2000年1月号

ドイツ デュッセルドルフ
INTERKAMA’99視察を終えて

(株)エム・システム技研 技師長
 
はじめに
 INTERKAMAは、世界の工業計器業界が欧州で3年に一度開催してきた製品展示会ですが、第14回の今回は、(次回から隔年開催に変更されるためか)例外的に4年ぶりに、去る10月18日(月)から23日(土)までの6日間、ドイツのデュッセルドルフで開催されました。これは米国のISA EXPOと並んで、世界の工業計器のユーザーとメーカーの動向を占う重要な展示会です。
 エム・システム技研は、この動向を的確にとらえて21世紀も引き続きお客様に適切な製品を提供すべく、第一線のマーケティング担当者と開発担当者を派遣して、状況把握と情報収集につとめました。
 さらにそれにとどまらず、PROFIBUS付きリモートI/O「M9シリーズ」、PCレコーダ「パソコンレコーダソフトMSRS32」、PCスペック形信号変換器「M2Xシリーズ」、インテリジェントアクチュエータ「PSNシリーズ」、警報設定器「デジアラームAS4V」、超小形信号変換器「ピコマルシリーズ」などの新製品を積極的に出品展示して、世界各国から訪れたユーザー、メーカー、販売代理店の方々から直接貴重なご意見をいただくことができました。
 また、エム・システム技研の製品をご使用いただいているユーザーの方々や、エム・システム技研製品を販売いただいている代理店の方々にとっても、世界最新の業界情勢にじかに触れることができる貴重な機会であり、今回も視察研修ツアーを組織して、22名の参加者の方々をエム・システム技研営業担当者がご案内しました。
 展示場はデュッセルドルフ市の郊外にあり、今回はこの中の8つの広大な展示館を使って行われました。主催者によれば、出展数1,354社、入場者数約6万人とのことで、その混雑ぶり、熱気にはたいへんなものがありました。前回より2万人減になったとはいえ、不況といわれる欧州産業界の底堅さと積極性のようなものを感じさせられました。

1.DCSの変革
 今回の展示を縦覧してまず実感したのは、計測制御システム:DCSが変革しつつあるということです。今やDCSは
 ① PC(WindowsNTパソコン)
 ② PC上で動作する定番の監視操作ソフト
 ③ オープンなフィールドバス
 ④ リモートI/O+コントローラ
の4要素によって低価格でコンパクトに構成されてしまいます。メーカーの独自性が濃く、重厚長大で高価格な従来のDCSは過去のものとなりました。そして、これらの構成要素としては業界標準的製品が使われますから、各メーカーが独自に製品化する部分は大幅に減ります。
 これらのことはDCSメーカーのビジネスにも必然的に影響を及ぼし、ひいては業界の構造や地図を塗り替える可能性があることも感じさせられました。

2.PROFIBUS

 欧州市場でのフィールドバスとしては、SIEMENS社が推進するPROFIBUSがほぼ業界標準になったようです。あらゆるセンサ/アクチュエータメーカー、DCSメーカー、PLCメーカー、I/Oメーカーがサポートしていました。PROFIBUSは、従来の計装における4~20mA電流信号による計器間の信号伝送をバスで置換えることだけを狙っていて、従来の計器構成を踏襲する思想であることも、各メーカーが受入れ易くて急速に普及した理由であると思われます。

3.Foundation Fieldbus

 フィールドバス協会として、大きな展示ブースを設けて相互接続性(インターオペラビリティ)に重点をおいた展示を行っていました。横河の差圧変換器、山武の空気圧式調節弁、フィッシャーローズマウントの流量 計、ABBの温度計、…などを1本のH1ファウンデーションフィールドバスに接続して、容易に制御系が構築でき、これらが有機的に動くことを盛んにデモしていました。長い時間をかけながらも、ねばり強くここまで来ていることに尊敬の念を覚えました。また最近話題の100Mbpsイーサネットによる従来のH2バス相当の高速バス(HSE)についても発表していました。今後、急速に普及する予感がします。

4.工業計装用ソフトウェア

 1つの展示館を全部使ってソフトの展示をしていました。ワンダーウェアやインテリューションはもとより、名も知らない小さなメーカーが四畳半的なブースを構えて、一製品だけのソフトを声高で自信ありげに宣伝しているという光景もたくさん見られました。計装業務で必要になるあらゆるジャンルのソフトが揃っているように思われました。すでに述べたように、計装のハードウェアについては、業界標準品の占める割合が多くなって没個性になります。すると、システムに個性を持たせるのはソフトウェアになります。そのソフトウェアも一から自分で作る時代ではもはやなくて、プラットフォームや部品の部分はメーカーが保証する既製品を買って、本当の自分のアプリケーションだけを、その上で自分で作る時代なのです。21世紀は計装の世界においてもソフトこそが個性を実現し、付加価値を生み、利益をもたらす存在になると思いました。「ソフトフェア」という言葉を「情報」という言葉に置換えることもできます。今日、情報産業が盛んに利益をあげていて、各企業が情報ビジネスにシフトしている事実を見るとわかり易いかもしれません。
 ほかにも報告すべきことはたくさんありますが、紙数が限られているため、もっとも重要と思われることだけにとどめます。この記事に対してご質問、ご感想、ご意見などあれば、ぜひ下記にご連絡ください。
 E-mail:kawashima@m-system.co.jp


INTERKAMA'99視察研修ツアーに参加して
東工・バレックス株式会社
       横山 達也


 日本国内の展示会には何度も行っていますが、今回のような世界的に有名な展示会を視察するのは初めてでした。
 会場に着いてまずその規模に驚かされ、的を絞って見て行かないと限られた時間の中ではとても全部を視察することは不可能だと感じました。
 会場内では、しばらくぶりに使う通じるかどうかわからない英語に苦戦しながらも、バルブ関連のブースを中心に視察しました。バルブそのものには革新的なものがあったとは感じられませんでしたが、バルブに付属するポジショナは、その多くが「フィールドバス対応」になっており、3年後にこの展示会が開催されるとき(小生が再び視察に行けるかどうかわかりませんが)には、すでに日本でも同じような「世界」が広がっているのだろうと実感しました。
 最後になりましたが、今回の視察ツアーでは大島団長をはじめエム・システム技研の皆様には大変お世話になりました。ありがとうございました。

INTERKAMA'99視察研修ツアーに参加して
西川計測株式会社
 藤井 正人


 このたびは、エム・システム技研主催のツアーに参加させていただきました。
 手厚くお世話いただき、感謝しております。
 視察しての印象を以下に列挙します。
 ●DCSは死語か?
  PLCプラットフォーム制御の全盛。
 ●SCADA系ソフトの伸張。
 ●Fieldbusは実用段階?
 ●Fieldbus対応の変換器ユニットも多数。
 ●センサ、変換器類の小型化が顕著。
 ●マンマシン部へのPC多用には目を見張る。
 以下は、余談(第2の視察!)。
 ドイツはビールが安く、水・果実飲料が高い。なぜか中瓶と大瓶を見かけない。製造してないの?多種の白ワインに接した。イタリアの白は、うまい!
 街並みは、中世が息づいているという印象。写真を現像してみて、空がこんなに青かったのかと再認識。
 2種類の見識向上に大変有意義でした。
 エム・システム技研さんに多謝。

INTERKAMA'99視察研修ツアーに参加して
関西計装エンジニアリング株式会社
 武村 健仁


 初めてのINTERKAMA'99見聞記。まず圧倒されたのは、その規模の大きさと活気です(出展社1,354社、65,000m2の展示場、入場者数約60,000人)。近年日本における計装業界の活気の無さと較べて、新たな感動を覚えました。バブル崩壊とほぼ時を同じくして、ベルリンの壁が崩れ、ともに経済の再構築に取り組んでいる彼我の違いに、独/EUの歴史と民族性・多様性に支えられた底力を強く感じました。
 印象に残った展示は以下のとおりです。
 ●ABB、SIEMENSなど、欧州に展開するPROFIBUS陣営の大規模積極的なデモ。較べてアウェイとはいえ、少し精彩 を欠いたFieldbus協会陣営の展示。
 ●主要ベンダー(多くは複合企業)の出展ブースの広さと華麗で元気な展示パフォーマンス(近年の日本の展示会ではお目にかかれない)。
 ●PLC/PCをプラットフォームとしたDCSのオンパレードと多彩なSCADAシステム。
 ●結構元気な中小専門(センサ、計測器、変換器、バルブ、ソフトウェアなど)のメーカー群。
 グローバル化、オープン化が進み、その洪水の如き情報の中から、ユーザーの立場で最新の情報を捉え、企画力と施工力で応えられるシステムインテグレータの存在と重要性は、ますます時代の要請に沿ったものとなるであろうと確信できたことが見学しての総括です。
 終わりになりましたが、今回の展示会見学に際し、親切にお世話いただきました、エム・システム技研関係者各位 に心よりお礼申しあげます。


INTERKAMA'99視察研修ツアーに参加して
株式会社高木商会
 藤野 浩一

 


 上司からの「世界の動きを見てこい!!」の一言で始まった今回の大命。商社の企画部に所属する私にとっては、個々の製品の技術的知識探求ではなく、高木商会でも注力しているオープンネットワークの現状、産業現場におけるPCの位 置づけ、ソフトPLCの今後の動向について注目していました。
 まず驚いたのは、出展社の多さでした。高木商会でも現在約1,500社の仕入先様と取引きをさせていただいておりますが、計装という分野の中に、これほど多くのメーカーが存在しているとは、やはり日本の展示会とは違い、その選択肢の多さ、視野の広さの違いを思い知らされました。
 また、オープンネットワークについては、日本市場とは若干環境が異なりますが、業界全体での普及度の高さや、欧米それぞれの統合化への流れを感じることができました。このような貴重な経験をさせていただきましたエム・システム技研の皆様、並びに一番年下で無知な私を、いろいろご指導くださいましたご同行の皆様に感謝申しあげます。


INTERKAMA'99視察研修ツアーに参加して
株式会社エム・システム技研

 

 

 エム・システム技研は、INTERKAMAへ毎回、出品展示のみならず視察研修ツアーを企画しています。今回もどこまでお客様にご満足いただける内容となったかわかりませんが、ご参加いただいた皆さまから、自分の肌で感じられて印象深かったというお話などをお聞きしますと、企画して良かったと思う次第です。とくに今回の展示会は、日本の社会情勢もあってか、そのようなご意見が多かったように感じます。
 INTERKAMAは、3年に1回の開催でしたが、今後は2年に1回の開催となります。また、来年8月にはISA EXPOがニューオリンズで開催されます。ISA視察研修ツアーへも今回同様、多数の方々のご参加をお待ちしています(本誌裏表紙にご案内しています)。
 最後に、今回ご参加いただいた皆様へ、この場を借りて御礼申しあげます。  ■

 

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