エムエスツデー 2008年7月号

理解しやすい操作と多機能を両立した
デジタルパネルメータ 47シリーズ 液晶表示タイプ
(形式:47DV、47DT、47DR、47DM)
(株)エム・システム技研 開発部
は じ め に
エム・システム技研では、これまで「デジタルパネルメータ 45シリーズ、46シリーズ」をご提供して参りました。おかげさまで、これらの製品は長期にわたりご好評をいただいています。
このほど、さらにお客様のご希望を反映させた新製品「デジタルパネルメータ 47シリーズ」を開発しました。47シリーズでは、LED表示タイプと液晶表示タイプという2種類の表示方式を選ぶことができます。先月号(2008年6月号)ではLED表示タイプをご紹介しました。両表示タイプに共通する代表的な特長は次に列挙するとおりです。
・ エム・システム技研の従来品と比較して短い98.5mmの奥行き寸法
・ 配線性が良い、上下2段の段差をつけた端子台
・ メンテナンス時に便利な、着脱可能な2ピース端子台
・ リプレースに対応できる、標準的な48×96パネルカットサイズ
・ 保護等級IP66の前面パネル
・ 工具不要のワンタッチパネル取付け
なお、液晶表示タイプではこれらに加えて、さらに多彩な機能を搭載しています。本稿では、先月号に引き続き、「デジタルパネルメータ 47シリーズ」の第2弾として、液晶表示タイプ(形式:47DV、47DT、47DR、47DM)をご紹介します。
表1に47シリーズ 液晶表示タイプの製品ラインアップ(入力の種類)を示します。
1.表 示
図1に47シリーズ 液晶表示タイプの外観、図2に前面パネル図を示します。
液晶表示タイプは、その名のとおり表示に液晶を採用しているため、LEDタイプと比較して消費電力を大きくすることなしに、より細かな表示が可能です。この特長を活かして、全表示範囲中での現表示レベルが一目で分かるバーグラフ表示を実現しました。バックライトには高輝度タイプのLEDを採用しており、警報判定を表示色の変化で表現できる色切り替え表示にも対応しています。
警報状態に入るとメインディスプレイの数字表示が緑から赤へ変化します(逆に赤から緑への設定も可能)。したがって、多少離れたところからでも表示色の変化によっておおまかな状況把握が可能になりました。
2.操作性
「理解しやすい操作」と「多機能」、この相反する希望を両立させるべく、工夫を凝らしています。基本操作については、取扱説明書をご覧になり、1度操作するだけでご理解いただけることを目標に設計しました。
まず、電源を投入した後、最初に操作する頻度が高いのは、警報設定機能やスケーリング機能だと考えられます。これらの機能は、機能名称を表示した前面ボタン1つに割り当てたので段階を踏むことなく設定モードに入ることができます。もちろん不用意な設定を禁止するプロテクト機能も搭載しました。また、先に述べた液晶ならではの細かな表示を活かして、理解しやすい操作を実現しながら考えられる限り多くの機能を搭載しました。これらの代表的な機能を表2に示します。
表2 47シリーズ 液晶表示タイプの代表的な機能
No. | 機能名称 | 内 容 |
1 | MAX/MIN値表示 | 最大/最小値表示 |
2 | 強制ゼロ | 現在計測値にゼロ点を設定 |
3 | ティアゼロ | 強制ゼロ点から更にゼロ点設定 |
4 | 警報出力パターン | ノーマルとゾーン(区間)出力を切換可能 |
5 | ON/OFFディレー | 警報ON/OFFから遅延して動作 |
6 | ショット出力 | 警報ONから一定時間出力保持 |
7 | バンク機能 | 各警報値のパターンを8種類設定可能 |
8 | 単純平均/移動平均 | 計測値を平均して表示 |
9 | ゼロリミット | 設定値以下をゼロ表示可能 |
10 | 表示色切換 | 表示色の切換パターンを選択可能 |
11 | P出力変更 | PASS出力を任意の警報出力に割り当て |
12 | 警報出力ラッチ | 警報状態時の出力と計測動作を停止することが可能 |
13 | 待機シーケンス | 電源ON時、一旦PASS状態になるまで待機可能 |
14 | スケーリングエラー警報動作 | 測定範囲外でも警報出力するか、しないかを選択可能 |
15 | 最小桁ステップ | 設定した値以下を表示しない |
16 | 前回平均値比較(ハイパスフィルタ) | 動きの早い変化のみ表示 |
17 | 輝度/コントラスト調整 | 表示状態を変更可能 |
※動作の詳細については各機種の取扱説明書をご参照ください。
3.赤外線通信
47シリーズ 液晶表示タイプは、赤外線通信アダプタ(形式:COP-IRU)に対応しています。このユニットを使用すれば、パソコンと本体の間をケーブル接続することなく、パネル前面から非接触で設定できます(図3)。
また、このユニットに対応したコンフィギュレータソフトウェア(形式:47DCFG)も用意しました。エム・システム技研のホームページからダウンロードしてお使いいただけます。
この赤外線通信アダプタとコンフィギュレータソフトウェアを組み合わせれば、多種にわたる設定を、何回も前面ボタンを押しながら確認する必要はありません。パソコンの広い画面上で設定し確認できます。
また、機器パラメータの編集、書込み、読込み、パラメータのファイル管理ができるため、複数の47シリーズ デジタルパネルメータが取り付けられているパネルであっても、同じ設定であれば面倒がありません。パラメータファイルを呼び出して、1台毎に書き込み送信するだけの簡単な操作で済みます。
4.直流出力、Modbus通信
お望みの出力範囲を設定できる直流出力機能を搭載しました。端子台接続を変えずに前面ボタンで5種類の直流出力仕様(4~20mA、0~20mA、0~5V、±5V、±10V)を切り替えることも可能です。各種入力−直流出力間の耐電圧仕様については、AC2000V 1分間の絶縁性能を確保しました。さらに、システムの立ち上げ時に便利な、出力を任意の値に設定できるループテスト機能も搭載しています。
RS-485 Modbus通信も搭載しました。計測値あるいは設定値をパソコンなど上位に伝送でき、複数台のデータ収集分析が容易に実現できます。また、警報値の変更や表示色の変更など各種の操作も可能です。図4にシステム構成例を示します。
5.外部供給電源
外部供給電源も搭載しました。2線式伝送器用電源(+24V)とセンサ電源(+12V)のどちらかをご購入時に選択いただけます。
2線式伝送器用電源の場合、直流入力タイプ(47DV)と2線式伝送器を2線で接続するだけで、DC4~20mA伝送器出力をモニタ表示することができます。また、スマートトランスミッタ(HART通信など)にも対応しています
また、2種どちらの外部電源仕様においても、不意の短絡状況発生時には、前面パネルにエラー表示が出るようにしました。もちろん、短絡保護機能付きです。
おわりに
今回ご紹介した47シリーズ 液晶表示タイプは、制御盤や装置の省スペース化、または配線作業の省力化に加えて、理解しやすい操作と多機能を両立させるために開発した製品です。今後の展開としては、全47シリーズ製品のCEマーキング適合化、並びに現在のラインアップ以外にも信号変換器と同様に様々な入力タイプを開発し、ラインアップを揃える予定です。
45シリーズ、46シリーズと同様に、47シリーズデジタルパネルメータをよろしくご愛用くださるようお願いします。