2000年9月号

計装豆知識

pH計(2)

 
3.ガラス電極法(前回につづく)
 3.2  pH指示変換器
 pH電極は、ガラス膜を使用しているため、内部抵抗の高い電極になっています。この信号を受けて増幅するpH指示変換器には、10**12オーム以上の入力抵抗が必要とされます。
 このため、pH計の設置、保守などに際して、他の計測機器とは異なる配慮が必要です。すなわち、電極の接続ケーブル、中継する端子ボックスについては、絶縁抵抗の大きい専用のものを使用する必要があります。一般の計装用のケーブルや端子台を使用したため生じたトラブルが数多く報告されており、注意が必要です。また、pH指示変換器には、pH標準液によって目盛り付けするためのゼロ、スパン調整機能が備わっており、これを使って校正を行います。
 電源としてDC24Vを与え、同じ線によってDC4~20mAの計測信号を伝送する2線式構成と、AC100Vを与え、電源用とは別の線によってDC4~20mAの信号を伝送する4線式構成があります。このほか機種によっては、pH制御に使用するための上下限調節接点出力を備えている製品もあります。図1に、製品例として電気化学計器(株)製の代表的な変換器を示します。

4.pH計の保守
 (1)標準液校正
 pH電極の起電力特性は本誌2000年8月号「計装豆知識 図2」に示しましたが、実際の電極は個々にゼロ点、感度ともにばらつきがあるため、測定に先立って標準液による校正が必要になります。また、定置型のpH計では、pH電極が長期間試料水に浸されるため、電極に特性劣化が生じます。これを補正するためにも、定期的な標準液校正が必要になります。校正に使用する標準液としては、一般にpH標準液の規格(JIS K 0018~0023)で定められた6種類のうちから、2種類の標準液を選択してゼロ調整とスパン調整を行います。普通は、中性リン酸塩pH標準液(6.86pH at25℃)でゼロ調整を行い(図2①)、測定値に近い他の標準液を用いてスパン調整を行います(図2②)。
 (2)電極の洗浄
 連続測定に用いられるpH電極は、長期間、試料水に浸されるため、汚れによる、応答遅れ、測定誤差、を生じ、場合によっては、測定不能状態に至ることもあります。これを防ぐため、pH電極を定期的に洗浄する必要があります。
 電極に付着する汚れは、測定対象の水質により様々であり、水洗いで洗浄できるものもあれば、ブラシでこすり落とす必要があるもの、あるいは希塩酸などに浸さなければならないものまであります。最近では、これらの洗浄を自動化したpH計用の洗浄装置が数多く使用されるようになっています。
 図3に、電気化学計器(株)製の代表的なpH計自動洗浄器を紹介します。    ■
(11月号につづく)

〈参考文献〉
計量管理技術双書 「新版pH測定」
      山下 熙(ひろむ)著 コロナ社
工業用水(昭和51年7月)「pHの測定とpH計の管理」伊東 哲 著
【筧 正志:電気化学計器(株) 応用開発部】
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