2000年8月号 | ||||||||||||
お客様訪問記
高機能、低価格を実現した減温塔散水システム | ||||||||||||
(株)エム・システム技研 東京営業部 システム技術グループ | ||||||||||||
流体制御のシステムインテグレータとして社業を拡大中の(株)一ノ瀬殿が、焼却炉などから出る排ガスを冷却するための「減温塔散水システム」を開発されました。このシステムでは、同社が開発した制御弁エスペロールシリーズの“YPコントロールバルブ”と、エム・システム技研製の電動アクチュエータ“ミニトップ”を組み合わせることによって、高機能、低価格を実現しています。 今月は、(株)一ノ瀬 東京支店 CV課の吉野健治様に、「減温塔散水システム」のお話を伺いました。 [エム・システム技研、以下エムと略称](株)一ノ瀬というと、流体制御分野の専門商社というイメージがありましたが。 [吉野]一ノ瀬は1944年の創業で、社歴としてはすでに半世紀以上になります。確かに、現在、売上げの70%近くが専門商社としての活動結果です。しかし、創業当初から青銅製の弁などを製造・販売していました。その後、石油化学や合成化学プラントにおける極限に近い温度差や圧力差の状況においても完全閉止ができる遮断弁“エスペロ”を開発し、さらにその技術を生かして一ノ瀬オリジナルの電動制御弁“エスペロール”を製品化しました。 7年ほど前からはバルブメーカーとして、また専門商社としての豊富な経験をふまえて、システムの受注活動を始めました。この部門の売上げ比率は、徐々に大きくなっています。 [エム]今回ご紹介する「減温塔散水システム」とはどのようなものですか。 [吉野]最近、ごみ焼却炉から排出されるダイオキシンなど、様々な有害物質が大きな社会問題になっています。そこで、排ガス中の有害物質を取り除くため、バグフィルタが使われます。燃焼室から排出された排ガスをバグフィルタに通すには、ガスの温度を200℃程度まで下げなければなりません。そのため、排ガスを冷却する装置が「減温塔」です(図1)。 一ノ瀬がこの「減温塔」用に開発したのが「減温塔散水システム」(図2)で、このシステムには水と空気の2つの流体を混合して散水する2流体ノズルが使われています。このノズルに供給する冷却水と空気の量をシビアに調節することによって、非常に精度の高い冷却が実現できます(図4)。 ゴミ焼却炉において排ガスの発生量と温度は、燃焼炉で焼却するゴミの量や燃焼状態によって大きく変動します。このような大きい変動に対応して効率良く排ガスの温度を下げるためには、少量から多量に至る幅広い散水量の調整が必要になります。そのためには、幅広い流量レンジにわたる素早い精密な流量制御が要求されます。これを実現している主要部品が、“YPコントロールバルブ”とエム・システム技研の電動アクチュエータ“ミニトップ”です(図3)。 [エム]“YPコントロールバルブ”とはどのようなバルブですか。 [吉野]コントロールバルブ(制御用バルブ)の心臓部である弁体に、一ノ瀬独特の技術が生み出した特殊ボール“YPボール”を採用し、従来品よりさらに広いレンジにわたって精密なコントロールができるようになったバルブです。YPというのは、「Y形のポート」という意味です。この“YPコントロールバルブ”については、日本、アメリカ合衆国、台湾で特許を取得しています。この高精度で低価格の“YPコントロールバルブ”を使用することで、減温塔散水システムの難しい制御に対応し、さらにシステムの低価格化を実現しています。 [エム]“ミニトップ”はどのような役割をしていますか。 [吉野]コントロールバルブの機能を十分に発揮させるためには、優れたバルブアクチュエータが必要です。エム・システム技研の電動アクチュエータ“ミニトップ”によって“YPコントロールバルブ”の性能を十分に引き出すことができました。さらに、小型で、価格が安く、システム全体の低価格化にも役立っています。 一ノ瀬は「減温塔散水システム」だけでなく、ゴミ処理施設から排出される汚水の「排水pH制御システム」など、流体を対象にした様々な制御システムを、これからもお客様にご提案して行きます。 [エム]お忙しいところ、お時間をいただき、ありがとうございました。 ■ 本システムについての照会先: 株式会社 一ノ瀬 本社 CV課 柴田 孝尚 〒550-0012 大阪市西区立売堀4-7-6 TEL.06-6539-3115 FAX.06-6539-3165 株式会社 一ノ瀬 東京支店 CV課 吉野 健治 〒104-0042 東京都中央区入船1-1-26 永井ビル4階 TEL.03-5566-1071 FAX.03-5540-8174 *ミニトップは、エム・システム技研の登録商標です。
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