エムエスツデー 2007年9月号
無線LANを使用した データ通信について
以前に掲載した「Interface&Network News 2(No.10)」注1)でPLC(電力線通信)を使用したデータ通信についてご紹介しましたが、今回は無線 LAN を使用したデータ通信についてご紹介します。 無線 LAN は、通信方式の標準化(IEEE 802.11)による接続性の向上、また各メーカーの努力による無線 LAN 機器の通信設定の容易化や機器自体の低価格化などを背景に、急速に普及してきています。
無線 LAN の規格
現在、無線 LAN には、米国技術標準化団体である IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)によって承認された3つの主な規格(表1)があり、使用周波数や通信速度、変調方式により区分されています。
表1 無線 LAN の規格
規 格 | IEEE802.11g |
IEEE802.11b |
IEEE802.11a |
周波数帯 | 2.4~2.472 GHz | 2.4~2.472 GHz | 5.15~5.25 GHz |
最高通信速度 | 54 Mbps | 11 Mbps | 54 Mbps |
最高実効速度 | 20 Mbps~25 Mbps | 4 Mbps~5 Mbps | 20 Mbps~25 Mbps |
一番古くからある「IEEE 802.11b」が最も普及していて一般的です。街中のレストランや駅、ホテルなどの公衆無線 LAN スポットで使えるのも、この「IEEE 802.11b」です。この規格に対応したパソコンや PDA(個人用携帯情報端末)をサービス提供エリアに持っていけば、出先からでもインターネットに接続できるようになりました。
2007年には、実効速度が 100 Mbps 以上と大幅にスピードアップされた IEEE 802.11n という新しい規格の制定も予定されています。
無線LANを使用した 通信のメリット
その名のとおり、ケーブルを使用せずに無線機を使用して電波でデータ通信を行うため、ケーブル代とケーブル費用が不要になります。また、距離に関係なく、電波の届く範囲内であれば、どこでも通信を行うことができます。
セキュリティについて
電波を用いた通信であるため、電波が届く範囲であればどこでもデータを受信できる反面、第三者の不正なアクセスを受け入れる危険性があります。したがって、利用時には有線ネットワーク接続に比較して、セキュリティ管理を意識する必要があります。
無線LANを使用した アプリケーション
無線 LAN といえば、オフィスや家庭で使われる OA 機器を想像しますが、産業用にも多くの無線 LAN 機器があり、中には屋外で数 km の距離を伝送できるような無線 LAN 機器も存在しています。無線LANとエム・システム技研のリモートI/O や Webロガーなどを組み合わせて使用すれば、様々なアプリケーションに対応することができます。
たとえば、公園内の各種施設やトイレなど、ユーティリティ関連の監視システムに、リモートI/O(R3シリーズ)と PCレコーダを組み合わせた構成(図1)が適用できます。また、水門監視制御システム用の Webロガーを組み合わせた構成などにも適用できます。このように、従来の有線方式のネットワーク構築にかかっていた膨大なケーブル敷設費用が、無線 LAN 機器の設置費用だけで済むことになり、大幅なコストダウンや工期短縮などの効果が期待できます。
注)『エムエスツデー』誌2007年3月号 参照。
【(株)エム・システム技研 システム技術部】