2007年9月号
エムエスツデー 2007年9月号

耐環境性に優れた高性能 PCスペック形、絶縁付
測温抵抗体変換器(形式:27RS)
(株)エム・システム技研 開発部
は じ め に
エム・システム技研は多くの種類の2線式変換器を販売していますが、今回は、2線式ヘッドマウント形変換器 27・UNITシリーズに属する新開発の測温抵抗体変換器(形式:27RS )をご紹介します(図1)。
27・UNITシリーズは、PC などを用いてデジタル方式で設定・調整を行うタイプの温度変換器です。
27・UNITシリーズ には、現在、2線式ユニバーサル温度変換器(形式:27HU)というユニバーサル入力のHART通信に対応した製品があり、27RS はこれに続くものです。
特 長
(1)高精度
27RS は、中間クラスの価格帯に位置する極めて高精度な変換器です。精度は、0.15℃または0.075% of span あるいは0.075% of max range 注1)のいずれかの最大値と定義されています。
また、温度係数も−40~85℃ の範囲で 75ppm/℃ を保証し、過酷な温度環境においても高精度を保持します。
精度については、世界のヘッドマウント形変換器の中でトップクラスにありますが、コストパフォーマンスの高い経済的な価格を実現しています。
(2)簡単な設定作業
27RS は、専用のPCコンフィギュレータソフト(形式:27MCFG)注2)によって、センサの種類、接続線の数、温度レンジ、バーンアウト、上下限リミット値、センサの校正、出力信号の調整、ダンピング定数などの設定が簡単に行えます。また、300ポイントまでのユーザテーブルを自由に設定できるため、これ1台でほぼ万能の測温抵抗体変換器であるといえます。
(3)便利な機能表示ランプ
27RS では便利な機能表示ランプ付きをお選びいただけます注3)(図3)。
機能表示ランプは、単に電源からの給電を確認できるだけではありません。ランプの点滅パターンを視認することによって、入力信号の大きさの概要をはじめとし、機器本体の異常も確認できます。入力信号についてはDC1~5Vの出力をイメージして、1~5の数値に変換して表現しています。
1(入力25%)相当を長めの点灯、0.2(入力5%)相当を短めの点灯とし、5% 刻みの表現を可能にしています(図4(a))。
また、バーンアウトや入力の上下限リミットの状態についてもそれぞれの点滅パターンを用意しています(図4(b))。
センサヘッドに収められた状態では、ランプの視認はできませんが、設置時やメンテナンス時には、大きい効果を発揮できると確信しています。
(4)EMC指令に適合
CEマーキングは、電磁波などによる障害や製品の安全性に対する欧州連合の指令に、製品が適合していることを示します。27RS は、その指令の一つであるEMC(電磁両立性)指令に適合しています。
すなわち、電波ノイズなどの電磁波障害に対しても優れた安定性を保ち、また、自らも不要な電磁波の放出を抑えています。そのほかにも耐雷サージや耐静電気などの試験をクリアする必要があり、CEマークの表示は優れた製品の証拠でもあります。
(5)本質安全防爆への対応
現場設置形変換器に関する欠かせない要求仕様として、本質安全防爆への対応があります。27RSはFMおよびCEマーキングの一つであるATEX指令の本質安全防爆の認定取得を予定しており、ZONE 0 への設置を考慮しています。
国際規格IEC60079-10では、危険なガスなどが存在する可能性に応じて、危険場所を下記のように分類しています。
• ZONE 0:爆発性雰囲気が、連続して又は長時間存在する区域
• ZONE 1:爆発性雰囲気が、プラント等の正常運転時に生成するおそれがある区域
• ZONE 2:爆発性雰囲気が、プラント等の正常運転時に生成するおそれはなく、また仮に非正常時に生成するとしても、短時間しか存在しない区域
お わ り に
以上、このたび新しく開発した現場設置形 測温抵抗体変換器(27RS)についてご紹介しました。27RS は、PCによる設定が可能で、価格的には中間クラス(ミドルレンジ)に位置します。ミドルレンジの製品の拡充を目指して、現在 27R(非絶縁測温抵抗体入力用)、27TS(熱電対入力用)の開発も進めています。
いずれの製品も価格はミドルレンジですが、性能についてはハイエンドと遜色ない性能を誇っています。ぜひ一度、実際に確かめていただければ幸いです。
エム・システム技研は、今後も一層魅力のある現場形温度変換器づくりを目指して努力してゆく所存です。ご意見、ご要望をお寄せくださいますよう、よろしくお願いします。
注1)max range:0%または100%に対応する温度でその絶対値が大きい方。
注2)PCコンフィギュレータソフトは、エム・システム技研のホームページ http://www.m-system.co.jp/ からのダウンロードメニューに追加する予定です。
注3)ただし、本質安全防爆非対応品の場合。