1996-1997年計装豆知識
- 配線とノイズ(2)/1997.12
- 配線とノイズ(1)/1997.11
- OPC(OLE for Process Control)/1997.10
- 変換器の歴史/1997.9
- 旧アナログ形コントローラの諸機能/1997.7
- 超スロー接点パルス入力用変換器/1997.6
- パソコンのキャッシュ・メモリ/1997.4
- デジタル調節計の処理周期に注意/1997.3
- 一次遅れ要素と時定数/1997.2
- 変換器の応答時間の表示方法/1997.1
- フィールドバスの現状と問題/1996.12
- 電源配線が要らない2線式伝送器/1996.10
- 電源配線がいらないアイソレータ/1996.9
- 電流信号の端子の+と−/1996.8
- 熱電対で狭い温度レンジを測定/1996.7
- アナンシエータ(ANNUNCIATOR)/1996.5
- ワンループ・コントローラと温調計の違い/1996.4
- 流速計による流量測定方法/1996.3
- 全二重通信と半二重通信方式/1996.2
エムエスツデー 1996年7月号
熱電対で狭い温度レンジを測定
エム・システム技研ではカップル(サーモカップル=熱電対の略)変換器の冷接点補償方法を徹底的に研究しています。
熱電対の測定原理

熱電対は、2種類の異なる金属を接続して1つの回路を作ると、2つの接点間に温度差があれば起電力が発生すること(ゼーベック効果)を利用して温度を測定します。この起電力は、組み合わせる金属の種類と接点間の温度差に依存しています。
旧方式の冷接点温度センサの構造

10年前まで、エム・システム技研のカップル変換器の冷接点温度は、図2のように、熱電対の端子温度を直接測定せずに、端子近くの外気温度を測定していました。
この冷接点温度測定方式では、冷接点温度が外気温度の変動に影響され、熱電対の正しい端子温度に対して幅約3℃の不安定な変動を発生していました。
現製品の冷接点温度センサ

現在は、冷接点センサで熱電対の端子温度を直接測定しています(図3)。これにより、端子温度測定の誤差は0.2℃程度になりました。
熱電対変換器選択の注意点
現在の冷接点センサ方式を確立するまでに、約2年の研究期間が必要でした。この結果、エム・システム技研の熱電対変換器は、冷接点補償性能を認められて、狭い温度レンジ(例0~50℃)で多数使用されています。
たとえば、1日の気温の変化が激しいアメリカの砂漠にある米軍基地内の設備でも、エム・システム技研のカップル変換器の性能が認められ、採用されています。
他社の熱電対変換器や熱電対入力用記録計では、現在でもほとんどが熱電対入力端子の周辺温度を測定して冷接点補償を行っています。
熱電対変換器を選択するとき、あるいは熱電対変換器の性能が出なくてお困りのときは、どのような冷接点測定方式を採用しているか、一度チェックしてみることをおすすめします。