エムエスツデー 2008年8月号

SCADALINXproの応用(6)
− SCADALINXproと多目的計装コンポーネントMsysNetとの接続 −
(株)エム・システム技研 システム技術部
は じ め に
エム・システム技研が、2007年4月に高機能HMIソフトウェア「SCADALINXpro(形式:SSPRO4)」を発売して以来、多くのお客様にこれをご導入いただき、ご好評をいただいています。SCADALINXproは、各社PLCとの通信ドライバを標準で多数装備していますが、当然、エム・システム技研製I/Oも接続可能です。Modbusで通信可能なリモートI/Oや、MsysNetシステム、そしてWebロガーシリーズなどとの間の通信ドライバ(表1)も用意しています。
今回は、その中でも、MsysNet機器と組み合わせたシステム構成についてご紹介します。
表1 SCADALINXpro接続機器リスト
ネットワーク機器 | 通信方法 | 接続機器 |
通信カード(形式:R3-NE1) | Modbus/TCP | R3シリーズ リモートI/O (以下表記省略) |
通信カード(形式:R5-NE1) | Modbus/TCP | R5シリーズ |
ネットワーク変換器(形式:72EM) | Modbus/TCP | Modbus接続機器(R1Mシリーズ、 R3/R5シリーズなど) |
通信カード(形式:D5-NE1) | Modbus/TCP | D5シリーズ |
通信カード(形式:D3-NE1) | Modbus/TCP | D3シリーズ |
通信カード(形式:D3-NE2) | Modbus/TCP | D3シリーズ |
Webロガー(形式:TL2W) | TCP/IP ・ 別途TL2COM ソフトウェアが必要 |
R1Mシリーズ、R5シリーズ、R3シリーズ |
三菱電機PLC(Aシリーズ、Qシリーズ) | ||
オムロンPLC(CS/CJシリーズ) | ||
Webロガー(形式:TL2W2)※1 | シリアル入出力 ・ 別途TL2COM ソフトウェアが必要 |
R1Mシリーズ、R5シリーズ、R3シリーズ |
三菱電機PLC(Aシリーズ、Qシリーズ) | ||
オムロンPLC(CS/CJシリーズ) | ||
通信ユニット(形式:72LB2) | UDP/IP(L-Bus) | NestBus接続機器(ABA、ABE、 SMLなど)※2 |
※1 通信ドライバは現在開発中です。 ※2 詳しくはお問合せください。
1.MsysNetシステムの特長
MsysNetシステムのネットワークは、RS-485を使用したNestBusという下位レベルの基本Busと、RS-485を使用したM-Bus、またはEthernetを使用したL-Busという2種類の上位Busから構成されています。
トークンパッシング方式を採用した通信ネットワークは、マスタが存在しない自律分散方式であり、ユニットにはすべてCPUが搭載されています。制御・演算などの機能はコンポーネント単位で分散処理されるため、リモートI/Oだけで構築されるシステムに比べて、信頼性が高いシステムを構築できます。
MsysNetシステムは、発売以来すでに15年近くの実績をもち、ワンループコントローラやテレメータインタフェースなど機器のバリエーションも充実し、お客様からの多種多様なご要望に対応できるようにラインアップが揃っています。
2.SCADALINXproとMsysNet機器との接続方法
MsysNet機器は基本BusであるNestBus上に16台まで接続できます。それ以上の機器の接続が必要な場合は、上位BusであるM-Busまたは、L-Busを使用してシステムを構築することが可能です。
他方、SCADALINXproはEthernet(L-Bus)経由での接続だけが可能です。したがって、基本BusであるNestBus上の機器とはL-Bus接続用 通信ユニット(形式:72LB2)を介して通信します。
3.MsysNet機器の構成例
図1にMsysNet機器を使用したシステム構成例を示します。MsysNet機器は、その機種の豊富さからモデム部分を変更するだけで、専用回線、一般電話回線、無線回線など様々な回線に対応したテレメータシステムを構築することが可能です。
また、ワンループコントローラやリモートI/Oユニットを組み合わせることにより、DCSやロガーとして使用することが可能です。
4.フェースプレートの利用
以前にもご紹介しましたが、SCADALINXproでも、従来製品である監視 操作ソフト(形式:SFDN)やSCADALINX HMI(形式:SSDLX)に搭載されていた計器フェースプレートと同等のサンプルモデル(図2)を用意しています(『エムエスツデー』誌2008年1月号「Interface&Network News 2」参照)。
これらのサンプルは、主にMsysNet機器を使用することを想定して設計されています。このサンプルを使用することによりMsysNet機器に対する操作性が向上し、また画面を作成するエンジニアリング工数も削減できます注)。
5.監視 操作ソフトSFDN、SCADALINX HMI からのリプレース
従来製品であるSFDNやSCADALINX HMIとのソフトウェアの互換性はないため、SCADALINXpro上でのプログラム作成が必要になります。しかし、既存システムのMsysNet機器をそのまま活用し、SCADALINXproにリプレースすることが可能です。
また、フェースプレートを利用すれば、画面上の違和感も少なく、スムーズにSCADALINXproに移行できます。
SCADALINXproを使えば、従来製品では実現不可能であったインターネット経由での遠隔監視やメール通報機能、その他様々な機能を使用して、さらに高機能な監視システムへとリプレースすることが可能です。
おわりに
エム・システム技研では、今後もSCADALINXproのサンプルパーツの充実や、接続可能I/Oの機種追加などに順次取り組み、対応できるバリエーションを増やしていきたいと考えています。ご用途や目的に合わせて最適な機種をご検討のうえ、システムをご計画ください。
本稿についての照会先:
(株)エム・システム技研
システム技術部 シス技1課(関西支店) TEL:06-6446-0040
システム技術部 シス技2課(関東支店) TEL:045-227-7366
注)計器フェースプレートのサンプルモデルの入手方法に関しては、エム・システム技研システム技術部へお問い合わせください。
* MsysNet、SCADALINXは(株)エム・システム技研の登録商標であり、SCADALINXproは商標登録出願中です。