2000年10月号

ユニバーサル形パルスアナログ変換器
(形式:M2XPA)

㈱エム・システム技研 開発部
 
は じ め に
 エム・システム技研では、周期的に変化する入力信号を扱う変換器を、従来からパルス入力変換器と称しています。その測定対象が周波数であったり、周期の繰り返しの数などであったりするものを、まとめてパルス入力変換器という分類に括っています。
 その中にパルスアナログ変換器という製品があります。この製品は、機能上は周波数/アナログ変換器ですから、通常なら周波数アナログ変換器というべきところを、パルスアナログ変換器と表現しています。ちょっと変だと思われる方もいらっしゃることでしょう。実は、私もそう思った一人なのです。パルス?それは何?脈拍、鼓動?時間あたりのパルスの数?それとも積算値?結局どうなのかよく分かりません。しかし、実際には周波数/アナログ変換器のことなのです。
 今回は、そのパルスアナログ変換器の新しい仲間をご紹介します。新しい変換器はパルスユニバーサル形変換器、形式はM2XPAです。何が「ユニバーサル」かと気になりますが、それは後ほどご説明しましょう。
 M2という形式から、「みにまるシリーズ」に属する変換器であることは察しがつきます。したがって、サイズは、いわゆるみにまるサイズで、コンパクトな変換器であることがわかります。もちろん、ワールド電源、CEマーキングなど、みにまるの血を引き継いでいます。
 形式を示す3番目の文字Xから、この製品はPCスペック、つまりパソコンによってコンフィグレーションが可能な変換器であることがわかります。すなわち、パソコンとの間を専用ケーブルで接続し、Windows上で動作するコンフィグレーションソフトウェアを使うことにより、変換器のスペックやパラメータを変更したり、入力値や出力値や様々なパラメータをパソコン画面上でモニタすることができます。
 では、M2XPAの特長を入力から出力へと順を追ってご紹介します。

1.入力仕様 、どこがユニバーサル?
 ユニバーサルとは何を指すのでしょうか。日本語で言えば万能という意味です。エム・システム技研では、パルス変換器にユニバーサルという名称を使うのは今回が初めてです。というか、まだ正式発表の段階ではありませんから、この原稿の題名ではユニバーサル形変換器ですが、正式名称としてユニバーサルの名がつくかどうかは、まだ何とも言えません。
 ユニバーサル形変換器とは、出荷後にユーザーの手によっていろいろな機種に変化させられる変換器ということですが、今回はこれに加えて、ケースを開くことなくまたスイッチを操作することなく、コンフィグレーションソフトウェアだけで変更が可能な変換器ということになります。
 では、入力から見て行きましょう。まず、従来のパルス変換器では、入力仕様の変更は、ご注文時の指定のまま固定のため不可能であるか、あるいは可能な機種でも、ジャンパ線による切替えやDIPスイッチの設定が必要でした。DIPスイッチの場合は、スイッチの数が多くサイズが小さいうえ、設定の意味が容易に理解し難いものもあるため、マニュアルがあったとしても、設定変更にはかなり専門的な知識が必要でした。
 M2XPAでは、電気的な入力仕様の切替え、つまりオープンコレクタ用、電圧パルス用、電流パルス用の切替えをまず考えました。次に、チャタリング除去やノイズ除去フィルタの入り切り、さらには入力のスレショルド値も制御できるようにしました。
 もちろん、入力パルスのモニタランプは、従来からある変換器にならって装備しています。余談ですが、私はこのモニタランプが気に入っています。こんな便利なものはありません。モニタランプのないパルス変換器なんか使う気になりません(すみません。私は作る方でした)。といっても、いつも必要なわけではありません。しかし、それでもいざというときに、入力パルス信号をツールなしに検知できるのは有効です。1kHzの点滅は人間の目には分かりませんが、その信号が入っているかどうかの区別はつきます。変換器を開発している過程でも、この機能は大いに役立ちました。

2.リニアライザ機能、ユニバーサルのもう1つの意味
 次は出力と行きたいところですが、入力と出力の中間のお話です。これはなにも目新しいものではなく、入力と出力の結び付け方を指定できるということで、エム・システム技研ではリニアライザと呼んでいる機能です。入出力の関係はテーブルによって指定します。テキストファイルで作成した所定のフォーマットのテーブルを、コンフィグレータから読み込みます。
 続いて出力について考えます。

3.出力も全部ユニバーサル
 出力のユニバーサルとは何でしょうか。仕様書上に謳われている範囲内であればどんな出力仕様にも対応し、変換器ユニットに手を触れることなく、ユーザーのお手元でお好みの出力タイプに仕立て上げることができます。もちろん、コンフィグレータソフトウェアと専用ケーブルなしでは、このようなことはできません。パソコンとこのコンフィグレータキットがあれば、ご希望の仕様を持つ変換器を数分で手に入れることができます。
 エム・システム技研製品の中でも、ここまで徹底したコンピュータお任せ製品はなく、ユニバーサル形パルスアナログ変換器M2XPAが初めての試みといえます。
 最後に改めてユニバーサル形変換器の有効性について考えてみます。

4.何でユニバーサル形?
 国内市場では、出力や入力がユニバーサルであることは現在さほど重要視されていません。ほとんどが固定レンジ、固定仕様で事足りるとも言えます。国内では、メーカーの短納期体制に加え、一度スペックインしてしまえば、後に変更する例はそれほど多くないためのようです。一方、海外の場合は、比較的納期のかかるケースが多いため、間に合わせるには、どんな仕様にも即座に対応できるユニバーサル形が重宝されています。では国内についてもう一度考えてみましょう。よく言われるのは、故障時の代替品として用意しておく予備製品の在庫を少なくする効果です。しかしこれだけだと、ユニバーサル形は従来通りの消極的な使われ方に終わってしまいそうです。
 ここで、少し考えてみてください。設計中のシステムにおいて、仕様がすべて明らかになっている場合ばかりではないでしょう。仕様が決まらなくてもユニバーサル形変換器なら発注できます。ぜひ、ユニバーサル形変換器を工期の短縮にお役立てください。

お わ り に
 今回は、パルスアナログ系のユニバーサル形変換器についてご紹介しました。パルス変換器にはこのほかにもパルスパルス系、アナログパルス系があり、それぞれのユニバーサル形変換器も現在登場の順番を待っています。    ■

みにまるはエム・システム技研の登録商標です。
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