2007年6月号
エムエスツデー 2007年6月号

73VRシリーズに新登場、
分散設置に最適な入出力機器分離形記録計
チャートレス記録計(形式:73VR1100)(1)
(株)エム・システム技研 開発部
は じ め に
チャート紙やインクリボンなどの交換、補充などのメンテナンス作業が不要で、省力化やランニングコスト低減を実現した現場形チャートレス記録計として、エム・システム技研では2005年末から73VR3000(入出力カード選択形)注1)を皮切りに、73VR2100(ユニバーサル入力対応)注2)、73VR3100(73VR3000のTFT液晶版)注3)などの「73VRシリーズ製品」を次々に発売し、ご好評をいただいています。
上記の73VR2100、73VR3100 はI/O(入出力機器)一体形であるため、測定点が近在している場合に適しています。他方、分散した測定箇所のデータを一括して安価に記録したいというご要望もあります。今回ご紹介する73VRシリーズの新機種73VR1100 は、このようなご要望にお応えするI/O分離形のチャートレス記録計です。
73VRシリーズ各種製品の仕様比較を表1にまとめたので、ご参照ください。
以下、チャートレス記録計 73VR1100 の特長とシステム構成についてご紹介します。
表1 73VR1100、73VR2100、73VR3100 の仕様比較
形 式 |
73VR1100 |
73VR2100 |
73VR3100 |
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測定点数 | 64、128(演算チャネル含む) | 2、4、6 | 4~64 | |
演算点数 | 32、64 | 12 | 16、64 | |
データ保存周期 (高速) |
100ミリ秒 |
20ミリ秒、100ミリ秒 | ||
データ保存周期 (通常) |
0.5秒、1秒、2秒、5秒、10秒、1分、10分 |
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入力信号 | リモートI/Oで選択 | ユニバーサル入力 | R3シリーズ用 I/Oカードで選択 |
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DC電圧・電流、熱電対、 測温抵抗体、Di/o、 積算パルス、 AC電圧・電流・電力など |
DC電圧、熱電対、 測温抵抗体、Di/o |
DC電圧・電流、熱電対、 測温抵抗体、Di/o、 積算パルス、 AC電圧・電流・電力など |
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トリガ入力(本体) | なし | 1 | なし | |
警報・異常時接点出力 (本体) |
警報×1、異常時出力×1 | 警報×1(異常時出力兼用) | なし | |
外形寸法 | 144(W)×144(H)× 133(D)mm |
144(W)×144(H)× 172(D)mm |
144(W)×144(H)× 245.1(D)mm |
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質 量 | 約1.7 kg | 約2.3 kg | 約2.3 kg ( 入出力カードを除く) |
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表示部仕様 | 表示 デバイス |
5.5型 TFT液晶 |
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表示色 | 256色 |
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解像度 | 320×240ドット |
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ドットピッチ | 0.12×0.35 mm |
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バックライト | 冷陰極管 |
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インタ フェース 部 |
Ethernet | IEEE802 および IEEE802.3 規格準拠、10BASE-T/100BASE-TX(自動切換) |
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RS-485 | 38400 bps |
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IPアドレス | 192.168.0.1(工場出荷時) |
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CFカード スロット |
1スロット(Typeに対応) |
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動作電圧 3.3V カード対応 |
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USB | Ver 1.1準拠 |
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電 源 | 交流電源 : AC100~240V、 直流電源 : DC24V |
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防塵・防滴仕様 | IP65準拠(パネル取付時前面のみ、ただし密着取付時除く) |
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添付 ソフト ウェア |
ビルダ | 73VR11BLD: ビルダソフト(設定用) |
73VR21BLD: ビルダソフト(設定用) |
73VR31BLD: ビルダソフト(設定用) |
ビューワ | 73VRWV:波形ビューワソフト(収録データの表示・解析) |
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レコーダ | MSR128:PCレコーダソフト |
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その他 | コメント文挿入機能あり、 グラフィック表示可 |
コメント文挿入機能あり | PLC接続可 |
1.特 長
• 最大128点の多チャネル記録が可能です。
• エム・システム技研の多種多様なリモートI/O が使用できます。
• リモートI/Oとは通信ラインで結ばれるため、高価なセンサ用配線を引き回す必要がなくなり、設置費用を削減できます。
• 設置スペースが十分に確保できない盤や筐体に組み込む場合でも、I/O機器と記録計本体が分離しているため、設置方法に柔軟性があり、組み込みが容易です。
• 測定箇所を視覚的に認識できる簡易グラフィック表示が可能です。
• データ収録中にコメント文の自動挿入ができるため、コメント文を使っての過去データの検索およびデータ分割機能注4)によって、データ解析が従来より容易に行えます。
2. システム構成(1)
■ リモートI/O との接続
図2に73VR1100 を使ったシステムの構成例を示します。
• EthernetまたはRS-485に接続されたリモートI/Oのデータを収録できます。
• 高速サンプリング時(100ミリ秒)は、リモートI/O R3シリーズが1ステーション(通信カード R3-NE1 使用)の場合にだけ接続できます(RS-485接続は不可)。
• 通常サンプリング時(0.5秒~10分)は、Ethernet によるリモートI/O R3シリーズ 2ステーションの接続またはRS-485による15台までの各種リモートI/O の接続が可能です。ただし、1台の73VR1100 でEthernet とRS-485が混在する接続はできません。
• ネットワーク変換器(形式:72EM-M4)を使えば、RS-485接続機器をEthernetに接続できます。1台の72EM-M4 に接続できるRS-485接続機器は最大15台です。
図2 システム構成例[拡大図]
3.システム構成(2)
■ パソコンとの接続
• パソコン側の上位ソフトウェアとしては、他の73VRシリーズと同様、73VR用支援パッケージ(形式:73VRPAC2)を用意しました。
PCレコーダソフト(MSR128)はパソコンでの記録・監視にご利用ください。73VR1100とパソコンとはEthernet で接続します(MSR128 側のサンプリング速度は最速で0.5秒です。73VR1100 が100ミリ秒サンプリング時には MSR128 では0.5秒毎のデータが表示・収録されます)。
• 1台の MSR128 には73VR1100 を最大4台まで接続できます。また、128点までの集中監視が可能です。
• 1台の73VR1100 には2台のMSR128 が接続でき、2箇所でのパソコンによる監視が可能です。
• 73VR1100用ビルダソフト(73VR11BLD、パソコンによる73VR1100 設定用ソフトウェア)、73VR 用波形ビューワソフト(73VRWV、収録データの波形表示、解析、アップロード、CSV変換、データファイル分割用ソフトウェア)も用意しています。
次回は、対応リモートI/O、73VRシリーズの新機能、簡易グラフィック表示、コメント文挿入機能を中心にご説明します。
(本稿にてご説明した仕様は、今後一部変更になる場合があります。ご購入時には、最新の仕様書にてご確認ください)
注1)73VR3000 については『エムエスツデー』誌2005年9月号、2006年6月号をご参照ください。
注2)73VR2100 については『エムエスツデー』誌2006年7月号をご参照ください。
注3)73VR3100 については『エムエスツデー』誌2006年10月号をご参照ください。
注4)1つの収録データファイルをコメント毎に分割されたデータファイルに分ける機能。