1998-1999年計装豆知識
- PROFIBUS(プロフィバス)/1999.12
- Modbus(モドバス)/1999.11
- イーサネット/1999.10
- RS-232/485規格/1999.9
- 画像データの圧縮技術/1999.8
- PID調節計の採用条件/1999.4
- ワイパーのないポテンショメータ、インダクポット/1999.3
- 交流の表現と演算方式/1999.2
- HART(ハート信号)(2)/1998.12
- HART(ハート信号)(1)/1998.11
- 温度、流量、圧力、レベル測定とPID制御(2)/1998.10
- 温度、流量、圧力、レベル測定とPID制御(1)/1998.9
- 変換器の小形化とタンタルコンデンサ/1998.8
- 熱電対と熱電対信号変換器(2)/1998.7
- 熱電対と熱電対信号変換器(1)/1998.6
- 温度センサの選択と設置(2)/1998.5
- 温度センサの選択と設置(1)/1998.4
- ファジィ/1998.3
- 配線とノイズ(3)/1998.2
- ノンインセンディブ規格(NON-INCENDIVE)/1998.1
エムエスツデー 1998年9月号
温度、流量、圧力、レベル測定とPID制御(1)
プロセス制御では、対象となるプロセス変数に応じ、その特性を十分理解した上で、制御ループを検討することが重要です。ここでは、プロセス制御のうちで代表的な温度・圧力・レベル・流量の制御について、その特徴や固有の問題点に着目し、どのようにPID動作を選択するかを考えてみます。
温度制御
製品の品質や組成が温度によって左右される例は数多くあります。したがって、対象プロセスのもつ温度分布に注意し、測定値が期待する制御量を正しく反映できるように、測定箇所を選定することが大切です(図1参照)。
特 徴… | プロセスの時定数:大きい プロセスのむだ時間:小さい |
選択モード… | 調節計動作:PID |

圧力制御
他のプロセス変数と比較して、一般にむだ時間(L )、遅れ時間(T )が小さく、また液体と気体とでは性質が異なるため注意が必要です。
特 徴… | プロセスの応答は早い |
選択モード… | 調節計動作:P I |
1.液体の場合
対象プロセスは配管の場合が多く、その場合には流量制御に直接関係します。すなわち、調節弁の上流側圧力は流量の2乗に比例して変化します。また、ポンプ、操作端などに起因する流れの乱れや振動が、検出端を通して雑音(ノイズ)として測定信号中に混入することが多く、微分(D )動作は、この雑音を増幅するため、制御にとって有害です。
2.気体の場合
プロセスの体積は一定であり、もし温度が一定なら、流入と流出の差によって圧力変化が生じます。多くの場合、液体と同じように、微分(D )動作は制御にとって有害です。
レベル制御
流入量と流出量の差によってレベル変化が生ずるとき、プロセスは一次遅れ特性を示します(図2参照)。この場合は、流入量が変化してもやがて平衡する自己平衡性があり、制御は容易です。自己平衡性のない積分特性をもつ制御系では、積分(I )動作は有害です。この場合は、調節計動作を比例(P )動作だけにし、制御系がもつ積分特性を利用します。
ボイラドラムのレベル制御では、レベル面の波立ちがそのまま検出端を通し、雑音として測定信号中に混入するため、微分(D )動作は制御にとって有害です。
特 徴… | プロセスごとに時定数は大きく異なります。 |
選択モード… | 調節計動作:PまたはP I |
