2000年5月号

新形PCレコーダのハードに対応する
PCレコーダ用ソフト(形式:MSRS32)の新機能

㈱エム・システム技研 PCレコーダ開発チーム
 
は じ め に
 チャートレス記録計/データロガーとして、PCレコーダソフト(形式:MSRS32)が持つ豊富な機能は市場で高い評価を受けています。新形PCレコーダ(形式:R1Mシリーズ、以下R1Mと呼ぶ)には、各種熱電対、測温抵抗体および種々のセンサ信号を直接入力できます。このR1Mの登場によって、PCレコーダソフトはますます使いやすくなりました。今回は、これらの導入時のスタートアップ方法や、R1Mに対応するとともにバージョンアップされたソフト機能(自動収録、アラーム監視)についてご紹介します。

1.簡単なスタートアップ
 R1Mの企画段階では、パソコン(以下PCと呼ぶ)との接続方法をいろいろ検討しました。ハードウェアの構成は、最終的にRS-232-CとRS-485を標準装備することにしましたが、検討段階ではUSB、PCカード、Ethernetといった方法も候補にあがりました。後者は通信速度面で有利ですが、価格を押し上げる要因になることや、PCとの相性の面で、まだ十分な信頼性をご提供できない場合も起こり得ると判断し、不採用としました。
 では、具体的なスタートアップ手順をご説明します。
 ①まず、R1MとPCを付属のシリアルケーブルで接続します。すなわち、R1MのRS-232-CポートとPCの標準シリアルポートとを接続します。したがって、特別なハードウェアを必要としません。
 ②PCレコーダソフトをインストールします(インストーラを起動するだけです)。PCレコーダソフトは、IBM PC/AT互換機を対象とし、Windows95/98、WindowsNT4.0などのOS上で動きます。
 ③システム設定を行います。PCレコーダソフトを起動し、システム設定画面を呼び出します。シリアルポート番号およびR1Mのノードアドレス、タイプを選択します。これで接続手続きは完了です。
 ④ペンの設定を行います。図1にペンの設定画面を示します。
 まず、R1Mの測定レンジすなわち熱電対の場合にはその種類、DC直入力の場合には測定電圧レンジ、測温抵抗体の場合には測温抵抗体の種類を選択します。次に記録画面の0%および100%に相当する測定値を設定します。これで基本的な設定はすべて完了です。
 ⑤記録開始
 次に「スタート」ボタンを押すと、R1Mがデータの収集を始め、「チャート」ボタンで収集したデータのスクロール表示を始め、「データ」ボタンでフォルダにデータの格納を開始します。
 そのほか、ペンの名称や色、実用単位で表示するためのスケーリング、上下限アラーム監視のためのアラーム設定値など、各種の設定が行えます。

2.自動収録機能
 自動収録機能を用いると、トリガー信号によって収録の開始と終了を制御することができます。異常診断や過渡応答などのデータ解析には欠かせない機能です。トリガー信号としては、ハードトリガーとソフトトリガーの2種類をサポートしています。ハードトリガーでは、接点入力のON/OFFで収録開始・終了を制御します。R1M-GH2/J3には、アナログ入力のほかにトリガー端子があり、これを用います。ソフトトリガーの場合は、上下限アラームのON/OFFで収録開始・終了を制御します。この機能によってアラーム発生時のデータを収録することができます。また、トリガー開始/終了のタイミングを指定することができます。トリガー発生時点より前の時点からトリガー終了時点より一定時間後までのデータを収録できるため、異常要因などのデータ解析に威力を発揮します。収録データはトリガーON/OFF毎に、別ファイルに保存されるため、繰り返しデータが収録できます。また、収録データファイルはCSV形式のファイルになっているため、Excelなど他のPC上のツールを使って、目的に合ったデータ解析が可能です。自動収録設定画面を図2に示します。

3.アラーム監視
 上下限アラーム値を設定することにより、アラーム監視を行うことができます。アラームが発生すると、ペンにアラーム状態が表示されます。
 また、R1Mには警報出力ユニット(形式:R1M-D1)が新たに用意されています。PCレコーダソフトを使用すれば、任意のアラームをこの警報出力ユニットの警報接点に割り付けることができます。この機能を使えば、警報出力を外部接点として取り出せるため、外部の装置(たとえばPLC)へ自動的に警報を伝えることが可能です。アラーム設定画面の例を図3に示します。

お わ り に
 エム・システム技研では、SMTライン(チップ部品の表面実装工程(図4))のリフロー槽温度分析用に本PCレコーダを用いています。
 この分析の目的は、プリント基板や実装部品の温度分布、ピーク温度、変化率、風量、搬送速度等と、ハンダ付け特性の相関関係を調べることにあります。また最近では、チップ部品の小型化が進み、ハンダ付け特性(ブリッジ、ボール、濡れなど)以外にも、部品の挙動(立ち上がり、ズレなど)が問題になっています。これらの諸問題の解決に新形PCレコーダが役立つことを自ら実証するとともに、R1M自身のプリント基板実装の品質向上も果たしています。採取した温度分布データの例を図5に示します。
 新形PCレコーダを用いれば、このような分析システムを簡単に低コストで構築することができます。また、PCレコーダソフト(形式:MSRS32)は、今後登場するであろう新形の入出力機器に対応するとともに、その操作性/機能の向上をも目指しています。■
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