2001年9月号

計装豆知識

計装配線用電線・ケーブルについて

 
 計装工事における配線(計装配線)は次の3種類に大別されます。①信号配線:アナログ信号、デジタル信号、温度計信号用など、②電源配線:AC/DCの電源用、③制御配線:警報やインターロック回路の信号用など。
 これらの計装配線は、電気設備技術基準の電圧の分類上ではすべて低圧回路に属し、具体的には低圧用電線・ケーブルまたは通信ケーブルが使用されます。表1に、計装配線に使用される主な電線・ケーブルの種類を示します。一般に、電源配線には絶縁電線が、信号配線や制御配線にはケーブルが使用されます。

電線・ケーブルの選定

 1.芯線の太さ(断面積)
 電源配線の場合、計器盤や現場計器などの電源供給に当たっては、配線による電圧降下に注意する必要があります。長距離配線や大電流を通す配線の場合は、あらかじめ電圧降下の計算をして芯線の太さを決定する必要があります。信号配線や制御配線については、低電流の場合が多いため、一般に芯線の太さはあまり問題にならず、むしろケーブル敷設時の引っ張り強さなどを考慮に入れて、断面積が0.9mm2/1.25mm2/2.0mm2の芯線をもつケーブルが使用されます。
 なお、絶縁電線やケーブルの端末処理には、多くの場合圧着端子が使われます。圧着端子のサイズに対応して、使用できる芯線の太さに制約があり、ひいては端子台のサイズに適合しない場合もあるので注意が必要です。たとえば、圧着端子の使用ネジの呼び径でM3サイズ(1.25-3サイズ)の圧着端子では0.5/0.75/0.9/1.25mm2、M3.5サイズ(2-3.5サイズ)では1.25/2.0mm2、M4サイズ(5.5-4サイズ)では3.5/5.5mm2の芯線が適合します。

 2.絶縁材料、シースの材料
 絶縁電線・ケーブルを敷設する場所の雰囲気や敷設方法に対応して、絶縁材料およびシース(外装/被覆)の材料を選定します。たとえば、腐食性ガスの雰囲気の程度、溶剤の有無、高温または低温の場所、機械的振動の程度などの諸条件を考慮します。表2に代表的なシースの耐環境性を示します。

 3.施工、保守の容易さと経済性
 絶縁電線やケーブルは、種類によって物理的性質(柔軟性や引っ張りに対する強度など)も異なり、施工や保守の容易さにも影響します。また長期的な保守の面からは、耐環境性が重要です。これらを、材料単価を含めた総合的な経済性から判断し、種類を選定する必要があります。特別な条件がない一般的な計装工事では、信号配線や制御配線にはKPEVが、電源配線にはIVが使用される例が多いといえます。

 4.補償導線
 信号配線の中でも特別なものとして、熱電対用の補償導線があります。補償導線は、JIS C 1610(またはANSI)で別途指定された種類の中から選定します。芯線の太さについては、一般に1.3mm2または2.3mm2が使用されます。  ■


〈参考文献〉
1)JISハンドブック2001「19.電気設備 Ⅰ基本/電線・ケーブル類/電線管・ ダクト・附属品」
2)大森 豊明:「監視制御システム実用 便覧」、発行 (株)フジテクノシステム

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