2006年9月号
エムエスツデー 2006年9月号

パネル埋込形
電力マルチメータ(形式:53U)
(株)エム・システム技研 開発部
は じ め に
近年、省エネを実現したいという強い要請を受けてエネルギー管理の重要性が叫ばれ、電力計測が果たす役割は極めて重要になってきました。
エム・システム技研では、このような動きに機敏に対応すべく、「経済的で簡単に実現できる電力監視システム」を合い言葉に、電力変換器の拡充に力を注いでいます。
今回は、電力変換器シリーズに新たに加えられた電力マルチメータ(形式:53U、図1)をご紹介します。
1.主な機能と特長
(1)測定要素
パネル埋込形 電力マルチメータ 53Uは、1台で単相2線、単相3線、三相3線、三相4線 といったすべての結線方式に対応できます(図2)。
また、電圧、電流、有効電力、無効電力、力率、周波数、皮相電力、電力量、無効電力量、高調波注)といった演算項目から、ご希望に合わせてお客様が自由に必要項目を選択・測定し、表示できるフレキシブルで高機能なマルチメータです。
測定要素数は、上記諸項目に最大値、最小値、デマンドなどを加え、合計500種類に及びます。また、表示パターンの種類は1800種類にもなります。
(2)LCD表示
53Uの主要機能である表示には デザイン性に優れたLCDを採用し、4行表示としました。
最下行は文字によるインフォメーション機能をもたせました。通常は積算値の表示を行っていますが、警報発生時には警報の内容を文字で点滅表示することによってオペレータに知らせます。
操作設定時には、操作項目を文字で表示し、取扱説明書を見なくても現在の状態が把握でき、複雑な機能を簡単に設定できるようにしました。
また、上の3行と連動するバーグラフを3個用意し、現在値(%表示)を一目で把握できるようにデザインし、日常の監視に威力を発揮します。
輝度が4段階で調整できるバックライト付き表示器を採用しているため、設置場所の明るさによって制限を受けず、柔軟に対応することができます。
また、未操作状態が設定した時間続くと、あらかじめ設定した表示に戻るホーム表示機能を設けました。表示項目を変更して特別な計測を行った後、そのまま放置して他の作業に移ることが許されるため、作業時間を節約できます。
(3)操作性
計測表示内容は、前面キーを押していくことで、電圧 → 電流 → 電力・・・のように簡単に変えられます。
その場合、間違って設定値(たとえば入力トランスのレシオなど)を変えてしまわないように、暗証番号による設定保護機能を備えています。この機能は、暗証番号が合致しないと設定メニューに入れなくするものです。
また当然ながら、動作中に電源が落ちた場合にも、設定パラメータや電力量などはきちんと不揮発性メモリに蓄えられています。
(4)通信機能
53Uがもつもう一つの主要機能は、 計測したすべての演算項目を標準装備しているRS-485 Modbus通信で伝送でき、各電力供給ラインごとに配置した53Uを上位でまとめて監視することによって、各種電力データの収集分析が容易に実現できることです。
また、通信機能を使って警報値やバックライトの輝度変更などの各種設定も可能です。
(5)オープンコレクタ出力
オープンコレクタ出力は、電力量計測用のパルス出力と警報出力のいずれかに設定できます。また、その際パルスレートや警報設定値も自由に設定できます。なお、模擬出力機能を装備し、あらかじめ設定してあるパルス数信号を送ることができるため、立ち上げ時に容易に接続を確認できます。
(6)接点入力
接点入力については、電力量のリセットなどの目的に設定できます。またModbusによって接点の状態をモニタできるため、負荷のON/OFF情報を測定データとともに伝送可能です。
2.国際規格に対応
53UはCEマーキングに適合しています。安全規格はEN61010に準拠し、そのランクはProtection Class II、設置カテゴリIIIです。
また、電気機械器具の容器に関する保護等級としてはパネル面がIP50(IEC 60529 参照)に準拠しています。
お わ り に
今回ご紹介した電力マルチメータ 53Uは、電力管理を行う上で極めて有用な製品であると確信しています。
なお、エム・システム技研は、今回ご紹介した53U以外にもたくさんの電力関連製品を用意しています。
エム・システム技研の電力変換器シリーズを省エネ実現のために、ぜひお役立てください。
注)高調波は、電流・電圧について 31次高調波まで測定可能です。