エムエスツデー 2003年7月号

計装豆知識

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電気製品の防じん性能や防水性能を表すのに、「IP55」とか「IP66」という言葉がよく使われています。今月は、このような防じん・防水性能を表す記号について説明します。

IP55やIP66など、「IP」の文字とそれに続く2桁の数字(オプションとしてこの数字に続けて1つないし2つの英文字を付け加える場合もあります)を合わせて、IPコードといいます。詳細は、IEC 60529「Degrees of protection provided by enclosures(IP Code)」という国際規格で規定されています。日本では、それの対応規格であるJIS C0920 注)「電気機械器具の防水試験及び固形物の侵入に対する保護等級」の附属書に同一内容が規定されています。

「IP」に続く2桁の数字および英文字の意味は、図1に示すとおりです。数字が大きい場合は、それより小さい数字で示される性能を含んでいますが、2桁目の「7」および「8」は要注意です。といいますのは、「7」は一時的な、また「8」は継続的な水没がそれぞれ可能な保護等級ですが、噴流等に対する保護性能があることを意味してはいないからです。したがって、噴流と水没状態の両方に耐える保護等級を有する機器の場合には、たとえば「IP66/IP67」のように表記されます。

(クリックすると拡大画像が開きます)
図1 IPコード

オプションの英文字は、付加特性文字と補助文字記号の2種類です。オプションなので、使用する場合も使用しない場合もありますが、両方の文字を使用する場合は、付加特性文字を数字の後に続けます。

付加特性文字は、人に対する保護等級を表しますが、第1特性数字の値より等級が高い場合、または人に対する保護だけを表示する場合で、第1特性数字が「X」の場合に使用します。

IPコードは、日本やヨーロッパをはじめ、世界中で広く使われています。一方、米国向けの屋外用電気機器の仕様書などで「NEMA 4」あるいは「NEMA 4X」という記号をよく見かけます。正しくは、NEMA(National Electrical Manufacturers Association:米国)が制定した規格の一つ、NEMA 250「Enclosures for Electrical Equipment (1000V Maximum)」(以下「NEMA規格」と略記)で規定されるType 4あるいはType 4Xの容器を示しています。

NEMA規格では、Type 4を含めて、13種類もの保護等級が制定されています。紙幅の関係で詳細は省きますが、人の手が充電部に触れないだけのType 1から、長期間水没しても問題のないType 6Pまで様々です。また、これ以外に防爆容器の等級についても規定されていますが、ここでは割愛します。なお、NEMA規格の場合は、数字の大小と保護等級の程度は無関係です。


ちなみに、Type 4は、噴流(IPコードでの暴噴流に相当)に耐え、屋外耐じん性能を有し、積雪や氷結にも耐える構造と規定されています。またType 4Xの場合は、それに加えて(塗装やコーティングした状態で)SUS304並みの耐食性が要求されます。

注) IEC 60529は2001年に改正版が発行されていますが、JIS C0920は1993年の改正版が最新であって、その附属書は、改正前1989年版の対応部分を翻訳したものです。また、JIS C0920の本文には、防じん性能に関する規定はなく、防水性能だけが規定されています。

【(株)エム・システム技研 開発部】


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