2000年11月号 | ||||||||||
計装豆知識pH計(3) | ||||||||||
pH電極の比較電極部には、内部液(KCl溶液)が入っていて少量ずつ流出するため、定期的に内部液を補充する必要があります。電極部分の内部液収納容積は非常に小さいため、図1に示すように電極を保持するホルダーに内部液収納機能を兼ねさせ、液補充周期を長くした製品が主流になっています。 (4) 電極ラインの絶縁抵抗の維持 本誌2000年9月号「計装豆知識 3.2 pH指示変換器」の項で説明したように、電極から変換器までのラインについては、高絶縁を維持しておくことが重要です。とくに湿度が高い所で使用するときは、コネクタボックスまたは変換器の密閉を確保し、端子台を清浄な状態に保つことが必要です。
化学的な反応時間で遅れを生じることは、ある程度やむを得ないことであり、待ち時間を設定するなど、制御設計上で考慮しておかなければなりません。しかし、実際の遅れは、電極汚れで検出器の応答が悪くなっている場合の方が多いという現実もあるようです。電極の汚れで応答が遅れる場合には、汚れが進むにつれ遅れ時間も長くなり、ますます制御しにくくなります。このような場合は、適切な自動洗浄装置を導入し、pH電極を常にきれいな状態に保っておくことが有効です。
電気回路的には、チョッパを用いた交流式真空管増幅器からトランジスタ増幅器へ、次いでオペアンプへ、さらにデジタル表示化からマイコン搭載へと変革が進みました。一方センサであるpH電極については、ガラス膜の組成、電極の形状などは進歩したものの、基本的には50年前と何ら変わるところはなく、十分使用経験を積んだ安定した技術といえます。近年、半導体センサなど新しい試みもみられますが、まだまだガラス電極法が使用され続ける状況であると考えられます。pH計は、プロセス制御用センサとしては他のものに比べやや使いにくい感じがありますが、ポイントを押さえておけば、様々なフィールドで便利に使用できる有効な測定器です。 ■ 〈参考文献〉 ・計量管理技術双書 「新版pH測定」 山下 煕(ひろむ) 著 コロナ社 ・工業用水(昭和51年7月) 「pHの測定とpH計の管理」 伊東 哲 著
|
| |||||||||
|