2009年11月号
エムエスツデー 2009年11月号

「パナソニック電工製無線センサWR10」専用の
RS-232-C/RS-485プロトコル変換器
(形式:71M4-S2/0003)
(株)エム・システム技研 開発部
は じ め に
エム・システム技研では、現場での入力データを公衆回線やインターネットに接続して、データ送信を行うフィールドロガー(TL2シリーズ)、あるいは現場でデータを電子的に表示・記録するチャートレス記録計(73VRシリーズ、71VRシリーズ)など、検出・測定データ用入力機器とオープンフィールドネットワークで接続し、データを読み出して活用する監視機器をこれまでに多数発売して参りました。
それらに接続できる入力機器としては、エム・システム技研製品の各種リモートI/O(R1Mシリーズ、R3シリーズ、R5シリーズなど)や電力マルチメータ(53・UNITシリーズ、54・UNITシリーズ)などがあり、いずれもご好評をいただいています。
一方、他社製の入力機器を上記フィールドロガーやチャートレス記録計などの監視機器に接続したいという声も多く聞かれます。
今回、そのようなご要望に対応して、パナソニック電工製の無線温度センサをエム・システム技研製の監視機器に接続するインタフェース機器、RS-232-C/RS-485プロトコル変換器(形式:71M4-S2/0003)を開発しましたので、ここにご紹介します。
1.無線温度センサとは?
温度センサ自体(子機)は配線することなしに測温箇所に設置でき、無線通信によって親機に温度データを伝送できるため、たとえば冷蔵庫内の温度管理や室数の多いビルの空調管理などに適用できる、使い勝手の良い便利な機器です。
なお、温度センサに加えて湿度センサが付属している製品もあります。
また、1台の親機に対して複数の子機が接続できるため、後から測定ポイントを追加したい場合でも、配線の必要がなく容易に実現できます。
親機からは、RS-232-Cなどを用いて無線温度センサメーカー各社の独自のプロトコルによってパソコンなどにデータを転送する機能を備えています。
2.71M4-S2/0003の機能
(1)機能(表1)
● RS-232-C/RS-485プロトコル変換器(形式:71M4-S2/0003)は「パナソニック電工製無線センサWR10」の親機と接続し、子機から無線で送られてきた温度データを専用の通信プロトコルによって読み出します。最大で32台分の子機からの温度・湿度・(駆動用)電池残量信号を読み出します。
なお「WR10」の詳細については、パナソニック電工(株)のホームページをご参照ください。
表1 71M4-S2/0003の読み出しおよび送信データ
データ | 測定範囲 | 数値範囲 | データ形式 |
温度データ | −60.0~155.0℃ | −600~1550 | 16ビット長符号付整数 |
−60.0~155.0 | 32ビット長実数 | ||
湿度データ | 0~100% | 0~100 | 16ビット長符号付整数 |
0~100 | 32ビット長実数 | ||
電池残量信号 | 正常/残量少 | OFF:正常 ON :残量少 |
ビットデータ |
● 「71M4-S2/0003」は、フィールドロガー(TL2シリーズ)やチャートレス記録計(73VRシリーズ、71VRシリーズ)に接続し、Modbus-RTUプロトコルによってデータを送信します。送信するデータは温度、湿度信号、および「WR10」の子機の電池残量信号です。なお、温度、湿度データに関しては、上位機器に応じて、16ビット長符号付き整数または32ビット長実数が使用できます。また、電池残量信号としては、ビットデータを使用します。
(2)監視機器との接続
RS-232-C/RS-485プロトコル変換器(71M4-S2/0003)をインタフェースとして、「WR10」と上記監視機器とを接続することによって、温度管理したい場所に設置した「WR10」子機から、無線で読み出した温度データをフィールドロガー(Webロガー 形式:TL2W、TL2W2など)に送信し、インターネット経由で常時監視したり、温度の上下限をあらかじめ設定しておいて、異常温度になった場合に、Eメール通報をお手持ちの携帯電話に送信することもできます。
また、チャートレス記録計(形式:73VR1100、71VR1など)に接続すれば、データの変化推移を現場で表示・記録することもできます。
なお、ご参考までに、表2に接続可能な監視機器をリストアップしました。
表2 71M4-S2/0003をインターフェースとして
無線センサ「WR10」に接続可能な機器一覧
(3)接続例
71M4-S2/0003をインタフェースとした、Webロガー(形式:TL2W-ER2)と「WR10」との接続例を図2に、同じくチャートレス記録計(形式:71VR1)と「WR10」との接続例を図3に示します。
おわりに
以上、「パナソニック電工製無線センサWR10」専用のRS-232-C/RS-485プロトコル変換器(71M4-S2/0003)について簡単にご紹介しました。すでにエム・システム技研製フィールドロガーやチャートレス記録計、PCレコーダをご使用いただいているお客様、また新規にこれら製品の採用をお考えいただいているお客様、無線による温度監視をお考えの際には、エム・システム技研のRS-232-C/RS-485プロトコル変換器(71M4-S2/0003)を一度ご検討いただければ幸いです。
エム・システム技研では、今後「パナソニック電工製無線センサWR10」以外の無線温度センサについても、逐次対応していく予定です。さらに、無線温度センサ以外の様々な機器を対象とするインタフェース機器を開発していく予定であり、今後ともよろしくお願いします。
*MSRproは(株)エム・システム技研の登録商標です。