒ごとに表示更新しています注)。
イントラネットの場合は、Webロガーが直接NTPサイトから時刻を取得することはできません。しかし、管理コンピュータにNTPサーバ機能を搭載することは容易であるため、Webロガーはこれを使うものとします。管理コンピュータがインターネットのNTPサイトを使って自分の時計を正確に維持しておけばよいわけです。
注)http://220.99.71.147/ManPonApplet.htmlで参照できます。
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【(株)エム・システム技研 システム技術部】