2002-2003計装豆知識
- NEMA規格の電気機器用容器/2003.12
- 特定小電力無線局/2003.11
- 1ポート形と2ポート形避雷器/2003.10
- USB/2003.9
- IPコード/2003.7
- DoPa/2003.6
- 高調波について/2003.5
- 測温抵抗体の導線方式/2003.4
- ダイヤルアップルータとブロードバンドルータ/2003.3
- 交流の測定/2003.2
- ロータリエンコーダ/2003.1
- セルシン/2002.12
- IPv6/2002.11
- ADSL/2002.10
- 避雷器の応答時間/2002.9
- ネットワークトポロジ/2002.8
- アイソレータの必要性/2002.7
- Ethernetケーブルとハブ(HUB)/2002.6
- 一般電話回線/2002.5
- 携帯電話とメール機能/2002.4
- テレメータ装置と専用電話回線/2002.3
- TCPとUDP/2002.2
- インターネットとイントラネット(2)/2002.1
エムエスツデー 2003年7月号
IPコード
電気製品の防じん性能や防水性能を表すのに、「IP55」とか「IP66」という言葉がよく使われています。今月は、このような防じん・防水性能を表す記号について説明します。
IP55やIP66など、「IP」の文字とそれに続く2桁の数字(オプションとしてこの数字に続けて1つないし2つの英文字を付け加える場合もあります)を合わせて、IPコードといいます。詳細は、IEC 60529「Degrees of protection provided by enclosures(IP Code)」という国際規格で規定されています。日本では、それの対応規格であるJIS C0920 注)「電気機械器具の防水試験及び固形物の侵入に対する保護等級」の附属書に同一内容が規定されています。
「IP」に続く2桁の数字および英文字の意味は、図1に示すとおりです。数字が大きい場合は、それより小さい数字で示される性能を含んでいますが、2桁目の「7」および「8」は要注意です。といいますのは、「7」は一時的な、また「8」は継続的な水没がそれぞれ可能な保護等級ですが、噴流等に対する保護性能があることを意味してはいないからです。したがって、噴流と水没状態の両方に耐える保護等級を有する機器の場合には、たとえば「IP66/IP67」のように表記されます。
オプションの英文字は、付加特性文字と補助文字記号の2種類です。オプションなので、使用する場合も使用しない場合もありますが、両方の文字を使用する場合は、付加特性文字を数字の後に続けます。
付加特性文字は、人に対する保護等級を表しますが、第1特性数字の値より等級が高い場合、または人に対する保護だけを表示する場合で、第1特性数字が「X」の場合に使用します。
IPコードは、日本やヨーロッパをはじめ、世界中で広く使われています。一方、米国向けの屋外用電気機器の仕様書などで「NEMA 4」あるいは「NEMA 4X」という記号をよく見かけます。正しくは、NEMA(National Electrical Manufacturers Association:米国)が制定した規格の一つ、NEMA 250「Enclosures for Electrical Equipment (1000V Maximum)」(以下「NEMA規格」と略記)で規定されるType 4あるいはType 4Xの容器を示しています。
NEMA規格では、Type 4を含めて、13種類もの保護等級が制定されています。紙幅の関係で詳細は省きますが、人の手が充電部に触れないだけのType 1から、長期間水没しても問題のないType 6Pまで様々です。また、これ以外に防爆容器の等級についても規定されていますが、ここでは割愛します。なお、NEMA規格の場合は、数字の大小と保護等級の程度は無関係です。
ちなみに、Type 4は、噴流(IPコードでの暴噴流に相当)に耐え、屋外耐じん性能を有し、積雪や氷結にも耐える構造と規定されています。またType 4Xの場合は、それに加えて(塗装やコーティングした状態で)SUS304並みの耐食性が要求されます。
注) IEC 60529は2001年に改正版が発行されていますが、JIS C0920は1993年の改正版が最新であって、その附属書は、改正前1989年版の対応部分を翻訳したものです。また、JIS C0920の本文には、防じん性能に関する規定はなく、防水性能だけが規定されています。
【(株)エム・システム技研 開発部】