2009年7月号
エムエスツデー 2009年7月号

リモートI/O R3シリーズの新製品紹介(2)
− 通信入出力カード(ゲートウェイカード)の使用例 −
(株)エム・システム技研 開発部
は じ め に
前回(『エムエスツデー』誌2009年6月号)の「リモートI/O R3シリーズの新製品紹介(1)」では、通信入出力カードの概要や機能などについてご紹介しました。
今回は、通信入出力カードの使用例のいくつかをご紹介します。
前回ご紹介した通信入出力カードは、リモートI/O R3シリーズの通信カードや入出力カードと組み合わすことによって、多種多様な使用方法が可能になります。
ここでは、その代表的な使用方法をご紹介します。
1.ゲートウェイ
リモートI/O R3シリーズの通信カード1枚と通信入出力カード1枚を組み合わせることによってフィールドバスのゲートウェイが実現できます。
表1に示すように、開発中および今後対応予定の製品を含めて13種類のフィールドバスに対応した通信カードと5種類の通信入出力カードを組み合わせることが可能です。この組み合わせによって65種類(同じフィールドバスの組み合わせを除くと60種類)のゲートウェイを実現できます。
表1 フィールドバスの通信カードと5種の通信入出力カードの組合せ
フィールドバス | 通信カード | 通信入出力カード | |
CC-Link用 | Ver.1アナログ16点対応 | R3-NC1 | R3-GC1 |
Ver.1アナログ32点対応 | R3-NC2※ | ||
Ver.2対応 | R3-NC3 | ||
DeviceNet用 | アナログ16点対応 | R3-ND1 | R3-GD1 |
アナログ32点対応 | R3-ND2 | ||
アナログ64点対応 | R3-ND3 | ||
Modbus用 | R3-NM1 | R3-GM1 | |
Modbus/TCP(Ethernet)用 | R3-NE1 | R3-GE1 | |
FL-net OPCN-2用 | R3-NFL1 | R3-GFL1 | |
LONWORKS 用 | R3-NL1※ | − | |
R3-NL2※ | − | ||
Tリンク用 | R3-NF1※ | − | |
PROFIBUS-DP用 | R3-NP1※ | − | |
MECHATROLINK-Ⅱ用 | R3-NML2(開発中) | − | |
MECHATROLINK-Ⅲ用 | R3-NML3(開発中) | − | |
BACnet用 | BA3-CB1 | − | |
Ethernet/IP用 | R3-NEP1(開発中) | − | |
EtherCAT用 | R3-NEC1(開発中) | − |
※間もなく通信入出力カードに対応する予定です。
図2に、一例としてModbus/TCPとCC-Linkのゲートウェイを示します。
2.入出力混在のゲートウェイ
前項でご紹介したゲートウェイに入出力カードを混在させて使用することが可能です。この結果、リモートI/O R3シリーズで準備している各種の入出力信号に対応したゲートウェイを実現することが可能です。
リモートI/O R3シリーズの入出力カードには、入出力点数、入出力端子台形状、入出力の種類などにより数多くの種類を準備しています。また順次機種の追加を行っています。したがって使用するシステムに適した無駄の少ないゲートウェイの実現が可能になると考えています。
3.折り返し機能
リモートI/O R3シリーズの通信カードには折り返し機能があります(図3)。この機能は入力カードに入力された信号を通信カードにて折り返し出力カードに出力する機能です。フィールドバスを経由してPLCで入力し、その値をPLCから出力するのではなく通信カードで折り返します。
この結果、PLCの負荷が減るだけでなく、フィールドバスの異常時にも入力のモニタリング、表示などを現場サイドで行えます。
この機能を用いることによって、入力カードからのデータを単に通信カードからフィールドバスに出力するだけではなく、通信入出力カードにも出力することが可能になります。
4.PLCのデータ収集1
エム・システム技研の製品であるPCレコーダソフトウェアMSRpro Ver.5(形式:MSR2K-V5)は、通信カード(形式:R3-NE1)と接続することによってデータの収集を容易に行えます(図4)。
今までは、PLCのデータを収集するために一旦アナログ信号や接点信号として出力し、その信号を入力しなければなりませんでしたが、ゲートウェイを用いることにより、たとえばCC-LinkをModbus/TCPに変換しPCレコーダでデータの収集が可能になります。異なるPLCのデータも容易に収集できます。
5.PLCのデータ収集2
現場でPLCのデータを収集するためには、チャートレス記録計(形式:73VR3100)が有効です。73VR3100にはリモートI/O R3シリーズの入出力カードを実装することが可能です。73VR3100に通信入出力カードを実装することによって73VR3100がPLCのデータ収集装置に早変わりします(図5)。
Modbus対応のチャートレス記録計(形式:73VR1100)の場合には、前項でご紹介した方法を使ってゲートウェイでPLCフィールドバスをModbus に変換すればデータ収集が可能になります。
お わ り に
エム・システム技研ではお客様からのご要望をお聞きして製品開発に反映させる努力を積み重ねています。2回にわたってご紹介した通信入出力カードの開発は、まさにお客様からのご要望を受けて出発しています。製品を作り始めるとこんな使い方も、あんな使い方もといった様々な使用方法が浮かび上がり驚かされました。今後ともご要望を新製品に反映できるように努めますのでよろしくお願いします。
*MSRproは(株)エム・システム技研の登録商標です。