2001年4月号

リモートI/O製品の現状と将来

(株)エム・システム技研 商品統括部
 
は じ め に
 近年、オープン・フィールドネットワークを使用する各種の計装システムが本格的に普及してきました。代表的なオープン・フィールドネットワークであるDeviceNet(オーガナイザ:ODVA)やCC-Link(オーガナイザ:CC-Link協会)を例にとっても、それぞれの組織への加入メーカー数がここ数年で著しく増加しています。
 エム・システム技研では、このような時代の到来を予測し、早くからオープン・フィールドネットワークに対応するリモートI/O装置の製品化を実現してきました。
 本稿では、エム・システム技研におけるリモートI/O製品の現状と将来の展開について概要をご紹介します。

1.リモートI/O製品の用途
 リモートI/O製品は非常に幅広い目的に応用できます。以下に、これらの製品の現状における主な用途、および将来普及することが予測できる用途について、いくつかの例を挙げます。
 ①DCSやPLCの入出力装置として(図1参照)
 リモートI/O装置の極めてベーシックな用途といえます。リモートI/O装置を現場に分散配置することによる省配線、コスト削減の効果が多くのユーザーに認知され、急速に普及してきました。最近では、リモートI/O装置との組み合わせを前提とした、コンパクトでコストパフォーマンスの高いDCSの新製品も数多く出現しています。今後さらなる発展が予測されます。
 ②テレメータや現場型ウェブサーバのI/O装置として(図2参照)
 本格的なRAS(Remote Access Service)時代を迎え、これから、急速に普及する分野であると考えられます。リモートI/O装置はこれらの機器に対する現場情報の出入り口として必須の装置です。PLCが適用される場合もありますが、リモートI/O装置は信号変換機能を内蔵しているうえに、機器を分散設置でき、取り込めるI/O信号点数を自由に設定・変更することが可能です。また、コスト的にも有利であるといえます。
 ③パソコン直結のI/O装置として(図3参照)
 パソコンとリモートI/O装置の組み合わせによって、コストパフォーマンスに優れたSCADA(データロガー)が容易に構築できます。市販のパソコン用SCADAソフトウェアとしても、オープン・フィールドネットワーク用のI/Oドライバを標準装備した製品が数多く出回っており、これに対応するリモートI/Oを簡単に接続することができます。
 また、パソコン上で動作する制御用ソフトウェア(ソフトPLCなど)を使用すれば、パソコンとリモートI/O装置を使って制御システムを実現することができます。将来、このようなシステムが本格的に普及するものと考えられます。
 ④ゲートウェイ装置として(図1参照)
 I/Oの種類として、RS-232-CやRS-422などの汎用シリアル通信をレパートリに加えることによって、オープン・フィールドネットワークと汎用通信の間のゲートウェイ装置として利用できます。
 すなわち、RS-232-Cなど汎用シリアル通信出力を備えた分析計や記録計、コントローラ、操作端などをオープン・フィールドネットワークに接続することが可能になります。

2.リモートI/O製品のラインアップ
 現在、エム・システム技研が取り揃えている、代表的なオープン・フィールドネットワークに対応するリモートI/O製品のラインアップを表1に示します。対応するオープン・フィールドネットワークの種類や入出力信号の種類、点数、またI/O装置の実装(取付け)形態などに応じて最適な製品を選択していただけます。

3.将来展開
 前述のように、リモートI/O装置はこれからも様々な分野での応用が期待できます。以下に、エム・システム技研が企画しているリモートI/O製品の将来展開の概要についてご紹介します。
 ①対応ネットワークの拡充
 表1に示したネットワーク以外にも、ユーザーのご要求に応じ、対応ネットワークの種類を拡充します。また、新たな産業分野への展開も視野に入れ、従来製品では対応する予定がなかった新たな種類のネットワークにも対応する考えです。
 ②機種バリエーションの展開
 現状の製品群に加え、よりコンパクトで、かつ機能上のフレキシビリティ(I/Oの種類や通信ネットワークの種類など、仕様に対する自由度)が高い製品を追加する予定です。また、通信ネットワークの2重化や電源の2重化など、高信頼化要求に対応する製品も追加する予定です。
 ③インテリジェント化
 リモートI/O装置に信号処理(入力フィルタリングや移動平均処理などの)機能や算術演算(四則演算や各種関数演算などの)機能、また論理演算機能などを内蔵してインテリジェント化することにより、リモートI/Oのマスタ側に位置する機器(PLCやDCS、パソコンなど)のソフトウェア負荷を軽減させることができます。また、インテリジェント化は機能の危険分散にもつながり、より信頼性の高いシステムの構築が可能になります。このようにインテリジェント化した製品も開発する予定です。
 ④ゲートウェイ製品
 先に例示したように、RS-232-CやRS-422などの汎用シリアル通信とオープン・フィールドネットワークの間のゲートウェイ製品の開発も予定しています。併せて、種類の異なるオープン・フィールドネットワーク間を接続するゲートウェイ製品の開発も計画しています。これは、同一工場内のエリアや設備毎に異なる、各種のネットワークの統合や、既設ネットワークへ新しく別の種類のネットワークを導入した場合のシステム統合に役立つ製品になると考えています。
 ⑤ロガーシステム
 エム・システム技研のリモートI/O製品と組み合わせて使用できる、パソコン上で動作するロガー専用のHMIソフトウェア(SCADAソフトウェア)も開発する予定です。リモートI/O製品と本ソフトウェア製品を一括して購入されれば、ユーザーは容易にロガーシステムを構築できます。少点数単機能の製品から、多点数高機能の製品まで、いくつかをラインアップする予定です。
 いずれも、エンドユーザーご自身、あるいはSI(システムインテグレータ)において簡単にシステムを構築していただけるように、イージーエンジアリング/イージーソフトウェアを特長とする製品を計画しています。

お わ り に
 本稿でご紹介したリモートI/O製品のうち、将来展開に関する項目については、これから順次具体的な新製品として実現して行く予定です。今後、製品仕様が明らかになった時点で、本誌上にて発表して参ります。どうぞ、ご期待ください。
 また、エム・システム技研の今後の商品企画や開発に関して、ご意見、ご希望がございましたら、ぜひとも忌憚なく私どもまでお寄せください。よろしくお願いします。
E-mail:murakami@m-system.co.jp ■

みにまるおよびピコマルはエム・システム技研の登録商標です。
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