2001年3月号

DeviceNet対応通信機能搭載
小形電子アクチュエータ「ミニトップ」

(株)エム・システム技研
 
は じ め に
 PA(プロセスオートメーション)の分野においては、フィールドバス協会によって、いわゆる協会フィールドバス(Foundation Fieldbus)が提唱されてから長い年月が経ち、最近ようやく普及の兆しが見え始めています。一方、FA(ファクトリーオートメーション)やBA(ビルオートメーション)の分野では、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)のメーカーが自社製品のユーザーを囲い込むような形で、独自の通信規格によるフィールドネットワークを発展させてきました。メーカー主導のため開発のテンポが早く、たとえばPLCメーカーの通信規格に基づいた電磁弁が、すでに10数年前から電磁弁メーカーによって販売されてきました。なかには、その販売シェアの大きさからいって、デファクトスタンダード化し、オープンネットワークとしてマルチベンダ環境を提供するようになったものさえあります。これらPLCメーカーによるフィールドネットワークの発展と、近年のマイクロエレクトロニクス技術の発展は、PAとFA(あるいはBA)の境界をますます曖昧にさせ、従来PAの分野に属すると思われていた商品が、PLCにつながるようになってきました。

1.ネットワーク対応製品の増加
 このような情勢の中、エム・システム技研においては、PLCメーカーの通信規格に即した変換器として、25シリーズや28シリーズを従来から販売してきました。また、PLCメーカー主導の規格がオープンネットワークとして発展するのに歩調を合わせて、CC-Link、DeviceNetあるいはModbus対応の通信ユニットとしても発展させてきました。
 最近では、Modbusをはじめとする各種ネットワークに対応するPCレコーダ(パソコン利用の工業用記録計、製品形式:R1□シリーズ)やユニワイヤシステムに対応する信号変換器(製品形式:81ユニットシリーズ)も開発し、販売を開始しました。
 操作端の一つであるバルブアクチュエータに関しても、通信機能を搭載したものが現われ始めました。
 エム・システム技研においては、一昨年のINTERMACにおけるModbus対応通信機能搭載サーボトップⅡの展示が、通信機能搭載電動バルブアクチュエータ発表の始めでした。この製品は、参考出品とはいえ、通信機能搭載インテリジェント形電動アクチュエータの可能性を広く世の中にアピールするものでした。この展示をきっかけにして、お客様から通信機能搭載の電動バルブアクチュエータに関するお問合せをいただくようになり、以下にご紹介するDeviceNet対応通信機能搭載小形電子アクチュエータ、ミニトップ(図1参照)の開発につながりました。

2.DeviceNet対応ミニトップ
 今回ご紹介するDeviceNet対応通信機能搭載ミニトップは、小口径コントロールバルブ用アクチュエータとしてご好評をいただいているミニトップシリーズ(製品形式:MSP4、MSP5、MSP6、MRP4、MRP5およびMRP6)と同一の機構部に、通信機能を搭載したものです。従来製品と同様、リニアモーション形(製品形式:MSP4D、MSP5DおよびMSP6D)とロータリモーション形(製品形式:MRP4D、MRP5DおよびMRP6D)があります。その主な仕様を表1に示します。また、この製品を含む一般的なシステムの構成においては、図2に示すように、他のDevciceNet機器との間は1本のケーブルによってディジチェーン(daisy chain)でつながり、その先でPLCに直結されます。また、PLCの上位には、HMIとしてPCなどが接続されます。
 DeviceNetに限らず、フィールドネットワーク対応通信機能をバルブアクチュエータに搭載することにより期待されるメリットとしては、おおむね次のような事柄が考えられます。
 ①上記のように、1本のケーブルによるディジチェーン方式の配線が可能となり、配線コストが低減できます。DeviceNetにおいては、1本のケーブル(最大配線距離500m)によって、最大64ノードを接続できます。
 ②バルブアクチュエータだけでなく、リモートI/Oやフィールドネットワーク対応のセンサを組み合わせることにより、PLCからアナログ入出力デバイスを省略することが可能になり、システム全体のコストを低減できます。もちろんDeviceNetはマルチベンダ環境にありますから、エム・システム技研製リモートI/O(変換器)はもちろん、他社製のセンサや電磁弁などとも同一のケーブル上に配線可能です。
 ③多様な情報コンテンツの送受信が可能になります。つまり、開度設定値、開度アンサバック、異常発生時の警報など、通常の制御に必要な信号だけでなく、自己診断情報やRAS情報(Reliability Availability Serviceability(信頼性、可用性、保守性)= 機器の設置状況やメンテナンス履歴など、保守管理のための情報)を必要に応じてネットワーク経由で送受信できるようになります。一例を挙げると、不感帯幅の設定値や製品のシリアルナンバーをネットワーク経由で読み取ったり、バルブやアクチュエータのメンテナンス時期を判断する際の参考用として、通算の運転時間やステム移動距離の積算値など、付加価値の高い情報をユーザーに提供することが可能になります。

お わ り に
 コンピュータにおいて、ハードとソフトは車の両輪にたとえられ、どちらか一方が貧弱でもうまく物事が進まないのは、周知の事実です。フィールドネットワーク対応製品、とりわけバルブアクチュエータにおいても同様のことが言えます。つまり、ネットワーク技術を支えるマイクロエレクトロニクスと、それを使って「何をするか」あるいは「何を伝えるか」が重要な鍵になってきます。
 エム・システム技研のバルブアクチュエータは、DeviceNetだけでなく他のフィールドネットワークへの対応も予定しています。また、既存のネットワークだけでなく、今後現れる新しい通信技術も積極的に取り入れて行きたいと考えています。なお、マイクロプロセッサ搭載の結果、比較的簡単に機能の追加・変更が行えるようになりました。ユーザーから寄せられる声を反映して便利な機能を追加して行けば、インテリジェントアクチュエータとして充実した製品になると考えています。
 このように、ソフト面ではユーザーのご意見が大変重要になってきます。エム・システム技研のアクチュエータがより良い製品になるため、ユーザー各位から率直なご意見ご要望をお聞かせいただきたく、よろしくお願い申しあげます。  ■

ミニトップおよびサーボトップはエム・システム技研の登録商標です。
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