2000年9号 | |||||||
Application Note ーこんな使い方がありますー | |||||||
共振点ジャンプ変換器 | |||||||
エム・システム技研は、2000種類を超える製品をご用意しています。 それらの製品の資料は、仕様書集「MSS」にまとめて皆様のお手元にお配りし、手軽に仕様をご確認いただけるようにしています。また、エム・システム技研のホームページでもご確認いただけます。しかし、お客様のご要求は千差万別で、「MSS」にない特殊な変換器が欲しいというお話がよくあります。エム・システム技研では、このようなご要求に極力対応し、積極的に新製品を開発してきました。これらの特殊な製品は特定のお客様にしか需要がない場合がほとんどで、仕様書集「MSS」にも記載されていない隠れた変換器であることが多いです。 今回は、このような特殊な製品の中から「共振点ジャンプ変換器(形式:MZS)」をご紹介します。 あるお客様から「インバータを装備した装置で、インバータでモータの回転数を変更する際、モータがある回転数に達すると、モータによって生ずる振動がその装置自体の共振点と重なり、装置自体が大きく振動し、危険な状態になる。しかし、共振点を通過してしまえば正常状態になるので、共振点を通過する際に、その点をジャンプするような製品を作ることはできないか?」とのご相談を受けました。いろいろと打合せさせていただいた後、ご希望に沿う変換器を開発し、お客様に試験していただいたところ、ご好評であり、正式なご注文をいただきました。 その動作と仕様の概要は、以下のとおりです。 この変換器の入力と出力の関係は図1に示すようになっています。出力のa点からb点までがその装置の共振範囲です。この変換器では、入力が上昇し出力がa点を超えると、出力が一気にb点まで変化します。すなわち、装置の共振点をジャンプするため、装置は安定な運転を続けます。このことから、お客様のご意見もあり、その名もずばり「共振点ジャンプ変換器」と命名しました。 この変換器の特徴は、ジャンプ点で3%のヒステリシスを持っていることです。ヒステリシスがない場合、入力がa点付近でふらついた場合に、モータの回転数が急激な変化を繰り返す恐れがあります。 これを防ぐために、回転数が一気に上がる点と下がる点の間に3%のヒステリシスを持たせました。3%の値については、お客様と打合せを行い、実際にテストして決めました。ジャンプ点とジャンプ高さの設定は図2に示すボリュームによって行います。 最近では、このような機能を搭載したインバータも製品化されているようです。ということは、このような問題に苦慮されているお客様が、ほかにもいらっしゃるのではないかと考え、ここにご紹介した次第です。 ■
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