2000年6月号 | ||||||||||||
警報設定器と変換器を一体化
| ||||||||||||
㈱エム・システム技研 開発部 | ||||||||||||
エム・システム技研においても、サムロータリスイッチ形は100種類に近い警報設定器の中で最もご好評いただいている警報設定器です。そして今回、この警報設定器と変換器の機能を融合した警報設定器をAE・UNITシリーズとして開発しました。ここにその機能と特徴をご紹介します。
(1)簡単で分かりやすい設定方式 始めにも触れましたが、警報設定方式の中でも定評のあるサムロータリスイッチ方式を採用しました。実際の回路設計面から考えると、大きい容積を占有するサムロータリスイッチの採用は不利です。加えて変換器機能も押し込むわけですから、構造的にも熱的にも技術的ハードルは必然的に高くなりました。それでもなお、この設定方式にこだわったのは、開発者魂(笑)とお考えください(図1参照)。 (2)警報設定器としての機能 警報設定器として遜色のない機能を次のように盛り込みました。 ●前面パネルに集中表示 前面パネルを見れば、一目ですべての設定/動作状態を確認することができます(図2参照)。 ①第1警報・第2警報それぞれに対し、独立した警報値設定用のサムロータリスイッチ(0~99%)を用意しました。 ②第1警報・第2警報それぞれの警報設定値に、独立したヒステリシス幅を設定できるサムロータリスイッチ(0.5~9%)を用意しました注)。 ③警報リレーの動作状態を表示するランプ(リレー励磁時点灯)を用意しました。 ●その他の機能 ご注文時に、次の機能をご選択いただけます。 ①上限警報・下限警報の選択 従来の警報設定器と同じように、警報の動作を上限警報にするか下限警報にするかを注文時にご選択いただけるようにしました。 ②リレーの励磁状態 従来の警報設定器と同じように、警報動作時のリレーの状態を励磁とするか非励磁とするかを注文時にご選択いただけるようにしました。 ③動作遅延タイマ 警報と判定した時点から警報動作(リレー動作)までの時間を決める動作遅延タイマを用意しました。タイマの遅延時間は注文時にご選択いただけます。 ④電源投入時の遅延タイマ 電源を投入してから警報動作(リレー動作)までの時間を決める動作遅延タイマを用意しました。タイマの遅延時間は注文時にご選択いただけます。 ⑤出力接点 第1警報・第2警報それぞれの警報接点用として、トランスファ形(c接点)を用意しました。 (3)変換器としての機能 ①アイソレーション 変換器の基本機能は絶縁です。AE・UNITシリーズでは、入力信号・直流出力信号・第1警報接点・第2警報接点・電源の各間を絶縁しています(図3参照)。 ②豊富な入力信号 AE・UNITシリーズとしては、直流信号、熱電対、測温抵抗体、ポテンショメータ、ディストリビュータ、交流信号、タコゼネ、CT、PTに対応する下記の12機種を用意しましたから、大多数の信号に対応できます(表1参照)。 ③豊富な直流出力信号 電流出力についてはDC0~1mA(許容負荷抵抗:7kΩ以下)からDC0~20mA(許容負荷抵抗:350Ω以下)まで、また電圧出力についてはDC0~10mV(許容負荷抵抗:10kΩ以上)からDC-10~+10V(許容負荷抵抗:10kΩ以上)までを用意しました。 (4)豊富な供給電源仕様 供給電源電圧については、一般の変換器と同じようにAC100VからAC240Vまでの交流電源とDC12VからDC110Vまでの直流電源に対応しています。すなわち、現在考えられるほとんどすべての電源仕様に対応しています。
(1)測温抵抗体を使って温度計測と温度警報を行うには、変換器と警報設定器を個別に用意する必要がありました。しかし、測温抵抗体リミッタラーム(形式:AER)を1台用意すれば、両方同時に実現できます。変換器と警報設定器間の配線が不要であるため、システムはシンプルになります。 (2)2線式変換器の出力信号の計測と警報を行うには、従来ディストリビュータと警報設定器を用意する必要がありましたが、ディストリビュータリミッタラーム(形式:AEDY)を1台用意すれば対応できます。併せて、2線式変換器のフィールド側とAEDYの直流出力信号がアイソレーションされますから、ディストリビュータ、警報設定器、アイソレータという3台の機器を1台にまとめることができます。 (3)回転体の速度を近接センサで検出し、その回転速度をモニタすると同時に、速度超過を判断してトリップ信号を発生させたいときには、迷わずパルスリミッタラーム(形式:AESP)をご選択ください。
*エム・システム技研では警報設定器を「リミッタラーム」(登録商標)と名付けておりますので、具体的な製品名としてはこの名称を使用します。 注)ヒステリシス設定用のサムロータリスイッチは“0~9”の数字を選択すると、その選択した値が警報動作のヒステリシス幅(単位は%)となります。ただし、“0”を選択したときは0.5%となります。 |
| |||||||||||
|