2001年3月号

電力諸量の計測機能を凝縮
電力用小形マルチトランスデューサ(形式:LSMT2)

(株)エム・システム技研 開発部
 
は じ め に
 今回ご紹介する変換器は、電力諸量の計測を1台の変換器で実現する新形の電力用小形マルチトランスデューサ(形式:LSMT2)です。従来からご愛用いただいている電力用小形マルチトランスデューサ(形式:LSMT)の進化形とも呼べる製品であり、多種類の機能を追加しながら小形化も同時に実現しました。
 新製品、電力用小形マルチトランスデューサLSMT2の外観を図1に、外形寸法を図2に示します。

1.LSMT2の特長
 従来の製品に比較して、次のような新しい機能(特長)を有しています。
 ●三相4線式への対応
 ●アナログ出力最大10点
 ●電力量パルス出力付
 ●零相電圧計測
 ●電力、無効電力計測時の入力レンジ切換機能
 ●無効電力、力率計測時の出力極性切換機能
 ●潮流入力対応
 ●出力リミッタの強化
 この中でとくにご注目いただきたい機能について次にご紹介します。

2.アナログ出力最大10点
 従来機種では、アナログ出力について最大で6点までしか対応できませんでした。しかし、今回の新製品では10点のアナログ信号を得ることができます。計測項目は電圧、電流、有効電力、無効電力、力率、周波数であり、使用目的に合わせて自由に選択できます。また、計測項目を現場でも変更できるように設計されています。すなわち、10点までのアナログ信号を変換器の前面にあるスイッチで自由に割り付けることができます。たとえば、計測項目最大6点の仕様で現場に設置して使用していたが、新たに2点の信号が必要になった場合、従来ですと新しいトランスデューサが2台必要でした。しかし、この新形電力マルチトランスデューサを採用していれば、現場でアナログ2点を追加設定するだけで対応可能です。また、保守品を確保していなければならない場合でも、計測項目の割り付けが自由ですから、仕様別に変換器を確保しておく必要はありません。

3.電力量パルス出力付
 近年、省エネ法の関係もあり、電力諸量の計測において電力量計測を必要とする場合が増えています。新形電力用マルチトランスデューサLSMT2では、標準で電力量パルス出力を搭載しています。ただし、電流信号が入力できない零相電圧計測の場合だけは、電力量パルス出力はありません。パルスの重みは、VT比とCT比を選択することで設定することが可能です。入力の種類にもよりますが、0.01、0.1、1、10、100、1000kWh/pの範囲で使用できます。

4.その他の機能(特長)
 有効電力または無効電力計測の場合には、トランスデューサ前面のスイッチで容易に入力レンジを変更できます。たとえば三相3線式で110V、5A入力の場合、標準入力レンジは1000Wですが、500、750、833Wのレンジに設定を変更できます。また潮流入力にも対応していますから、±にまたがる電力を入力する場合でも問題ありません。潮流入力では、無効電力や力率計測時に遅れ(LAG)と進み(LEAD)信号の逆転が起こってしまいます。そこで、潮流計測時用に送電側か受電側かの判定を行い、出力信号を設定できる機能を搭載しました(図3参照)。遅れと進みの極性反転機能も設けていますから、各種アナログ信号を収集、処理するデータロガーなど、併用する受信計器の仕様が不明確な場合でも、心配はありません。
 以上ご紹介してきたように、トランスデューサとしての各種の機能を前面パネル(図4参照)から容易に設定できる構造をとっています。
 すなわち、表示LED(2桁)、ロータリスイッチ、機能選択スイッチ、押しボタンスイッチを使って各種の設定を行います。基本的には、機能選択スイッチで計測モードから設定モードに変更し、ロータリスイッチによって希望項目を選択した後、押しボタンスイッチで調整・項目変更を行うという簡便な方法を採用しています。

お わ り に
 交流信号をデジタル処理することによって、機能を大幅に拡充させた新形の電力用小形マルチトランスデューサLSMT2について概要をご説明しました。しかし、ここにはご紹介しきれなかった機能もたくさんあります。ご興味を持たれたお客様は、製品の仕様書を用意していますので、どうぞエム・システム技研のホットラインまでご請求ください。■

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