アクチュエータ/工事
エムエスツデー 1995年8月号
圧着端子
工場やビルの電気計装において、配線作業はなくてはならないものです。配線作業の中でも、端子接続のための圧着作業は、簡単な作業に見えるので安易に考えられがちです。しかし、たった1箇所の接続不良で設備全体が動かなくなることもあり、電気設備の信頼性を左右する重要な作業です。そのため、配線作業を専門に行う会社や部門ではマニュアルを整備したり、特別な教育を行っています。また、案外知られていませんが、JIS C 2805などでも標準化されています。今月は、圧着端子を使った接続の基本について簡単にご紹介しましょう。
電線の圧着と圧着端子
図1 代表的な圧着端子の形状例
電気配線の接続ではハンダ付けするなど物理的に一体化する方法が理想ですが、作業が煩雑になります。そこで、電線の端部を圧着端子の胴部に挿入して専用工具(圧着工具)で機械的圧力を加えて強固に接触・固定し、その後端子を端子盤にネジで締め付けることが一般に行われています。この圧着端子には大きく分けて“銅線用裸圧着端子”と“銅線用絶縁被覆付圧着端子”の2種類があります。
“裸圧着端子”は、一般に電線が単線のときに使用され、端子接続部分の形状が丸形のものや、先が開いた先開形のものなどがあります(図1)。
また“絶縁被覆付圧着端子”は、電線が多芯のより線のときに使用されることが多く、絶縁体の形と素材の違いで4種類に分けられます(図1、表1)。
表1 絶縁被覆付圧着端子の例
絶縁体の形 | 絶縁体の材質 | 端子の記号 |
直管形 | 硬質ビニル樹脂系 | RAV |
ボリアミド樹脂系 | RAP | |
拡管形 | 硬質ビニル樹脂系 | RBV |
ボリアミド樹脂系 | RBP |
圧着端子の選び方
圧着端子は接続する端子ネジの大きさや使用する電線の種類とサイズが合っていないと、接続不良の原因になります。表2に端子ネジサイズ、電線サイズとそれに適した圧着端子の種類をまとめてみました。たとえば、M3.5ネジ端子に電気機器用ビニル絶縁電線(KIV)の公称断面積2mm2のものを絶縁被覆付丸形圧着端子(RAP)で接続するときには“RAP丸形呼び2-3.5”を選びます。
表2 圧着端子と電線サイズ、ネジサイズとの関係
圧着端子の呼び (圧着端子に刻印されている) |
より線の呼び 断面積(mm2) |
使用ネジの直径 (mm) |
適用電線の断面積 (mm2) |
絶縁体の色 |
1.25-3 | 1.25 | 3 | 0.5 | 赤 |
1.25-3.5 | 3.5 | 0.75 | ||
1.25-4 | 4 | 0.9 | ||
1.25-5 | 5 | 1.25 | ||
2-3.5 | 2.0 | 3.5 | 1.25 | 青 |
2-4 | 4 | |||
2-5 | 5 | 2.0 |
圧着作業
圧着工具としては、使用する圧着端子や電線サイズに合った工具であることは当然として、さらに定期的に検定された、圧着端子メーカー指定の工具を使うことが信頼性確保の条件です。ポイントとしては、(1)端子形番と圧着工具のダイス(端子を挟むところ)の電線サイズが合致していること、(2)図2のような仕上がりになっていることです。
図2 圧着の仕上がり