2001年2月号

分散形フィールド省配線
ユニワイヤシステム

黒田精工(株) ユニワイヤグループ  中 條 太 造
(株)エム・システム技研 開発部
 
は じ め に
 エム・システム技研では、その高信頼性と多くの実績によって評価が定まっている省配線システム“ユニワイヤシステム”に直結できる信号変換器(81・UNITシリーズ)をこのほど開発しました。ここに、ユニワイヤシステムと81・UNITシリーズ信号変換器の機能と特長についてご紹介します。

1.様々な省配線システム
 ここ数年、省配線の要望はとみに著しくなってきました。最近「フィールドバス」という言葉をよく耳にしますが、「フィールドバス」についての明確な定義は今のところ見当たりませんが、国際規格、ヨーロッパ規格では、これを現場の操作器、伝送器と現場レベルの工業用コントローラをシリアル、デジタル通信で結合するバスと説明されています。それぞれのバスには、それぞれの開発思想があり、様々な省配線システムが存在するわけです。
 FA産業用フィールドバスとしては、PROFIBUS-DP、DeviceNet、CC-Link、INTERBUSなどが著名ですが、装置設計者の考え方によっては、ここに列挙したフィールドバスでは満足な結果が得られない場合があります。その場合、設計者は満足な結果を得るよう特化したフィールドバスを検討します。たとえばビルオートメーション用としてのLonWorks、サーボモータ用としてのSERCOS、PA用としてのPROFIBUS-PA、Foundation Fieldbus、Modbus、HARTなどがその例です。これらは特化したフィールドバスといえます。また、フィールドバスの下位層として、1点のセンサ、スイッチ、1点のランプ、電磁弁などをシリアル通信で結合する、センサバスとして分類されている省配線システムも存在します。この分類の中に、黒田精工(株)とNKE(株)が共同で開発したユニワイヤシステムが含まれます。

2.ユニワイヤシステムとは
 ユニワイヤシステム開発のきっかけは、単純に配線本数の削減(省配線)が目的であり、コントローラからの出力、センサ、接点からの入力を使い、何も特別なプログラムなどを必要とせずにシステムを構成できるというコンセプトから生まれた商品です。このような単なる省配線から出発して、オープンシステムの目標の一つである「入出力のデータがコントローラを限定せず接続でき、端末機器の設計を1度してしまえば、後はインタフェースを変更選択するだけ」という条件に対応するインタフェースとして、ユニワイヤシステムは開発されました。①ユニコネクタ26種類、②PLC対応インタフェース7種類、③コンピュータ用インタフェース5種類(ISA、PCI、C、VME、PC/104)④ゲートウェイ2種類(DeviceNet、CC-Link)。以上のインタフェースを用意しておけば、ユニワイヤシステムを選定することにより、I/O制御に関しては多くのコントローラに対し機種を選ばず接続が可能となり、結果的にユニワイヤだけで接続に関しオープンな環境を作り出すことができます。
 FA産業における制御はますます複雑化、高速化するとともに、高い自由度が要求されています。さらにセンサ、アクチュエータには、集積度を上げるため小形化が求められています。このような時代の要求に応えるため、センサターミナルとして入力点数1、2、4、8、16、32点、パワーターミナルとして出力点数1、2、4、8、16、32点の機種がシリーズ化され、出力電流では200mA~5Aまでのバリエーションを揃えました。また入出力混合の設定では、1(点)×1(点)、2×2、4×4、8×8の種類があります。温度、圧力、流量の変化に関するデータ収集も、省配線による制御の対象として増加しつつあります。このため、アナログコンバータについても、A/Dコンバータ、D/Aコンバータとしてともに最大8ch 12bit変換のユニットを揃えています。また、装置内の配線、フィールドでの配線を簡単にするため、耐ノイズ性能を高め、通常の4芯キャブタイヤケーブル(伝送2線、電源2線)ですべて配線できるよう配慮しています。この点が現在ではプラントにも採用される一つの要因になっています。ユニワイヤシステムのbit構成は図1に示すとおりであり、1bit 1点の割付を実現しています。伝送速度は29.4kbpsと決して速くはありませんが、伝送効率を高め、入出力遅れ時間として最大10.8msを実現しています。また耐ノイズ性能については、伝送信号波形を24V~12~0Vの方形波とし(図2参照)、1bitの時間幅を長く取ることによって、フィールドの誘導ノイズを受けても誤動作しないシステムを実現しました。
 図2は、ユニワイヤシステムがノイズに強い理由を図で示し、説明したものです。
 以上述べた様々な理由によって、ユニワイヤシステムは12年の使用実績をもち、とくにセンサバスの分野では50%のシェアを維持しており、分散形フィールド省配線システムとして高く評価されていると考えられます。

3.81・UNITシリーズの特長
 81・UNITシリーズ(図3参照)は、「各種センサをユニワイヤシステムに直結するための信号変換器」です。エム・システム技研では、「現場にあるアナログ信号を、ユニワイヤシステムの伝送ケーブルに簡単に接続できること」を目標に、その仕様を決定しました。以下に、その特長を説明します。
 (1)豊富な入力信号
 81・UNITシリーズには、直流信号、熱電対、測温抵抗体、ポテンショメータ、ディストリビュータ、交流信号、タコゼネレータ、CT、PTなど各種の信号に対応する11機種を用意し、広範囲の入力信号に対応できます。
 製品形式と入力信号の関係については表1をご参照ください。
 (2)ユニワイヤシステムの選択
 仕様変更については、現場でも柔軟に対応できます。81・UNITシリーズでは、ユニワイヤシステムを設計する手順から「ユニワイヤシステムの仕様選択」のプロセスを削除し、省力化を果たしました。すなわち、ユニワイヤシステムでは、その機器を選定するときに、入出力点数や伝送距離を決定してから仕様選択を行う必要があります。しかし、81・UNITシリーズを使うことにより、ユニワイヤシステム特有の仕様を前面パネルに設けたスイッチで変更できるようにしました(表2参照)。
 また、既設のユニワイヤシステムにも簡単に接続できるように、電源の供給方式としてローカル電源方式を採用しました。すなわち、81・UNITシリーズは伝送ケーブルの電源を使用しませんから、電源容量の再計算やそれに伴う伝送ケーブルの種類、太さ、長さ、また電源線としての許容電流を再検討する必要はなくなりました。

お わ り に
 81・UNITシリーズについては、通常のアナログ式の信号変換器と同じ感覚で機種選定ができるように意識しました。
 省配線システムとして優れているユニワイヤシステムのさらなる普及に、この81・UNITシリーズが大きく貢献できることを願っています。             ■

ユニワイヤシステムについての照会先:
 黒田精工 株式会社 FA事業部 ユニワイヤグループ
 TEL:044-555-3803 FAX:044-556-0129

 NKE 株式会社
 ユニワイヤサポートダイヤル
 フリーダイヤル: 0120-77-2018
戻 る 進 む

*. 本ウェブサイト上に掲載されている情報は、掲載した時点での情報です。記載内容はお断りなしに変更することがありますのでご了承ください。

*. 本ウェブサイト上の表示価格には消費税は含まれておりません。ご注文の際には消費税を別途頂戴いたします。

MG 株式会社エムジー

Copyright © 1992 MG Co., Ltd. All rights reserved.