エムエスツデー 2005年6月号

Webロガーのアプリケーション
− Webロガーを使用した集中監視システム −
今回は、Webロガーを複数台使用した集中監視システムの事例についてご紹介します。
Webロガーによる監視
Webロガーの特長は、ブラウザソフト(インターネットエクスプローラ)を使用した遠隔現場監視にあります。Webロガーには、現在値表示やトレンド表示、事象ログ、帳票画面表示などを用意していますからブラウザソフトによって簡単にパソコンで表示することが可能です。しかし、Webロガーが複数台設置されている場合には、1台のパソコンで監視するために複数個のブラウザソフトを立ち上げて切替え表示を行うか、各現場ごとのURL(IPアドレス)を切替えて表示させる必要があります。アプリケーションの内容によっては多くの現場情報をリアルタイムに同時監視・管理する場合もあります。たとえば1つの画面に多数の現場情報を並べて表示したり、収集した複数の現場データを時刻で一元化して帳票を作成したいといった要望があります。またアプリケーションの具体例としては、マンホールポンプの集中監視や水道端末における水質の集中管理などがあります。
システム構成
複数台のWebロガーを監視するシステムの構成例を図1に示します。本例では、ISDN回線を使用してパソコンと各Webロガーの通信をダイヤルアップ接続し、データの交換を行います。WebロガーとしてはEthernet通信対応の製品(形式:TL2W-ER2)を使用します。
テレコンポーネントライブラリ
中央には管理パソコンを設置し、SCADAなどの監視用アプリケーションソフト(以下、ユーザーアプリと略称)を使用します。Webロガーからの現場データを読み出したり警報を受け取るには、テレコンポーネントライブラリ(形式:TL2COM)を使用することでユーザーアプリとWebロガーとの通信を行うことが可能になります。TL2COMはユーザーアプリとインタフェースする「API(アプリケーション・プログラム・インタフェース)機能」とユーザーアプリからの要求を実行する「TL2SERVER機能」で構成されています注)。図2にユーザーアプリとTL2COMの構成図を示します。
監視ソフトとの組合せ
パソコン側のユーザーアプリについては、既製品の監視用パッケージソフトを利用したり、ユーザー側がVisual BasicやC言語で作成することも可能です。
TL2COMは、ユーザーが監視ソフトを通じて要求したデータを抽出するために各Webロガーと通信を行い、取得したデータをユーザーが指定したファイルに格納します。これにより、ブラウザソフトを使用することなく監視画面上に現場情報を表示することが可能になります。たとえば図3に示すように、地図データ上に各設備ごとの情報を表示することも可能です。
以上のようにWebロガーを複数台使用した場合は、監視ソフトとTL2COMとの組合せにより、1画面で1:nの集中監視システムを構築することが可能です。
注)詳細は本誌2004年10月号の「テレコンポーネントライブラリ(形式:TL2COM)」をご参照ください。
【(株)エム・システム技研 システム技術部】