エムエスツデー 2005年3月号

電力マルチメータ(形式:52U)、
電力用小形マルチトランスデューサ(形式:LSMT3)
(株)エム・システム技研 開発部
は じ め に
近年、省エネに対する強い要請を受けてエネルギー管理の重要性が叫ばれ、電力計測が担う役割は極めて重要になってきました。エム・システム技研では、このような動きに機敏に対応すべく、電力変換器の拡充に力を注いでいます。
そこで今回は、新たに加わった電力マルチメータおよび電力用小形マルチトランスデューサをご紹介します。
1.電力マルチメータ(形式:52U)
パネル埋込形 電力マルチメータ52U(図1参照)は、1台で単相、三相3線、三相4線といったすべての結線方式に対応でき、また電圧、電流、電力、電力量、力率、周波数といった測定項目を自由に表示できる、まさにマルチプレーヤです。言い換えれば、要求に合わせてお客様が自由に必要な項目を表示できる非常にフレキシブルな製品です。表示も赤色LEDで大変見やすく、明るさも自由に変えられます。当然、動作中に電源が落ちてしまっても、設定パラメータや電力量などはきちんと不揮発性のメモリに蓄えられています。
計測表示内容はUP/DOWNキーを押していくことで、電圧→電流→電力・・・など簡単に変えられます(図2参照)。その場合、間違ってプログラム設定値(たとえば入力トランスのレシオなど)を変えてしまわないように、設定値固定ジャンパを本体裏側に備えています。したがって、神経質にならずに気楽にボタンを押せます。凝った使い方としては、一定時間ごとに測定表示内容を変えることもできます。
出力については、オープンコレクタ出力が2チャネル用意されていて、電力量計測用のパルス出力と警報出力のいずれかを設定できます。また、パルスレートや警報設定値も自由に設定できます。入力トランスのレシオを設定することによって、1次側の実量表示が可能です。
2.電力用小形マルチトランスデューサ(形式:LSMT3)
電力用小形マルチトランスデューサLSMT3(図3参照)は、3点のアナログ出力をもったマルチトランスデューサです。
電力マルチメータ52Uと同様にいかなる結線方式にも対応でき、測定項目の豊富さについても同様です。
3点の出力については自由に測定項目を組み合わせることができます。1点折れ線出力も指定可能です(図5参照)。 ただし、52Uのようにお客様が自由に設定を変更することはできず、結線方式や計測項目、出力信号レベルについてはご注文時にご指定いただくことになります。
表1 52Uの測定項目 |
|
測定項目 |
符 号 |
相電圧 | U1、U2、U3 |
最大相電圧 | U1max、U2max、U3max |
最小相電圧 | U1min、U2min、U3min |
線間電圧 | U12、U23、U31 |
最大線間電圧 | U12max、U23max、U31max |
最小線間電圧 | U12min、U23min、U31min |
線電流 | I1、I2、I3 |
最大線電流 | I1max、I2max、I3max |
平均電流 | I1avg、I2avg、I3avg |
最大平均電流 | I1avgmax、I2avgmax、I3avgmax |
中性線電流 | IN |
有効電力 | P1、P2、P3 |
最大有効電力 | P1max、P2max、P3max |
システム有効電力 | P |
最大システム有効電力 | Pmax |
無効電力 | Q1、Q2、Q3 |
最大無効電力 | Q1max、Q2max、Q3max |
システム無効電力 | Q |
最大システム無効電力 | Qmax |
皮相電力 | S1、S2、S3 |
最大皮相電力 | S1max、S2max、S3max |
システム皮相電力 | S |
最大システム皮相電力 | Smax |
力率 | PF1、cosφ |
力率 | PF2、cosφ |
力率 | PF3、cosφ |
システム力率 | PF、cosφ |
周波数 | F |
受電有効電力量 | EP(high tariffモード) |
送電有効電力量 | EP(high tariffモード) |
受電無効電力量 | EQ(high tariffモード) |
送電無効電力量 | EQ(high tariffモード) |
5有効電力インターバル値 (デマンド) |
Pint0、Pint1.. |
5無効電力インターバル値 (デマンド) |
Qint0、Qint1.. |
5皮相電力インターバル値 (デマンド) |
Sint0、Sint1.. |
表2 LSMT3の測定項目 |
|
測定項目 |
符 号 |
入力電圧 | U |
L1−L2 線間電圧 | U12 |
L2−L3 線間電圧 | U23 |
L3−L1 線間電圧 | U31 |
L1−N 線間電圧 N=中性線 | U1N |
L2−N 線間電圧 | U2N |
L3−N 線間電圧 | U3N |
入力電流 | I |
L1電流 | I1 |
L2電流 | I2 |
L3電流 | I3 |
平均電流(I1+I2+I3)/3 | IM |
有効電力Pと同じ符号付IM | IMS |
システムの有効電力 | P |
L1−N相 有効電力 | P1 |
L2−N相 有効電力 | P2 |
L3−N相 有効電力 | P3 |
システムの無効電力 | Q |
L1−N相 無効電力 | Q1 |
L2−N相 無効電力 | Q2 |
L3−N相 無効電力 | Q3 |
システムの皮相電力 | S |
L1−N相 皮相電力 | S1 |
L2−N相 皮相電力 | S2 |
L3−N相 皮相電力 | S3 |
有効電力力率 cosφ=P/S | PF |
有効電力力率 位相1 P1/S1 | PF1 |
有効電力力率 位相2 P2/S2 | PF2 |
有効電力力率 位相3 P3/S3 | PF3 |
無効電力力率 sinφ=Q/S | QF |
無効電力力率 位相1 Q1/S1 | QF1 |
無効電力力率 位相2 Q2/S2 | QF2 |
無効電力力率 位相3 Q3/S3 | QF3 |
電力力率 位相1 sgnQ1(1−│PF│) |
LF1 |
電力力率 位相2 sgnQ2(1−│PF│) |
LF2 |
電力力率 位相3 sgnQ3(1−│PF│) |
LF3 |
3.国際規格に対応
52UとLSMT3は共にCEマーキングを取得しています。安全規格はEN61010に準拠しており、Protection ClassII、設置カテゴリIIIをクリアしており、耐電圧強度に優れ安全面でも十分安心してご使用いただけます。周囲温度などの影響に基づく変動についてはIEC 60688の usage groupIIに準拠しています。
お わ り に
今回ご紹介した2つの製品は、その機能と特長に差はありますが、電力監視、電力管理を行う上で共に極めて有用な製品であると確信しています。エム・システム技研は、本誌2004年12月号でご紹介したリモートI/O変換器 R3シリーズの電力入力カードをはじめ、今回ご紹介した製品以外にもたくさんの電力関連製品を用意しています。ぜひ、エム・システム技研の電力変換器シリーズを省エネのためにお役立てください。
ご意見、ご感想をご遠慮なくエム・システム技研ホットラインまでお寄せください。