2017年7月号
エムエスツデー 2017年7月号

こんな変換器ご存じですか (その6)
機 種 | 絶縁2出力変換器 | 形 式 | WVS、WDY、WYPD、W2DYS、W2PP |
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今回は、絶縁2出力変換器をご紹介します。
1970年から1980年にかけて計装システムのデジタル化が急速に進み、計装システム全体をDCSやコンピュータが統合管理するようになりました。またその後、アナログ演算処理が充実したPLCが登場し、PLCと汎用PCで計装システムを管理することが可能になりました。このような時代を背景に、お客様から「現場の既設の制御ループはそのままにしておいて、温度や圧力、流量といったフィールド信号を分岐して、任意、所望な別用途に使用したい」というご要望が増えてきました。また分岐した信号は、雷による過電圧や動力源からのノイズが侵入して、上位機器の破損やシステムの誤動作を誘発する恐れがあるため、信号を分岐する機器は入力-出力-電源間をそれぞれ絶縁する必要がありました。
エム・システム技研ではそれらのご要望にお応えすべく、1988年にいち早く絶縁2出力 直流入力変換器(形式:WVS)、絶縁2出力 ディストリビュータ(*1)(形式:WDY)(図1)を世に送り出しました。
絶縁2出力変換器の用途は広く、その後、温度変換器や電力変換器などにも絶縁2出力形の機種をラインアップしました。また、アナログ信号だけでなく、流量積算パルスや電力積算パルスも分岐して上位機器に読み込みたいというご要望から、絶縁2出力 パルスアイソレータ(形式:WYPD)をラインアップしました。今ではW・UNITシリーズのほかに、みにまる®W2シリーズ(図2)、端子台形信号変換器W5・UNITシリーズ(図2)など、リモートI/Oを除くほとんどの変換器シリーズに絶縁2出力変換器をご用意し、広くご愛顧いただいています。
みにまる® W2シリーズのディストリビュータを使用したシステム構成例を図3に、パルスアイソレータを使用したシステム構成例を図4に示します。
なお、関連する変換器としては絶縁4出力形のスプリット演算器(形式:MFS2)(*2)があり、図5に示すように2次往ヘッダの圧力制御の信号分岐として利用されています。
絶縁2出力変換器は、既存の信号ループはそのままにして信号だけを横取りする、まさに「信号横取り変換器」です。
話は飛びますが、鉄道のレールでレール本線には何も手を加えず、保守用車両がレール本線と保守基地線に出入りするための分岐器を「横取り装置」といいます。これも一種の2出力装置ではないでしょうか。
ちなみに、一部の鉄道会社ではレール切替え復旧後の確認に、エム・システム技研のIoT用端末 データマル®(形式:DL8)が採用されています。データマル®については、また項を改めて掲載させていただきます。
(*1)ディストリビュータ:エム・システム技研では、「2線式伝送器へ電源供給するとともに、受信した信号を
必要に応じて信号変換した後、他の機器へ出力する工業計器」という意味で使用しています。
(*2)スプリット演算器(形式:MFS2)をアイソレータとして使用しています。