2006年9月号
エムエスツデー 2005年9月号

機能アップ版 エンベデッドコントローラ
「R3RTU-EM/002」新登場
(株)エム・システム技研 開発部
は じ め に
発売以来ご好評をいただいているエンベデッドコントローラ(形式:R3RTU-EM、図1)注)について、このたび、その組込済ソフトウェアを「コントローラ機能002」(形式:R3RTU-EM/002)にバージョンアップしました。
エンベデッドコントローラ R3RTU-EMは、MsysNetシステムの機能を継承するコントローラです。
R3シリーズのI/Oと組み合わせることによってマルチループコントローラとして動作し、上位ソフトウェア、たとえばWebブラウザ形 次世代計装ソフトウェアSCADALINX HMI と組み合わせれば容易に制御システムを実現することができます。
今回、「コントローラ機能002」については、主に4つの機能アップを実現しました。その詳細について、以下にご説明します。
1.全計器ブロックの実装
MsysNet計器ブロックリストに掲載されている全計器ブロック(モデム端子を除く)を搭載しました。
「コントローラ機能001」では、基本的な41種のブロックだけを実装していましたが、今回、新たにパルス入力、むだ時間演算、アナンシエータなど22種を追加し、合計63種類の計器ブロックを実装しました。
MsysNet で培われてきた計器ブロックの機能をフルに活用し、より簡単に、より複雑な機能を構築することが可能になりました。
2.利用可能な I/Oカードの拡充
入出力カードとして実装できる、R3シリーズ 入出力カードの種類を増やしました。熱電対入力、測温抵抗体入力、CT・PT入力などセンサ直入力カードも利用可能になりました。
たとえばCT入力カードとデジタル出力カードを実装すれば、デマンドを監視できます。
また、入出力カードの使用可能枚数の制限を解除し、16スロット用のR3シリーズ ベース(形式:R3-BS16)を用いた場合、最大14枚までの入出力カードを実装できるようになりました。直流電流入力16点用カード2枚とDC4~20mA出力4点用カードを4枚用いれば、16ループのカスケードPIDコントローラを実現できます。
利用可能なリモートI/O R3シリーズの入出力カードを表1に示します。
表1 利用可能なリモートI/O R3シリーズの入出力カード
入出力カードの種類 ※1 |
形 式 |
|
ア ナ ロ グ 入 出 力 カ | ド |
直流電流入力 絶縁4点 | R3-SS4 |
直流電流入力 絶縁8点 | R3-SS8 | |
直流電流入力 非絶縁16点 | R3-SS16N | |
直流電圧入力 絶縁4点 | R3-SV4 | |
直流電圧入力 絶縁8点 | R3-SV8 | |
直流電圧入力 非絶縁16点 | R3-SV16N | |
直流電圧出力 絶縁4点 | R3-YV4 | |
直流電圧出力 絶縁8点 | R3-YV8 | |
DC 4~20 mA出力 絶縁4点 | R3-YS4 | |
熱電対入力 絶縁4点 | R3-TS4 | |
熱電対入力 絶縁8点 | R3-TS8 | |
測温抵抗体入力 絶縁4点 | R3-RS4 | |
測温抵抗体入力 絶縁8点 | R3-RS8 | |
ポテンショメータ入力 絶縁4点 | R3-MS4 | |
ポテンショメータ入力 絶縁8点 | R3-MS8 | |
ディストリビュータ入力 絶縁4点 | R3-DS4 | |
CT(交流電流)入力 絶縁4点 | R3-CT4 | |
交流電流入力 絶縁4点(クランプ式交流電流センサCLSA用) | R3-CT4A | |
交流電流入力 絶縁4点(クランプ式交流電流センサCLSB用) | R3-CT4B | |
交流電流入力 絶縁8点(クランプ式交流電流センサCLSA用) | R3-CT8A | |
交流電流入力 絶縁8点(クランプ式交流電流センサCLSB用) | R3-CT8B | |
PT(交流電圧)入力 絶縁4点 | R3-PT4 | |
デ ジ タ ル 入 出 力 カ | ド |
フォトカプラ絶縁入力16点(DC 13 V) | R3-DA16 |
フォトカプラ絶縁入力16点(外部DC 24 V) | R3-DA16A | |
フォトカプラ絶縁入力16点(外部AC 100 V) | R3-DA16B | |
フォトカプラ絶縁入力32点(外部DC 24 V) | R3-DA32A | |
リレー出力16点 | R3-DC16 | |
オープンコレクタ出力16点 | R3-DC16A | |
トライアック出力16点 | R3-DC16B | |
オープンコレクタ出力32点 | R3-DC32A | |
※1 | 通信カードとの共存時は 、通信2重化タイプの入出力カードを選択します。 クランプ式交流電流センサ用入力カードは、300Aを超えるレンジは使用できません。 各カードの仕様につきましては、各カード個別の仕様書をご覧ください。 |
3.通信カードとの共存
リモートI/O R3シリーズの通信カードをR3RTU-EMと一緒に使用することが可能になりました。利用可能な通信カードを表2に示します。
表2 利用可能なR3シリーズ 通信カード
製 品 名 |
形 式 |
|
通 信 カ | ド |
CC-Link用(アナログ16点対応) | R3-NC1-N |
CC-Link用(アナログ32点対応) | R3-NC2-N | |
CC-Link用(Ver.2対応) | R3-NC3-N | |
DeviceNet用(アナログ16点対応) | R3-ND1-N | |
DeviceNet用(アナログ32点対応) | R3-ND2-N | |
Modbus/TCP(Ethernet)用 | R3-NE1-N | |
Modbus用 | R3-NM1-N |
ご使用の際は、通信カードのメイン/サブ切換ディップスイッチをサブに設定し、通信2重化タイプの入出力カードを用います。入力信号は、R3RTU-EMとリモートI/O上位PLCの双方で利用できるようになりました。
ただし、リモートI/O上位PLC側からR3シリーズの出力カードへのデータ出力をすることはできません。
通信カードと共存させるシステムの例を図2に示します。
4.マルチループPID機能の充実
R3RTU-EMは、1台のコントローラの内部に複数台のMsysNetコントローラを仮想的に配置(図3)し、マルチループコントローラを実現します。「コントローラ機能002」では、従来の2倍に当たる16枚の仮想カードを配置できます。1仮想カード当たり2個の調節計を装備していますから、最大32個のPID調節計を配置できます。
また、処理周期の高速化を実現し、従来100msであった最速処理周期を20msに改善したため、応答速度の速い制御にも対応可能です。
お わ り に
エム・システム技研の新計装システムにおける基幹機器 R3RTU-EM への追加機能「コントローラ機能002」について簡潔にご説明しました。対応する入出力カードの追加など、R3RTU-EMは今後も発展を続けていく予定です。
なお、R3RTU-EMの設定に際しては、Ver1.40A以降のビルダーソフト(形式:SFEW)を必要とします。
また、ご不明点・ご疑問点については、エム・システム技研ホットラインまでお問い合わせください。
今後も、エム・システム技研の次世代計装システムをよろしくお願いします。
注)『エムエスツデー』誌2005年6月号 「MsysNetシステムを進化発展させるSCADALINXとR3RTU-EM」参照。
*MsysNet、SCADALINX は、エム・システム技研の登録商標です。