エムエスツデー 2007年11月号

Interface & Network News 2
No.15

SCADALINXpro HMIパッケージ (形式:SSPRO4)の
OPC対応について

 OPC注1)は、異なるベンダーの機器間でデータ交換を実行できるインタフェース仕様として世界中に普及している新しい技術です。今回は、SCADALINXpro HMIパッケージ(形式:SSPRO4のOPCへの対応についてご紹介します。

 OPC foundationは、オートメーションにおける相互運用性を実現する通信インタフェースを開発、普及するための機関として1996年にアメリカで発足しました。また同年、日本でも日本OPC協議会がスタートしています。

 OPCは、OLE(Object Linking and Embedding)クライアントとOLEサーバ間のオブジェクト連携を可能にしているマイクロソフト社が開発した連携技術をベースに、Ethernet(製造業オートメーションにおける監視制御システム内の制御用ネットワーク)上の共通インタフェースドライバの仕様作成から始まり、新たな技術に対する対応も続けています。表1はOPC FoundationからリリースされているOPC仕様の一覧です。日本OPC協議会 技術部会では、これらの仕様の日本語概説書を作成し、一般に公開しています。

表1 公開済みの OPC 仕様一覧

OPC仕様
内 容
OPC-DA 2.0 リアルタイムデータのアクセス(Data Accessの略)
OPC-DA 3.0 DAの最新バージョン(.NET Framework に対応)
OPC-XML-DA 1.0 OPC-DA 2.0とOPC-DA 3.0をサポートし、SOAPを利用するデータ交換に対応した仕様
OPC-DX 1.0 工業用イーサネットを利用して、フィールド ネットワーク間のデータ交換に対応した仕様
OPC-A&E 1.1 アラームとイベントの通知(Alarm&Eventsの略)
OPC-HDA 1.1 履歴データのアクセス(Historical Data Accessの略)
OPC-Batch 2.0 バッチ処理データのアクセス
OPC-Security 1.0 セキュリティ対策
OPC-Compliance DA 2.0、DA 3.0、AE 1.1に対応した適合性テストツール

 

 OPCの技術は、OPC-DAを中心として世界的に普及が進み、今や欧州、北米、日本、中国、東南アジアなどの工場で多く採用されています。とくにPCを使用した監視システム(SCADA:Supervisory Control and Data Acquisition)と制御機器(PLCなど)との通信、またはPC間のデータ通信などに多く採用され、PCを含むマルチベンダー機器間でのデータ交換を実現する一般的な技術として認知されています。

図1 OPC-DA 次に、OPCの中で最も多く利用されているOPC-DAについて説明します。

 OPC-DA(Data Access)はクライアント/サーバ形の構成をとって、各計測制御機器とアプリケーションを接続します。OPC-DAは制御データの同期/非同期の読込/書込み、データ変化通知などの機能をもっていて、OPCの中心的な機能を提供する仕様です。標準インタフェースとして利用することで、マルチベンダー環境も実現します。アプリケーションは、C++、Visual BasicあるいはVBAを利用して開発できます。Visual Basicで開発したアプリケーションとOPCサーバを接続する際には、OPCサーバのベンダーが提供するオートメーションラッパーを介して接続を行います。Visual Basic .NETやC#などの.NET Frameworkをベースとしてアプリケーションを構築する際には、OPCが提供する.NETラッパーを利用することができます。

 エム・システム技研では、ソフトウェア製品であるSCADALINXpro HMIパッケージSSPRO4)がOPCサーバ/クライアントに対応する製品になります。SCADALINXproは、リモートI/O R3シリーズのほか各種PLCなど計70機種に対応したOPC/DDE注2)通信サーバです。1ライセンスで70機種すべてに接続できます。複数台の大規模なシステムにも対応できます。OPC/DDEクライアント機能により、複数台のOPC/DDEサーバを1つのOPCサーバにまとめることもできます。現場サイドで集中監視しているシステムに関しては、上位生産管理システムへデータ通信する用途でOPCに対応させたいとのお話しが多数ありますが、このSCADALINXproを使用することによって実現できます。

〈参考資料〉日本OPC協議会 ホームページ:http://www.opcjapan.org/

注1)OPCについては、『エムエスツデー』誌1997年10月号の「計装豆知識」でもご説明しています。

注2)OPCに加えてDDEインタフェースにも対応しているため、VBやExcelを使用して、リモートI/OやPLCへアクセスすることもできます。

SCADALINXは、(株)エム・システム技研の登録商標です。

【(株)エム・システム技研 システム技術部】


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