2011年1月号
エムエスツデー 2011年1月号
Products Review
CC-Link − HLS ゲートウェイユニット
ゲートウェイとは・・・
ゲートウェイとはネットワーク上で、媒体やプロトコルが異なるデータを相互に変換して通信を可能にする機器です。OSI参照モデル※1 の全階層を認識し、通信媒体や伝送方式の違いを吸収して異機種間の接続を可能とします。(IT用語辞典 e-Words より抜粋)
エム・システム技研の「ゲートウェイユニット(形式:R7G-SC-SHL□)」は、オープンフィールドネットワークであるCC-LinkとHLS(Hi-speed Link System)を相互に接続するゲートウェイです。
■ CC-Link − HLS ゲートウェイユニット 2011年2月発売
形 式 :R7G-SC-SHL□ | 基本価格 : 80,000円 |
ゲートウェイの基本動作
「ゲートウェイユニット(形式:R7G-SC-SHL□)」はCC-Link スレーブとHLSスレーブとを接続して使用します。 CC-Link の入力 16点をHLSの出力Do 領域に、CC-Linkの出力 16点をHLSの入力Di 領域に接続し、互いの接点信号を受け渡しするゲートウェイとして機能します。「ゲートウェイユニット」はこの機能を2セット搭載しているため、ユニットとしては入力32点、出力32点を扱え、接点入出力を各ネットワーク間で相互に接続できます。またアドレスもそれぞれのネットワーク用に2局分占有します。
主な仕様
機器仕様 | |
接続方式 ・電源部、CC-Link 部 ・HLS 部 |
コネクタ形スプリング式端子台 適合電線サイズ : 0.2 ~ 1.25 mm2 剥離長 10 mm RJ-45 モジュラジャック |
アイソレーション | CC-Link・FG−HLS−電源間 |
局番設定 | ロータリスイッチにより設定 |
伝送速度設定 ・CC-Link ・HLS |
156kbps~10Mbps(ロータリ スイッチにより設定) 6Mbps、12Mbps(ディップスイッチにより設定) |
電源表示LED | 緑色LED |
状態表示LED ・CC-Link ・HLS |
赤色LED、通信動作状態を表示 緑色LED、通信動作状態を表示 |
HLS | 緑色LED、通信動作状態を表示 |
HLS 通信仕様 | |
通信方式 | 全二重通信(R7G-SC-SHL)または半二重通信(R7G-SC-SHL1) |
通信距離/伝送速度 | 100 m/12 Mbps、200 m/6 Mbps |
通信ケーブル ・全二重通信 ・半二重通信 |
ZHY262PS、ZHT262PS(伸光精線工業) ZHY221PS(伸光精線工業) |
終端抵抗 | 内蔵 |
占有局数 | 2局 |
CC-Link 通信仕様 | |
CC-Link | Ver.1.10 |
通信ケーブル | 三菱電機(株) CC-Link用指定ケーブル |
終端抵抗 | 内蔵 |
局種別 | リモートI/O局 |
占有局数 | 2局(1局 × 2台) |
システム構成図
データ配置
CC-Linkとは
“CC-Link”とは、三菱電機(株)が1996年から提唱している同社のPLC(MELSECシーケンサ)を中心とした、新しいオープンなフィールドネットワークControl & Communication Linkの略称です。最高10Mbpsの高速伝送とワードデータの伝送、メッセージ伝送ができるなどの特徴をもち、接点信号のようなビットデータだけでなく温度データのようなアナログ信号をワードデータとして扱う機器との接続が可能です。
また総延長距離が最長1200m(伝送速度 :156kbps)、バス形ネットワークによりシステム構成が容易などの特徴もあります。
ネットワークの物理層はRS-485準拠であり、データフレームはHDLC準拠です。通信ネットワークにはマスタ局が必要で、通常はPLCがマスタとなります。スレーブ局は最大64台接続できます。マスタ局はネットワークに接続されるスレーブ局の種類やそのアドレス情報を貯え、ネットワーク全体を管理します。伝送制御は、マスタ局からスレーブ局への一斉放送と個別問合せにより行っています。
HLS(Hi-speed Link System)とは
HLS(Hi-speed Link System)とは、(株)ステップテクニカが提唱している超高速・高信頼性オープンフィールドネットワークの名称です。2種類のIC(“マスタ(センタ)IC”と“スレーブ(サテライト)IC”)が用意されています。1個のマスタICに最大63個のスレーブICを接続可能で、1ms以内に2016点のI/Oが一括制御できる(12Mbps、全二重通信時)という超高速のリモートI/O制御ネットワークです。1つのスレーブICは、16ビットの信号入力と16ビットの信号出力を利用できます。マスタICは、各スレーブICの入力ポート状態を内部メモリのDi領域へ複写し、また、内部メモリのDo領域のデータを各スレーブICの出力ポートへ個別に複写することで、1つの巨大なメモリ・マップド・リモートI/Oを構成します。接続には、面倒なコンフィギュレーションは不要で、局番、通信速度、通信方式、終端抵抗を設定するだけで、ネットワークに加えることができます。また、ネットワークが稼働中であっても参入と離脱が可能です。
HLSは、半導体製造装置、精密工作機械、射出成型機、コンベア搬送システムなど、FA分野の各種制御装置用オープンフィールドネットワークとして、幅広い業種において採用されています。
※1. 国際標準化機構(ISO)により制定された、異機種間のデータ通信を実現するためのネットワーク構造の設計方針「OSI」(OpenSystems Interconnection)に基づき、コンピュータなどの通信機器の持つべき機能を階層構造に分割したモデル。通信機能を7階層に分け、各層ごとに標準的な機能モジュールを定義している。「OSI基本参照モデル」「OSIモデル」などとも呼ばれる。
(出典 : IT用語辞典e-Words)