エムエスツデー 2012年4月号

Products Review
フィールドロガー® シリーズ
Webロガー
経済性と信頼性を増した携帯電話の通信インフラ
最近の通信インフラの進歩と多様化にはめざましいものがあり、とくに携帯電話の通信においては高速で低コストを特長とした新しい規格や商品が次々に登場しています。
「Webロガー」は様々な通信インフラに対応可能であり、携帯電話やPHSの通信網を利用した無線通信のアプリケーションにも多くの実績をもっています。携帯電話網では、従来、NTT docomoが提供してきたDoPa網が多く利用されてきましたが、DoPa網は2012年3月末をもってサービスが終了しました。 それに替わる新たな通信方式としてNTT docomoからFOMA網が提供されています。また、同等なパフォーマンスが得られるCIPL網がau/KDDIから提供されています。「Webロガー」はいずれの通信方式にも対応可能です。
さらに最近は、第三世代の高速携帯電話通信機能とWiーFi機能を兼ね備えたモバイルルータが登場し、Webへの常時接続、定額料金による携帯電話通信が可能になりました。「Webロガー」はこのモバイルルータ通信にも対応可能であり、アプリケーションの範囲が大幅に広がりました。 これからも「Webロガー」は進化する通信インフラにも柔軟に対応して行きます。
Webロガー TL2の主な仕様
■ Webサーバ機能
■ 入出力点数 TL2内蔵タイプ 入出力外付タイプ ■ トレンドデータ編集機能 0.5秒スキャン×120回=1分単位で記録 ■ 帳票編集機能 8項目/頁×8頁=64項目。日報 月報 年報 ■ 帳票編集機能 8項目/頁×8頁=64項目。日報 月報 年報 ■ 時刻自動取得 指定時刻都度、時刻サーバから標準時刻を |
■ データ記録機能 NOR型フラッシュメモリに記録。 ■ 事象検出機能/通報/記録 全点0.5秒周期監視 ■ RTU機能 リレーラダー/自己保持/コンパレータ/タイマー/ ■ 通報機能 平日/休日、定時間内/外による |
NTT docomoの場合
FOMAのしくみ
FOMAは、NTT docomoが提供しているIMTー2000方式による携帯電話サービスです。基本的な通信媒体として2GHz帯の電波を使い、国際電気通信連合(ITU)が定めた次世代携帯電話方式の標準規格IMT-2000の技術仕様の1つである「W-CDMA」を使用しています。ベストエフォート型による下り384kbps、上り64kbpsのデータ通信が可能です。
契約体系が、従来の電話機単位契約からFOMAカード(UIMカード)単位の契約になるため、1つの契約で複数の電話機を使い分けることもできます。FOMAのデータ通信はパケット通信方式で、通信プロトコルとしては、TCP/IPを採用しているため、イントラネット(LAN)接続や、インターネット接続を利用するアプリケーション向けとして、様々な目的に利用できます。また、DoPa網に替わるサービスとして、各種遠隔監視システムに利用できます。
ベストエフォート型(最善努力型):サービスの品質(QoS)の保証がない通信ネットワーク、あるいは通信サービス。 専用線接続サービスなどで使われる用語。(反対語:ギャランティ型(品質保証型))
FOMAとモバイルルータ
NTT docomoのモバイルルータ「BF-01B」を使って、FOMAの 3.5G(W-CDMA/HSPA)通信でFOMAネットワークに接続するもので、インターネットサービスプロバイダ(ISP)を経由してインターネットに直接接続します。インターネットに接続できる遠隔監視端末からは、直接Webロガーに接続して情報を得ることができます。
モバイルルータ「BF-01B」はBUFFALO製ポータブルモバイルルータです。
モバイルルータとFOMAを使ったWebロガーの無線通信
■ Webロガー(TL2W)にはLANケーブルでモバイルルータが接続されています。
BF-01BはFOMA 3.5G W-CDMA/HSPA通信でFOMAネットワークに接続します。
■ FOMAネットワークからISP経由でインターネットに接続されます。
■ インターネットに接続できる遠隔監視端末(パソコン)からは、インターネット経由で
Webロガーに接続します。
FOMAを使ったWebロガーの無線通信
■ サーバとWebロガーの間にFOMAネットワークがあり、相互にデータのやり取りを行います。
■ サーバとFOMAネットワークとは、ルータ間でダイヤルアップ接続で接続されます。
サーバからWebロガーを呼び出す場合は、ユーザー側ルータがdocomo側ルータを呼び出して接続し、
Webロガー側からサーバを呼び出す場合は、docomo側ルータがユーザー側ルータを呼び出して接続します。
このために、ルータ間の接続は ISDN回線または専用回線となり、2回線必要になります。
au/KDDIの場合
CIPLのしくみ
CIPLサービス(KDDI CDMA IP Linkサービス)は、KDDIが提供している、CDMA 1X WIN方式(第3.5世代、通称WIN)の携帯電話を使った、パケット通信方式のデータ通信です。WINは主に800MHz帯を利用しているため、建物内や山間部などでも送受信できる確率が高い特長があります。パケット通信方式であり、通信環境に応じたベストエフォート型による、最大下り144kbps、上り64kbpsのデータ通信が可能です。CIPLサービスは通信モジュールと企業間を接続して通信を行うためのリモートアクセスサービスで、CIPLサービスを利用することにより、通信モジュールを搭載した製品の遠隔監視、運用監視などの様々な利用形態を実現することが可能となります。通信モジュールを搭載した製品からユーザー名、パスワードにてダイヤルアップ接続します。その後、RADIUSサーバにてRADIUS認証、および固定IPアドレスの割当を行い、通信モジュール搭載製品とお客様センター間でパケット通信が可能になります。
CIPLを使ったWebロガーの無線通信
■ 通信回線はIP-VPNあるいはISDNから選択できますが、この構成ではISDNを使用しています。
FOMA網ではユーザーはLAN側ルータと網側ルータとで2回線必要でしたが、
CIPL網では1回線で
済みます。
■ ユーザー側のサーバから要求を出すと、CIPLネットワークを経てSMS網(ショートメールシステム)
からCIPL端末に要求が伝わり、CIPL端末からはPacketOne網で接続が行われます。
■ Eメール送信はKDDIのau.NETを使って送信します。