エムエスツデー 2008年2月号
わずか7mm幅!
薄形避雷器MD7シリーズに7機種追加!!
(株)エム・システム技研 開発部
は じ め に
わずか7mm幅の薄形避雷器MD7シリーズを発売して1年が過ぎました。当初は、そのあまりの薄さのために避雷器の性能を犠牲にしているのでは、との感想を持たれることも多々ありました。しかし、展示会やデモ活動を通して新JISに対応した避雷器であること、また堅牢なケース、7mmという薄さを活かして多点数の保護を省スペースで実現できることなどの特長を多くのお客様に実感していただけました。
とくに多点数保護を希望されているお客様には、接地用DINレールへのワンタッチ取付けによる配線作業の効率化や、必要な種類のMD7シリーズを必要な台数だけむだなく設置できることなどをご評価いただきました
その一方で、避雷器をMD7シリーズで統一したいが使用する信号に対応する機種がないというご指摘を受けるようにもなりました。お客様からのこのような叱咤激励を受けて、MD7シリーズだけですべての信号に対応できるように、新機種の開発を進めています。
今回は、MD7シリーズ全体の特長を改めてご紹介するとともに、MD7シリーズに属す製品の第2弾として新規7機種をご紹介します注)。
1.MD7シリーズの特長
(1)形 状
図1にMD7シリーズの外観、図2に外形寸法図を示します。わずか7mm幅ですから、多点数保護に際しての省スペース実現の目的に最適です。また、高さと奥行きについても、一緒にご使用なさる機会が多いPLCやリモートI/Oと同程度あるいは小さめに抑えているため、これらの計装機器に並べて設置することが可能です。
・前面:製品形式とタグ名を表示
・側面:端子接続図を表示
・接続端子:勾配付き挿入口で前面からのケーブル接続が容易
・DINレールフック:DINレール取付けと避雷器の接地がワンタッチで行えます。
(2)高性能
放電管と高耐量ゼナーダイオードを抵抗器やインダクタと組み合わせた多段式保護回路を採用することによって、避雷器の重要性能である制限電圧を低く抑えています。
(3)新JIS
対応
近年制定された低圧信号用避雷器のJIS規格(JISC5381-21:2004)に準拠し、C1、C2、D1のカテゴリに属します。この3つを満たしていれば、あらゆる雷サージに対応でき、耐量と耐久性についてバランスがとれた避雷器であるといえます。
2.新規ラインアップ
全製品ラインアップを表1に示します。なお、今回追加した製品は「NEW」というマークで示しています。
表1 MD7シリーズの製品ラインアップ
製品名称 | 形 式 | 最大使用電圧(Uc) (線間) |
最大負荷電流 (IN) |
標準信号用避雷器 | |||
計装標準信号用避雷器 | MD7ST-24 | 30V | 250mA |
MD7ST-60 | 70V | ||
2線式信号用避雷器 NEW | MD72W-07 | ±7V | 400mA |
MD72W-16 | ±16V | ||
MD72W-32 | ±32V | ||
MD72W-55 | ±55V | ||
3線式信号用避雷器 NEW | MD73W | ±32V | 400mA |
センサ信号用避雷器 | |||
熱電対用避雷器 | MD7TC | 7.5V | 100mA |
測温抵抗体用避雷器 | MD7RB | ±3V | 100mA |
ポテンショメータ用避雷器 | MD7PM | 7.5V | 100mA |
ロードセル・セルシン用避雷器 | |||
ロードセル用避雷器 NEW | MD7LC | ±0.3V(出力電圧側) 15V(印加電圧側) |
− |
セルシン用避雷器 NEW | MD7JS | ±100V | 500mA |
パルス信号用避雷器 | |||
パルス信号用避雷器 NEW | MD7PL-P | −30V | 100mA |
MD7PL-N | +30V | ||
ネットワーク用避雷器 | |||
RS-422/RS-485用避雷器 | MD74R | ±5V | 100mA |
PROFIBUS PA用避雷器 | MD7PA | ±32V | 400mA |
FOUNDATION Fieldbus用避雷器 NEW | MD7FB | 32V | 400mA |
LONWORKS用避雷器 NEW | MD7LWA | ±1.5V | 100mA |
小容量電源用避雷器 | |||
小容量DC電源用避雷器 NEW | MD7DP-12 | 14V | 1.2A |
MD7DP-24 | 27V | ||
近日追加予定 | |||
計装標準信号用避雷器 (寿命モニタ機能付) |
MD7AST | − | − |
AC電源用避雷器 | MD7AP | − | − |
(1)無極性タイプ
2線式信号用避雷器(形式:MD72W)と3線式信号用避雷器(形式:MD73W)は、無極性タイプの避雷器であるため、信号の極性を気にすることなくご使用いただけ、交流波形の信号にも対応できます。MD72Wは、最大使用電圧を7V、16V、32V、55Vの4種類に分けているため、お客様がご使用の信号に最適な避雷器をお選びいただけます。また、マイナスの制限電圧をより低く抑えたい場合は、有極性タイプの計装標準信号用避雷器(形式:MD7ST)の選定をおすすめします。
(2)パルス信号用
PLCやリモートI/Oで使用されるパルス信号は、16点や32点と多点数になることが多く、それらの信号線を保護するには多くの避雷器が必要になります。パルス信号用避雷器(形式:MD7PL)は、7mm幅のケースにもかかわらず、1台で2点のパルス信号を保護できます。したがって、32点のパルス信号を保護する場合でも約110mmのスペースがあれば設置可能です。
また、保護機器の入出力仕様に対応して、NPN接続用(シンク型)とPNP接続用(ソース型)のどちらでもお選びいただけます。図3は、日本国内でよく用いられるNPN接続の一例です。
(3)ネットワーク用
MD7シリーズのRS-485用とPROFIBUS PA用という従来機種に加えて、LONWORKS用避雷器(形式:MD7LWA)と
FOUNDATION Fieldbus用避雷器(形式:MD7FB)を発表しました。
(4)ロードセル用
ロードセル用避雷器(形式:MD7LC)には、信号ラインに直列抵抗を接続することで避雷効果を高めた直列接続タイプと信号ラインへの影響が少ない並列接続(直列抵抗のない)タイプの2種類があります。落雷の頻度や大きさを考慮して使い分けることができます。
(5)今後の製品ラインアップ
今後の計画としては、小容量交流電源用避雷器や、大変ご好評をいただいている寿命モニタ機能付きの機種の順次追加を予定しています。
おわりに
以上、MD7シリーズの特長とシリーズに追加した新機種についてご紹介しました。今回の新機種追加によって、より多くの用途にMD7シリーズ製品だけで対応できるようになりました。従来の避雷器では必要な設置スペースが確保できないというお悩みをお持ちの際は、ぜひMD7シリーズをご検討いただきたいと思います。
注)『エムエスツデー』誌2006年9月号「わずか7mm幅! 薄形避雷器 MD7シリーズの開発」も併せてご参照ください。