2000年1月号 | ||||||||||||||||||||||||||
ドイツ デュッセルドルフ
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(株)エム・システム技研 技師長 | ||||||||||||||||||||||||||
エム・システム技研は、この動向を的確にとらえて21世紀も引き続きお客様に適切な製品を提供すべく、第一線のマーケティング担当者と開発担当者を派遣して、状況把握と情報収集につとめました。 さらにそれにとどまらず、PROFIBUS付きリモートI/O「M9シリーズ」、PCレコーダ「パソコンレコーダソフトMSRS32」、PCスペック形信号変換器「M2Xシリーズ」、インテリジェントアクチュエータ「PSNシリーズ」、警報設定器「デジアラームAS4V」、超小形信号変換器「ピコマルシリーズ」などの新製品を積極的に出品展示して、世界各国から訪れたユーザー、メーカー、販売代理店の方々から直接貴重なご意見をいただくことができました。 また、エム・システム技研の製品をご使用いただいているユーザーの方々や、エム・システム技研製品を販売いただいている代理店の方々にとっても、世界最新の業界情勢にじかに触れることができる貴重な機会であり、今回も視察研修ツアーを組織して、22名の参加者の方々をエム・システム技研営業担当者がご案内しました。 展示場はデュッセルドルフ市の郊外にあり、今回はこの中の8つの広大な展示館を使って行われました。主催者によれば、出展数1,354社、入場者数約6万人とのことで、その混雑ぶり、熱気にはたいへんなものがありました。前回より2万人減になったとはいえ、不況といわれる欧州産業界の底堅さと積極性のようなものを感じさせられました。
① PC(WindowsNTパソコン) ② PC上で動作する定番の監視操作ソフト ③ オープンなフィールドバス ④ リモートI/O+コントローラ の4要素によって低価格でコンパクトに構成されてしまいます。メーカーの独自性が濃く、重厚長大で高価格な従来のDCSは過去のものとなりました。そして、これらの構成要素としては業界標準的製品が使われますから、各メーカーが独自に製品化する部分は大幅に減ります。 これらのことはDCSメーカーのビジネスにも必然的に影響を及ぼし、ひいては業界の構造や地図を塗り替える可能性があることも感じさせられました。
欧州市場でのフィールドバスとしては、SIEMENS社が推進するPROFIBUSがほぼ業界標準になったようです。あらゆるセンサ/アクチュエータメーカー、DCSメーカー、PLCメーカー、I/Oメーカーがサポートしていました。PROFIBUSは、従来の計装における4~20mA電流信号による計器間の信号伝送をバスで置換えることだけを狙っていて、従来の計器構成を踏襲する思想であることも、各メーカーが受入れ易くて急速に普及した理由であると思われます。
フィールドバス協会として、大きな展示ブースを設けて相互接続性(インターオペラビリティ)に重点をおいた展示を行っていました。横河の差圧変換器、山武の空気圧式調節弁、フィッシャーローズマウントの流量
計、ABBの温度計、…などを1本のH1ファウンデーションフィールドバスに接続して、容易に制御系が構築でき、これらが有機的に動くことを盛んにデモしていました。長い時間をかけながらも、ねばり強くここまで来ていることに尊敬の念を覚えました。また最近話題の100Mbpsイーサネットによる従来のH2バス相当の高速バス(HSE)についても発表していました。今後、急速に普及する予感がします。
1つの展示館を全部使ってソフトの展示をしていました。ワンダーウェアやインテリューションはもとより、名も知らない小さなメーカーが四畳半的なブースを構えて、一製品だけのソフトを声高で自信ありげに宣伝しているという光景もたくさん見られました。計装業務で必要になるあらゆるジャンルのソフトが揃っているように思われました。すでに述べたように、計装のハードウェアについては、業界標準品の占める割合が多くなって没個性になります。すると、システムに個性を持たせるのはソフトウェアになります。そのソフトウェアも一から自分で作る時代ではもはやなくて、プラットフォームや部品の部分はメーカーが保証する既製品を買って、本当の自分のアプリケーションだけを、その上で自分で作る時代なのです。21世紀は計装の世界においてもソフトこそが個性を実現し、付加価値を生み、利益をもたらす存在になると思いました。「ソフトフェア」という言葉を「情報」という言葉に置換えることもできます。今日、情報産業が盛んに利益をあげていて、各企業が情報ビジネスにシフトしている事実を見るとわかり易いかもしれません。
日本国内の展示会には何度も行っていますが、今回のような世界的に有名な展示会を視察するのは初めてでした。
上司からの「世界の動きを見てこい!!」の一言で始まった今回の大命。商社の企画部に所属する私にとっては、個々の製品の技術的知識探求ではなく、高木商会でも注力しているオープンネットワークの現状、産業現場におけるPCの位
置づけ、ソフトPLCの今後の動向について注目していました。
エム・システム技研は、INTERKAMAへ毎回、出品展示のみならず視察研修ツアーを企画しています。今回もどこまでお客様にご満足いただける内容となったかわかりませんが、ご参加いただいた皆さまから、自分の肌で感じられて印象深かったというお話などをお聞きしますと、企画して良かったと思う次第です。とくに今回の展示会は、日本の社会情勢もあってか、そのようなご意見が多かったように感じます。
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