1996-1997年計装豆知識
- 配線とノイズ(2)/1997.12
- 配線とノイズ(1)/1997.11
- OPC(OLE for Process Control)/1997.10
- 変換器の歴史/1997.9
- 旧アナログ形コントローラの諸機能/1997.7
- 超スロー接点パルス入力用変換器/1997.6
- パソコンのキャッシュ・メモリ/1997.4
- デジタル調節計の処理周期に注意/1997.3
- 一次遅れ要素と時定数/1997.2
- 変換器の応答時間の表示方法/1997.1
- フィールドバスの現状と問題/1996.12
- 電源配線が要らない2線式伝送器/1996.10
- 電源配線がいらないアイソレータ/1996.9
- 電流信号の端子の+と−/1996.8
- 熱電対で狭い温度レンジを測定/1996.7
- アナンシエータ(ANNUNCIATOR)/1996.5
- ワンループ・コントローラと温調計の違い/1996.4
- 流速計による流量測定方法/1996.3
- 全二重通信と半二重通信方式/1996.2
エムエスツデー 1996年2月号
全二重通信と半二重通信方式
全二重通信と半二重通信の違いについては、よく電話とトランシーバにたとえて説明されることがあります。
電話では、通話者は互いに同時にしゃべったり、聞いたりすることができます。もっとも、人間では互いが同時にしゃべったままですと、話が進みません。このように両者が同時にしゃべったり聞いたりできる通信方式を、全二重(FULL DUPLEX)通信方式と言います。
これに対して、トランシーバのように自分のしゃべりが終わるたびに、いちいち送信と受信の切り換えを行い、聞いている間はしゃべれず、しゃべっている間は相手の話を聞くことができないような通信方式を、半二重(HALF DUPLEX)通信方式と言います。
A地点、B地点の2地点間で、データ伝送を行う場合を例にとって説明しましょう。
全二重通信方式では、データの流れる経路が、A-B間に2組用意されており、AからB、BからAへと、方向の異なるデータが、同時に流れることを許しています。
一方、半二重通信方式では、データの流れる経路は1組でよく、伝送を時分割することで、交互に伝送方向を切り換え、データ伝送を行います。
データ伝送の経路として、より対線(ツイストペアケーブル)を使用するとき、基本的に半二重通信方式では1対(図1)、全二重通信方式では2対(図2a)、のケーブルを使用します。
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ただし、全二重の場合、必ずしも、ケーブルが2本必要なわけではありません。たとえば、1本のケーブルに2つの信号を乗せる方法として、信号に変調をかけて異なった周波数(図2bのfA、fB)成分をもった信号に変え、それぞれ異なる方向の信号として割り当てるやり方があります。そうすれば1本のケーブルで2信号を同時に伝送させることができます。この場合のデータの経路は、単に1対の導体そのものというよりも、変調で周波数分割された結果、得られた2つの帯域ということになります。
また、逆に、2本のケーブルを用いて、わざわざ半二重通信方式で行うこともあります。どの方式を採用するかは、アプリケーションの性質に依存します。
一般的に、データ通信においては、ほとんどの場合、問合せとそれに対する受け答え、という半二重通信のパターンが使われています。そのため、データ通信機器が、全二重通信の機能をもっている場合でも、実際には半二重通信の使用形態を採用している場合がほとんどのようです。