2008年12月号
エムエスツデー 2008年11月号

長野県御代田町で配水池の
集中監視システムに採用されたWebロガー
(株)エム・システム技研 カスタマセンター システム技術グループ
長野県北佐久郡御代田(みよた)町は、標高838mに位置し、日本屈指の活火山である浅間山(標高2,568m)の南麓に広がる地域にあります。
長野県の東の玄関口にあたり、東は軽井沢町に、南は佐久市に接し、近年では首都圏とのアクセス環境も整い、利便性と自然環境面に恵まれた暮らしやすい、自然豊かな高原の町です。
気候は、内陸の高原地帯にあるため年間を通じて冷涼で寒暖の差が大きく、風景は季節ごとに趣を変え、四季を通じて自然が織り成す折々の変化に出会うことができます。
今月は、この御代田町役場の建設課を訪ね、配水池の集中監視システムに採用されたWebロガーについて、上下水道工務係長 青木 芳則 様、そして今回のシステム構築を担当された中信アスナ(株)上田支店 宮坂 宏 様にお話を伺いました。
図2 システム構成図[拡大図]
[エム・システム技研、以下エムと略称]今回の集中監視システム導入の経緯をお教えください。
[青木]このシステムを導入する以前は、各配水池に異常通報装置を設置し、配水池で発生した異常は、役場に設置している電話機に音声通報をさせていました。
異常が発生すると、自動的にかかってくる電話を受けて現場に向かい、正常状態に復旧させる処置をとっていました。
また、配水池の流入・流出流量、水位などのデータに関しては、現場に設置した記録計でデータ収集を行っていました。
このデータ管理と異常通報をあわせて、事務所にいながら監視した方が効率が良いということで、今回のシステム導入となりました。
[エム]今回ご採用いただいた集中監視システムの概要をお教えください。
[宮坂]監視している配水池は5箇所あります。各配水池にWebロガー(形式:TL2W-ER2)を設置しています。Webロガーには、流入・流出流量、水位、残塩濃度などのアナログ信号と、設備の運転、故障などを示す接点信号とを取り込んでいます。
このWebロガーをISDN回線に接続し、NTT東日本が提供する「フレッツ・グループアクセス」を利用して、役場に設置しているパソコンを使って集中監視しています(図2参照)。
集中監視用のアプリケーションソフトウェアとしては、ジェイティエンジニアリング(株)製「JoyWatcher」を採用しました。
この監視用パソコンでは、5箇所の配水池データを一括監視しています。なお、グラフィック、トレンド、異常履歴の各画面を用意してデータを表示させています。
また、このシステムでは、現場設備で異常が発生した場合、もちろん異常履歴画面に異常内容が表示されますが、同時にパソコンから建設課が所有している携帯電話に対してEメールで異常通報を発信させています。
なお、これにあわせて役場事務所内に設置している警報用回転灯を異常発生時に点灯させ、担当者に知らせることも行っています。
[エム]今回、フレッツ・グループアクセス、Webロガーが採用された主な理由をお教えください。
[宮坂]フレッツ・グループアクセスの場合、NTTのフレッツISDN回線などのインターネット回線を利用して、構内LANのようなセキュリティーの高いネットワークが組めること、アナログ専用回線などの他の回線と比較してランニングコストが安くなることから提案させていただき、フレッツ・グループアクセスの採用となりました。
Webロガーを採用したポイントは、収集したトレンドデータなどを、ある程度Webロガー本体に保存できるという点です。
通常のアナログ専用回線を使用するテレメータでは、仮に通信回線が不通になった場合、中央側にデータが上ってこないということがあります。しかし、Webロガーの場合には、トレンドデータであれば7日間、事象発生履歴であれば8,000件までデータを本体に保存しています。回線復旧後パソコンからWebロガーに対して保存されている各データを取得しにいくことでデータを復旧できることを評価して、Webロガーを採用しました。
[エム]システムを導入されて、いかがでしたか。
[青木]このシステムの導入によって、異常が発生した際に現場がどのような状態になっているかを理解してから現場に向かえることに大変満足しています。
今後の予定として、残り5箇所の配水池についても今回のシステムに組み入れていきたいと考えています。
[エム]本日は、お忙しいところをありがとうございました。
本稿のシステムについての照会先:
(株)エム・システム技研
カスタマセンター システム技術グループTEL:06-6659-8200