エムエスツデー 2006年2月号

リモートI/O R3シリーズ新製品
FL-net(OPCN-2)用通信カードのご紹介
(株)エム・システム技研 開発部
は じ め に
組み合わせ自由形リモートI/O R3シリーズは、発売当初からご好評をいただき、ありがたく思っています。また、「こんな入力には対応できないか?こんな通信プロトコルには対応できないか?」というような具体的ご要望もたくさんいただいて参りました。そして、ご要望に少しでもお応えしたいと、発売してから今日まで1年半あまりの間、入出力カードの機種および通信カードの機種の拡充に努めて参りました。
今回、以前からご要望が多かったFL-net(OPCN-2)注)につながる初のリモートI/Oとして、FL-net(OPCN-2)用 通信カード(形式:R3-NFL1、図1)を新しく追加することになりましたのでご紹介します。
1.FL-netとは?
FL-netは、日本の自動車産業を中心とするFA(ファクトリーオートメーション)の分野で生まれた、マルチベンダのプログラマブルコントローラ、数値制御装置、ロボット、パソコンなどの間を接続する通信ネットワークの規格です。主な特長を挙げれば以下のとおりです。
• 通信媒体としてEthernetを採用しているため、トランシーバやハブ、ケーブル、パソコン用LANカードなど、Ethernet用として広く普及しているネットワーク用機器を使用することができます。
• サイクリック伝送によって各機器(ノード)が同一のデータを常に共有できるコモンメモリ機能、および必要なときに必要な情報だけをやり取りするメッセージ伝送通信機能、の両方をサポートしています。
• コモンメモリは最大8kビット+8kワードで構成され、ユーザーにて自由に割り振ることができます。
• マスタが存在しないため、各ノード(機器)の参加・離脱によって他のノード間の通信は影響を受けません。
(1)トークン
FL-net上へのアクセス制御は、トークンによって行われます。ネットワークに参加している全ノードを1つのトークンが周回していて、トークンを保持しているノードがFL-netへの送信権をもちます。
(2)サイクリック伝送
サイクリック伝送は、ノードがトークン取得毎に指定されたコモンメモリエリアに格納されているデータを全ノードへ送信する、周期的な伝送方式です(図2参照)。
コモンメモリは、システム全体で最大8kビット+8kワード(1ワード=16ビット)で構成され、領域1と領域2に分かれています。あるノードに割り付けたコモンメモリ上の領域は、そのノードの送信領域となり、他ノードにとっては受信領域になります。また、ノードはコモンメモリを受信領域だけに用いることも可能です。
• 領域1(8kビット):ビットデータまたはワードデータ
• 領域2(8kワード):ワードデータ
(3) メッセージ伝送
メッセージ伝送は、ノード間に発生するイベントを通知するための非周期的なデータ伝送方式です。各ノードがトークンを受けたとき、サイクリック伝送フレーム送信の前に最大1フレームだけ送信が可能です。メッセージ伝送には、要求メッセージを送信するクライアント機能と要求メッセージを受信し、応答メッセージを送信するサーバ機能があります。
2. R3-NFL1の特長
表1 サポートメッセージ伝送一覧 |
||
メッセージ |
要求 |
応答 |
バイトブロックリード | − |
− |
バイトブラロックイト | − |
− |
ワードブロックリード | − |
○ |
ワードブロックライト | − |
○ |
ネットワークパラメータリード | − |
○ |
ネットワークパラメータライト | − |
− |
停止指令 | − |
○ |
運転指令 | − |
○ |
プロファイルリード | − |
○ |
透過形メッセージ | − |
− |
ログデータリード | − |
○ |
ログデータクリア | − |
○ |
メッセージ折返し | − |
○ |
(1)コモンメモリ割り当て
R3-NFL1では、1ノードあたりのベーススロット数の関係から、領域1では4kビット(256ワード)、領域2では256ワードのデータをコモンメモリに送信する仕様になっています。
R3-NFL1の入力データは領域1・領域2のどちらにも設定できますが、接点入力の設定に関して領域2ではチャネル16点単位になります。
R3-NFL1が送信したデータを他ノードが受信することによりシステム全体で同じデータを共有できます。また、R3-NFL1が受信したデータを接点出力カード、アナログ出力カードに割り当てることにより、PLCでの演算結果をR3シリーズの出力カードに割り当てるといったことも可能になります。
(2)メッセージ伝送
R3-NFL1はリモートI/O用であるため、対応するメッセージ伝送はサーバ機能だけになります(表1参照)。
3.FL-net設定ツール
R3-NFL1には、FL-netの設定ソフトウェアとしてFL-net設定ツール(形式:R3-NFLBLD)が付属しています。コモンメモリ割付設定やパラメータ設定、他ノード情報読み出し、接続されているR3シリーズのI/Oカード情報の読み出しなどをEthernet経由で行います。図3は基本設定画面例になります。
また、接続されているR3シリーズ I/Oカードのどのチャネルの入力値をコモンメモリに送信するか、また受信したコモンメモリのデータをどのチャネルに出力するかを設定します。
4. アプリケーション例
(1) 生産ライン
生産ラインに共通のユーティリティ関連センサ情報(電力・圧力・流量・回転数など)をR3-NFL1に接続することによって上位のパソコンがデータを吸い上げ、監視・制御できます。
また、品質管理や操業改善を目的とした追加的センサ情報をR3-NFL1に接続すれば、従来のようにPLCを追加する必要はなく、安価な増設が可能です(図4参照)。
(2) フィールドバス
ハードウェアおよび製造業者に依存しない本来のコントローラ間バスとしての使用方法とは異なりますが、R3-NFL1を複数台接続すればEthernetを使ったフィールドバスとしての使い道も考えられます。
お わ り に
R3-NFL1は、エム・システム技研にとって初のFL-net対応製品というだけではなく、FL-netにおける初のリモートI/Oでもあります。今回ご紹介したアプリケーション例だけではなく、お客様ごとに様々な用途があると思いますのでぜひご検討ください。
リモートI/O R3シリーズについては、今回ご紹介した通信カードだけでなく、必要と判断される入出力カードや通信カードの機能の充実を今後も図っていきたいと考えています。
リモートI/Oに関するご意見やご要望などがありましたら、ご遠慮なくエム・システム技研のホットラインまでお寄せください。
注)FL-net(OPCN-2)については『エムエスツデー』誌2005年8月号の「計装豆知識」をご参照ください。