その他
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エムエスツデー 1997年9月号
変換器の歴史
1960年以前の計装では、現場型計器が使用されたため、変換器が単独に使われることはありませんでした。すなわち、空気式伝送器を現場または計器室に置き、伝送器の出力信号によって直接制御していました。また、温度制御には、キャピラリー型の熱膨張式コントローラを使用していました。
1960年代に入ると、真空管を使った電子管式計器が現れ、計装用として使用されるようになりました。この時代以降、各種信号を電気的に処理できるようになり、単独の変換器が現れてきます。初期の変換器の機種は、リニアライズ機能付きの熱電対変換器・測温抵抗体変換器程度でした。
1960年代後半になると、ゲルマニュームトランジスタを使用した計器が現れ、性能も飛躍的に向上しましたが、トランジスタの信頼性が低いため故障が多かったようです。その後、シリコントランジスタが採用されるようになり、信頼性が上がり故障も大幅に減るのに伴って、電気式計器が大量に使用されるようになりました。この時代には、変換器の種類も大幅に増え、現在の変換器の原型ができ上がりました。
この時代の変換器は、別名「弁当箱」と呼ばれるような形状であり、寸法も非常に大きなものでした。変換器の種類としては、熱電対変換器・測温抵抗体変換器・ディストリビュータ・アイソレータ・警報器・リニアライザ・乗算器・除算器・加減算器・抵抗変換器など様々な製品ができました

1970年代になると、集積回路(IC)が採用されるようになり、変換器の機能が大きく向上しました。また、その構造もまったく変わったものになってきました。すなわち、プラグイン形変換器の登場です。エム・システム技研の「M・UNIT変換器」はこの時代に開発・販売開始したもので、現在に至るまで続いて多数ご使用いただいております。この変換器の最大の特長は、メンテナンス性が非常に優れている点です。なお、計装用の避雷器もこの時代に開発・販売開始され、エム・システム技研では、「エム・レスタ」という商品名で、早期に販売開始しました。
1970年代中頃には、DCS(Distributed Control System)が現れ、計装方式が大幅に変化し、それに対応して変換器についても新しい製品が開発されました。

1980年代は、デジタル技術が大いに発達した時代であり、マイクロコンピュータが各種の製品に採用され始めました。計装の分野でも、シングルループコントローラやDCSは当然として、変換器にもマイクロコンピュータが採用され、客先で自由にレンジを変更できるレンジフリーと称する変換器が現れました。エム・システム技研のスペックソフト形変換器(JXシリーズ)はこの時代に製品化しました。DCSは1980年代に大幅な進歩を遂げ、DCS用変換器も大きく発展しました。エム・システム技研のDCS用変換器18・RACKシリーズはこの時代に開発しました。

マイクロコンピュータを採用することによって、ハードを改造しなくても機能が変更できるようになりました。しかし、変換器の種類はさらに増え、デジタル式フィルタ変換器・デジタル式演算器・3入力演算器などに見られるように、デジタル演算の発展によって変換器の機能が大幅に進歩しました。
1990年代には、ASICと呼ばれるカスタムICが採用され、変換器の小形化が一段と進みました。